【R18】モブキャラ喪女を寵愛中

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寧々ちゃんまだまだ寵愛中

いただきます

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 お休みの日、近所のスーパーの朝市に買い出しに行こうって約束してたんだけど、辰巳さんを一人で行かせてしまった。
 何でって最近辰巳さんは週末やたらと激しいのだ、昨夜も例に漏れず寧々ちゃん寧々ちゃんされて、朝ご飯の時何気なく腰を擦ってたら、寧々ちゃんはお家の事しててってお留守番任されてしまった。
 まあ、私が行くと倍時間かかるし、お金も無駄遣いさせちゃうから、お留守番でもいいけどさ。
 なら、お家の事頑張る!! って気合いを入れて、本の整理したり、掃除機かけたり、洗面所磨いたり、私すっごく家事できるようになったなあって、ピカピカになった鏡見て頷いてしまった。

 このお家に来た時は、洗濯機の石鹸入れる場所も分からなかったし、お風呂の排水溝だって触れた事もなかった。

 私にしてはお家綺麗に片付いたぞ! って帰って来た辰巳さんに褒めてもらえるの想像してニヤニヤして、今度はキッチンの前に立った。
 お昼はいっぱいピザ焼く約束してるんだ!
 オーブンと魚焼きグリルを駆使して、量産するの! 冷まして冷凍すればいつでも美味しいピザが食べられて最高なのだ!

 ボールを覗けば、昨夜まん丸だった生地が発酵して膨張してて何だか可愛い、たっぷり作ったトマトソースも美味しいよぉ、生地にマヨネーズ塗ってに辰巳さんが作ってくれた照り焼きチキンとネギ乗せたピザも好きだ!
 ピザの日だけ許してもらえる食事中のコーラもバッチリ冷やしてあるし、はああああ、お昼楽しみすぎてシンクをバンバン叩いてしまった。
 そうだ、サラミや玉ねぎ切っとこ! って冷蔵庫開けたけど……あ、ダメだスライサーは一人の時使っちゃダメって言われてるんだった!(以前指スライスしちゃって辰巳さんを一週間落ち込ませる)

 むむむ……じゃあコーン水切りしたり、オリーブ切ったりしとく? って冷蔵庫の中と睨めっこしてたら、物音がして……。
 辰巳さん? もう帰ってきたんだーって思ったけど、音は玄関じゃなくて庭からで……え、何で?
 庭って? まあ門から庭に入れるけど……ってゆうか、駐車場のシャッターが開く音しなかったよな……?

 うわん! 恐い!! けど、今この家を守れるのは私だけ! と目の前にあったフライパン握りしめて忍び足で見に行ったら。

「…………」

 あ、音の犯人いた、だし、泥棒とかではなかったんだけど、私は固まってしまって声を出せないでいる。
 だって、あのドロ君が庭にいるんですよ、いるのはいいんだけどさ(いや、急にはビックリするけど)上半身裸なんだよ!! 肩にタオル掛けてるけど何にも隠れてない。
 え! 何してんの?!!

「あー暑い暑い」
「!!!!」

 庭にある水道の蛇口捻って顔にバシャバシャしてて、ヤ、ヤダ! キラキラビームみたいの出てる!!

「あ?」
「う」

 一歩後退したら板の間がギシッて鳴っちゃってドロ君はこっちに振り返った。
「ジョギングして汗かいたから、小休憩」
「そ、そそ、そうですか」
 こっち向いて垂れ目をニヤッてさせて、立ち上がって、
「ヒッ!!」
「なーんだよ、処女みたいな見た目して実は淫乱な癖に処女みたいな声出しちゃってさ?」
「こここここここっち来ないで下さッ」
 ドロ君はニヤニヤしながら私の方に向かってきて、艶やかな体が光ってる、左胸にバラのタトゥーと肩にキスマークのタトゥーが彫られていた。
 ガッチリした辰巳さんと違って線が細くてスラッとした体躯に長い手足、胸に咲いた薔薇。
 辰巳さんの色気には敵わないけど、こんなの喪女即死させるには充分なセクシーオーラなんだってば!!
 ドロ君は自分の肩にあるキスマークに口づけて、目を細めて言う。
「何ビビってんだよ。毎晩兄貴の裸見てんだろ?」
「それとこれとは」
「ん? 何? 俺の裸にも興奮しちゃうって?」
「そんな訳ないでしょ!」
「そりゃそうだよな? あんないい体した兄貴に抱かれてるんだもんな? 俺になんか興味ないよな」
 縁側まで来られて、辰巳さんより背は低いけど、それでも段差がある私よりも大きい。
 肩にかかったタオルで濡れた髪を乱暴に拭いて、至近距離で見る朝日に照らされたドロ君は尋常じゃない美男子だ。
 声も出ずに見惚れていたら、細くて長い指がすっと伸びてきた、怖くて顔を引いたらおさげを取られた。
「これは? 兄貴がやってんの?」
「…………」
 コクコク頷いて、そのまま手の届かない距離まで後退っておく。
「マジでお気に入りなんだな、ふーん、アンタ大丈夫? 来世の分も男運使い果たしちゃったんじゃないの?」
「え」
 マジでか!! いや、その通りな気がするな? むしろ来世どころじゃないのでは!?
「いいよなー兄貴、俺も兄貴、じゃなきゃ惚れてるよ」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?」

