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寧々ちゃんまだまだ寵愛中
神様の力
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突然ですが、先日、三小田君に会いました。
おい誰だそれ、じゃないですよ。
小中と塾が一緒で地元の診療所でお医者さんやってる同級生です。
本当の本当の偶然、新宿駅のコンコースでバッタリと……!
さすが喪女の私ですので、実は私の方が先に気が付いていて、あ! って思っていたけど、声掛けたって話す事がねぇなって気付いてないフリしようと、下向いていたら、すれ違い様に手首を掴まれてしまって。
「あれ八雲さん?」
「!!」
「そうだよね、八雲さんだ! わあ偶然だね」
やっぱり三小田君だ、私は気付かないフリしようとしたのに、生粋のリア充は当然のように話掛けてくるんです。
昔の私なら、光速で会釈してその場を離れただろうけど、社会人だしコミュ力モンスターが近くにいるおかげか、笑顔で対応できるスキルが身に付いたので、頑張って立ち止まった。
が、緊張すると眼鏡を直してしまう、昔で言う所の言葉の前に「あ」を入れてしまう癖は抜けないけれど。
なので眼鏡に手を添えながらも目を見て笑顔で返事をした。
「久しぶりだねお仕事帰り?」
「え」
「??」
自分から声を掛けてきた癖に三小田君は驚いて、掴んでる手に力入ってる。
「何?」
「その……この前も言ったけど、八雲さん本当に変わったね」
「そう? かな」
「うん、昔だったらきっとこう目も合わせずに低い声でコンニチハって言って終ってたよね」
「…………」
いや、していいならしたいけど。
「僕を知ろうとしてくれて、笑顔だし益々綺麗になってるし」
「ああ」
そっか、無意識にしてた。
辰巳さんに会話のコツはプライベートに立ち入らない程度の障りのない質問からと教わっていたから。
三小田君は私の手を両手で握って一歩近付いてきて。
「それで、あれから体調はどう? 仕事は? ここで会ったのはやっぱり運命だって思っていいの?」
「え? え? え?」
どんどん顔近付けてきてモブキャラめっちゃ動揺中……でも、あ! このキラキラの視線は知ってるぞ!! ドロ君がよく兄貴聞いて聞いて! 構って! ってしてる時の顔だ。
びっくりしたけど、ああそうか、って今日のこの偶然を納得してしまって、やっぱり私の神様はよくわかってるなあって思った。
私も三小田君の手を両手で握って言う。
「ありがとう三小田君、でもごめんね? 私がこんなに変われたのは自分の力じゃないから。好きな人の為に頑張った結果なの、だから私の運命はその人と出会った事で使い果たしちゃったんだ」
「…………」
こうやってちゃんと私の口から大切な人がいるって言うチャンスをくれたのかなって頑張って言ってみた、何か申し訳ない気もするけど、でも三小田君の顔見て思い出したんだ。
病院に行った後、辰巳さんがいきなり家に来て玄関で修羅場になったんだよなあって。
家族の前で辰巳さんをダーリンって呼んだんだっけ? 超背中に汗かいて人生で一番恥ずかし場面だったって回想してたら私の顔は自然と笑顔になっていた。
三小田君は数回瞬きをした後に、そっか……て息を吐く。
手を離して、小指に光る指輪を撫でていたら、三小田君は笑いながら頭をかいて。
「ごめん困らせて! うん、わかってたんだけどね、八雲さんに好きな人がいるって。じゃなきゃそんなに人って変われないし、でも何だろ、ハッキリ振られたかったって言うか……ああ、うんごめん!」
「やだ、そんな謝らないで! 私の方こそ……」
謝ろうか迷ってたら、三小田君は私の肩を叩いて頷いた。
「八雲さんは悪くないよ。あの時もあの時も……謝らないといけなかったのは僕の方だ」
「あの時も……?」
「ううん、何でもない」
「三小田君?」
「………幸せになってねずっと君が好きだったよ。それじゃあ」
薄手のトレンチコートが靡いて、三小田君はそのまま振り返らずに、新宿の人混みに消えた。
何だか胸が苦しかったけど、追い掛けたりはしなかった。
今日は辰巳さんが先に帰っていて帰宅して直ぐちゅーしに行った(いつもだけど)。
「ただいまぁ辰巳さん、すぅき!」
「おかえりなさい僕もとっても好き」
ご飯食べないでお仕事して待ってくれてて、それ見ただけで、ニヤニヤしちゃういっぱいスリスリしなきゃ!
「いつもありがとう辰巳さん」
「僕も寧々ちゃんがこの世に存在してる事に日々感謝してます」
「大袈裟ですよ」
「ねえ寧々ちゃん」
「あい、何ですか」
辰巳さんの匂い嗅いでたら、緑の瞳がこちらを見てにやってして。
「たまにはダーリンって呼ばれたいな?」
「?!!」
なんかまた変な神通力使ってるぅ! って固まってたら首筋にいっぱいキスされて、甘噛みされてゾクっとしちゃって。
「んっ…ダーリンもっと」
「了解Angel」
おい誰だそれ、じゃないですよ。
小中と塾が一緒で地元の診療所でお医者さんやってる同級生です。
本当の本当の偶然、新宿駅のコンコースでバッタリと……!
