【R18】モブキャラ喪女を寵愛中

寧々ちゃんまだまだ寵愛中

面白くないし！

「てめーこの野郎、本当いい加減にしろよな。無駄遣いばっかさせやがって泥棒眼鏡が」
「オラオラ系強気弟の誘い受けですね！」
「ドーラ、僕の寧々ちゃんにそういう口の聞き方しないで？　君の姉になるんだよ」
「いるか！　こんな危険な姉！　っつか兄貴が甘やかし過ぎなんだよ」
「甘やかしてないですよ、寧々ちゃんが可愛いから何でもいいなりになってるだけです」
「それを甘やかしてるって世間では言うんだよ」

　ドロ君は夕飯食いに来たって尋ねてきて、部屋で遊んでる私達を見て瞬時に嫌な顔をした。
　足元に転がってる目付きの悪いピヨぐるみを掴んでグニグニやってる。
　というのもいつも私が抱っこしてる大きいのから小さいのまで、部屋にはいっぱいピヨちゃん達がいるのだ。
「これを無駄遣いと言わずして何を無駄と言うんだよ、何コレ買ったのか？」
　ただ購入したと思われては癪だ、と眼鏡キリってして言い返す！
「違いますよ！　これはゲームセンターで頑張って取ったんです！！　ハロウィンカボチャも付いて来て可愛いでしょ」
「あ？」
「大分かかっちゃったけど、取れた時の感動と寧々ちゃんの笑顔を見れたから、もう実質タダ！　みたいなも」
「ただじゃねーよ、金かかってんだろーが、それでなんで甘やかしてないですよとか言えるの？　っつか昔までこんなアニメ？　キャラクター？　に興味なかっただろ？　くっだらねえな！」
　ピヨちゃん投げ付けられて辰巳さんが当たる寸前で受け止めてくれた、そっかピヨにまでジェラシーを感じているのね？！　ドロ君本当難しいお年頃なんだから！
「ドーラ何をそんなにカリカリしてるの？　お腹空いてるの？　ご飯なら、もう直炊けるから僕等に当たらないで待ってて」
「別にぃ？　カリカリなんかしてねえけど？　ただバイトの面接片っ端から落ちて死ね！　って思ってるだけ」
　私は辰巳さんのお膝の上で遊んでたんだけど、ドロ君はその背中にクッションを挟むと辰巳さんに寄りかかってタブレット弄り出した。
「あ、ドロ君何見るんですか」
「ん？　別にＹｏｕＴｕｂｅで暇つぶし」
「じゃあピヨちゃん見たらどうですか」
「何？　これアニメでやってんの？」
　相変わらず私を見る目は睨み入ってるけど、まあ仕方ないよねだって私達は恋のライバル！
　すると、辰巳さんはドロ君の手からタブレットを取って保存してある動画を開いた。
「はいドーラ【転生したらヒヨコだったけど、好きな事してスローライフ送れるからいいや……って思ったら俺がこの世界を救うんです？！】です」
「タイトルなげえよ、もう少しコンパクトにまとめる努力をしろよ作者は」
「略して転ピヨです。でもタイトルだけであらすじ分かったでしょ？　今、日本じゃこういうタイトルが流行ってるんですよ」
　指立てて誇らしげに教えてあげたけど、あっそって興味なさげな返事を返されてしまった。
　ちなみに、転ピヨは初めこそ、楽しくスローライフしてたけど、社畜だった主人公は働かないと怖い！！　って脅迫概念にかられて体が勝手に動き、町工場に就職する事に、上司同僚とも上手くいきながら生活していた最中、突如異世界に巨大隕石が衝突するとニュースで見るや、その隕石を止められるのは自分だけ！！　みたいなそんな展開のやつ。
　たまにピヨが美化したり擬人化したりして、性別不明でイチャイチャしてたピヨピヨ達が実はオス同士だったりとか意外な展開もあって小話も多いし長くゆるーく楽しめるアニメだ。

　アニメなんて子供が見るもんだろ、って小バカにしてたし、ドロ君はオタクなんてキモッ！　寄りな性格だろうから、きっと趣味もあわないんだろうなって思いながら辰巳さんと遊んでた。

　しばらくして、ご飯が炊けたアラームが鳴ったのでドロ君食べよって呼んだら。




「あ、うん、今ちょっといい所だからご飯後にする」