 んん?!! あれ??? あれれ?!! 今なんて言って?? ああ、やばい!! 辰巳さんの弟って事で私のセンサーが作動していなかったけど、そうか……!!!!
 動揺で眼鏡に添えた手がカチャカチャしちゃって、全身が震えてくる。
「あれれー? そういうのに偏見もっちゃうタイプー? 悲しいなー」
「い、いえ」
「まあ、俺は? 男が専門って訳じゃなくて、こいついいなって心から思った相手なら、抱きたいし抱かれてもいいって思うだけで、性別って尺度で人間見てないって話なんだけどね」
「!!!」
 何か凄いのキタコレ!
 離れた距離を音を立てず高速で縮めて、下を向く、目なんて合わせられないですから、こんな高貴なお方と。
「あ? 何よ」
「いえいえいえいえいえ、あの」
 キラッと指輪が光る右手を両手で握って、もちろん下を向いたままご挨拶だ!
「わたくし、八雲寧々、そのような感性をお持ちの方を非常に崇拝しておりまして、目を見るのも烏滸がましく先日は大変無礼な態度を取ってしまい申し訳ございませんでした。このような、上からで失礼しますが、後日時間がある際には貴殿の尊い実体験等を詳しくお聞かせ願えませんでしょうか」
「うっわ何コイツめっちゃしゃべる」
 手離して頭下げ……いや、土下座の方が一生懸命さが伝わ……?? とか考えていたら、ガレージが開く音がした。
「あ、辰巳しゃん!」
「おいちょっと待てお前、もしかして変な目で兄貴を……!」
 垂れ目でキリっと睨まれて、え? え?? え??? 兄弟愛ですか!! ご褒美です!
 眼鏡キリってさせとく!
「もちろん私の神様は寛容ですから、こんな私も大好きですよ」
「ふざけるなよお前!」
「わーい、お迎えに行って来よう!!」

 大好きな辰巳さんのお荷物お持ちます!! ってガレージまで迎えに行ったら、辰巳さんは土とか肥料を降ろしてた。
 そっか、今日は植木市もしてたんだ。

「おかえりなさいおかえりなさいおかえりなさいおかえりなさいおかえりなさいおかえりなさい大ちゅき」
「ただいま愛してる、元気だね可愛い。家で待っていて良かったのに」
「一秒でも早く辰巳さんに会いたくて」
「僕もだよ」
 にこってしてくれて、荷解きしてる背中に体が勝手に飛び付いてしまう、わーいわーい好き好きー。
 ってしてたら、肩に回した手クンクンされて、辰巳さんは眼鏡クイって直した。
「ドーラが来ているね?」
「ああ、ジョギングして汗かいたから休憩って庭にいましたよ」
「へえ?」
 そのまま背中にくっついて、お家に入って玄関で降りて。
「あ、しまった! 荷物取りに行ったのに私が荷物になってた!!」
「なってないですよ、両手の荷物の重みが寧々ちゃんがいる事によって相殺」
「される訳ねえだろ、どんだけ甘やかすんだよ」
 ドロ君は家に上がってて、おお服着てる。
 辰巳さんの手から、重そうな方の袋持ってリビングに先に行ってしまった。
 テーブルに袋を置いて、私達も後に続いて袋を置く。
「で? 休憩はすんだのドロ」
「うん、で、はいコレ」
「ん? 何」
 どこから出したのか、ドロ君は小さな紙袋を差し出してきて、辰巳さんが背中押してくるから私が受け取った。
 ほえ!!! まさか貴殿の自叙伝!?



 そしたら、ドロ君は辰巳さんに、
「Пряники」
「ああ、ロシア行ってたのか」
「ぷにゃーにき?」
「そそ、兄貴これ好きだったろ、同じ材料で日本で作ってもこの味出せなくて、昔よく作ってたよな」
「そうだったね僕も覚えてるよ。そう、これを届けに?」
「おう、これやるから昼飯食わせてもらおうかなって、小さい時に食ってたにーにの飯が恋しくて~」
 となんとドロ君は辰巳さんに抱き付いて絶句してしまった。
 辰巳さんは、ああそうって軽く流して直ぐ体を離す、辰巳さん越しにドロ君は私を見下してきて小さな声で。



「兄貴に変な事したら許さないからな」
「!!!」


 よく聞くあの名台詞ぅう!!! お、お絵かきしたい!!!!
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