さすが喪女の私ですので、実は私の方が先に気が付いていて、あ! って思っていたけど、声掛けたって話す事がねぇなって気付いてないフリしようと、下向いていたら、すれ違い様に手首を掴まれてしまって。
「あれ八雲さん?」
「!!」
「そうだよね、八雲さんだ! わあ偶然だね」
やっぱり三小田君だ、私は気付かないフリしようとしたのに、生粋のリア充は当然のように話掛けてくるんです。
昔の私なら、光速で会釈してその場を離れただろうけど、社会人だしコミュ力モンスターが近くにいるおかげか、笑顔で対応できるスキルが身に付いたので、頑張って立ち止まった。
が、緊張すると眼鏡を直してしまう、昔で言う所の言葉の前に「あ」を入れてしまう癖は抜けないけれど。
なので眼鏡に手を添えながらも目を見て笑顔で返事をした。
「久しぶりだねお仕事帰り?」
「え」
「??」
自分から声を掛けてきた癖に三小田君は驚いて、掴んでる手に力入ってる。
「何?」
「その……この前も言ったけど、八雲さん本当に変わったね」
「そう? かな」
「うん、昔だったらきっとこう目も合わせずに低い声でコンニチハって言って終ってたよね」
「…………」
いや、していいならしたいけど。
「僕を知ろうとしてくれて、笑顔だし益々綺麗になってるし」
「ああ」
そっか、無意識にしてた。
辰巳さんに会話のコツはプライベートに立ち入らない程度の障りのない質問からと教わっていたから。
三小田君は私の手を両手で握って一歩近付いてきて。
「それで、あれから体調はどう? 仕事は? ここで会ったのはやっぱり運命だって思っていいの?」
「え? え? え?」
どんどん顔近付けてきてモブキャラめっちゃ動揺中……でも、あ! このキラキラの視線は知ってるぞ!! ドロ君がよく兄貴聞いて聞いて! 構って! ってしてる時の顔だ。
びっくりしたけど、ああそうか、って今日のこの偶然を納得してしまって、やっぱり私の神様はよくわかってるなあって思った。
私も三小田君の手を両手で握って言う。
「ありがとう三小田君、でもごめんね? 私がこんなに変われたのは自分の力じゃないから。好きな人の為に頑張った結果なの、だから私の運命はその人と出会った事で使い果たしちゃったんだ」
「…………」
こうやってちゃんと私の口から大切な人がいるって言うチャンスをくれたのかなって頑張って言ってみた、何か申し訳ない気もするけど、でも三小田君の顔見て思い出したんだ。
病院に行った後、辰巳さんがいきなり家に来て玄関で修羅場になったんだよなあって。
家族の前で辰巳さんをダーリンって呼んだんだっけ? 超背中に汗かいて人生で一番恥ずかし場面だったって回想してたら私の顔は自然と笑顔になっていた。
三小田君は数回瞬きをした後に、そっか……て息を吐く。
手を離して、小指に光る指輪を撫でていたら、三小田君は笑いながら頭をかいて。
「ごめん困らせて! うん、わかってたんだけどね、八雲さんに好きな人がいるって。じゃなきゃそんなに人って変われないし、でも何だろ、ハッキリ振られたかったって言うか……ああ、うんごめん!」
「やだ、そんな謝らないで! 私の方こそ……」
謝ろうか迷ってたら、三小田君は私の肩を叩いて頷いた。
「八雲さんは悪くないよ。あの時もあの時も……謝らないといけなかったのは僕の方だ」
「あの時も……?」
「ううん、何でもない」
「三小田君?」
「………幸せになってねずっと君が好きだったよ。それじゃあ」
薄手のトレンチコートが靡いて、三小田君はそのまま振り返らずに、新宿の人混みに消えた。
何だか胸が苦しかったけど、追い掛けたりはしなかった。
今日は辰巳さんが先に帰っていて帰宅して直ぐちゅーしに行った(いつもだけど)。
「ただいまぁ辰巳さん、すぅき!」
「おかえりなさい僕もとっても好き」
ご飯食べないでお仕事して待ってくれてて、それ見ただけで、ニヤニヤしちゃういっぱいスリスリしなきゃ!
「いつもありがとう辰巳さん」
「僕も寧々ちゃんがこの世に存在してる事に日々感謝してます」
「大袈裟ですよ」
「ねえ寧々ちゃん」
「あい、何ですか」
辰巳さんの匂い嗅いでたら、緑の瞳がこちらを見てにやってして。
「たまにはダーリンって呼ばれたいな?」
「?!!」
なんかまた変な神通力使ってるぅ! って固まってたら首筋にいっぱいキスされて、甘噛みされてゾクっとしちゃって。
「んっ…ダーリンもっと」
「了解Angel」
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