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第2章、学園と修さんと私

第34話:激突、ミミズとモグラ!

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「なんだろう、納得できません」「大人しくてとても可愛いですね」『にゃ』「修さん、ちょっとお話しがあります」『にゃ~?ゴロゴロ』「瑞樹さんの遠足中はしっかりと修さんとお待ちしてますね」『にゃ~、パタパタ』「なんとなく納得できませんが、よろしくお願いします、リリー」

2泊3日、今日は「オンパラ湖」で農業実習ですが、いかんせん、ここ、湖。どうしますかね。

「紫陽花ギアを試すにも、人里が全くありませんね」「おう?人がいるのは10キロ先の人形峠だな。」「瑞樹~、とりあえず、自然の中のエーテル循環とその深さについての一次調査は?」「あ、そうでした。まずは対象ごとに切り分けて分析標本作らないと」「特待生ってすごいな」「アドの組み立てたセンサーとかすごいよ」「手先器用ですね。あとこの紫陽花ギア、本物にしか見えません」「やっぱいかにも!より自然に調和させたいだろ。互いを尊重する境目にするのにフェンスや壁じゃダサすぎる」

実習用の畑は、湖を少し埋め立てた場所もあり、いろいろな環境が使えるようになっていた。さて、どこに埋めようか、と見回していたら、足元が盛り上がった。

「モグラ?」「あ、ほんとだ」『急に足音、何事?眩し!』「あ、すいません」慌てて上着をかけた。

『普段静か。敵?』「違います」『ミミズ?』「違いますよ。仲間はいますか?」『下。私偵察』「あーなら、これから太陽が3回登るまで来ない方がいいです」『わからないけどわかった』
「瑞樹、なに話しているんだ?」「瑞樹のチョーカーは翻訳チョーカーだよ」「ほんに!?」

『仲間、ピンチ!』「え?どうした」「あ、なんか騒いでる?」「え!あ、ちょっと!」

モグラが慌てて地上に出てきたので太陽から護るために上着で包む。モグラがしきりに行きたがる方向にいけば、プラムがモグラを捕まえていた。

「プラム」「あ、瑞樹!見てみて!私たちの害獣駆除ギアミミズさんが早速モグラを捕まえたの!」『嫁!私の大切!』「あの、プラム、すいません。そのモグラさん、こちらのモグラさんの配偶者みたいです」「モグラの言葉わかるの?」

聞けばプラムの害獣駆除ギアミミズ型は土を耕しながら、ミミズをエサとする害獣に捕食されると内部で爆発。そのエーテルを奪い、駆動する兵器だった。

『あああ』「まだ大丈夫!」「え、え、どうしよう」「アド、ギアの位置は「皮膚から2.7センチ!!」」

私はギアを起動、胃袋の位置めがけて衝撃を与えた。「アド!」「まだ!エーテル吸い取って修復し始めた!」「自己修復機能だ!」「無駄に高性能!」「瑞樹、タイミング合わせて!」「プラム?わかりました。」「アド、場所を!」「ここから3.2センチがたぶん頭だ!」「3.2.1、今!」

プラムがモグラの喉に手と鉗子を突っ込んでミミズギアを固定、アドのギアでギア位置を3次元的に把握して、私のギアで衝撃を与えた。

『よ、かった』「モグラさん、ごめんなさい」

普段、人が来ない場所だからモグラさんも油断していたし、我々も害獣だとして駆除対象だった。先生に事情を話し、モグラに処置を施して、プラムの班はお弁当のさつまいもをお詫びに渡した。

「3日間は来ないことになりました」「なんか、瑞樹がいなかったら、相手も生き物って忘れてたかも」「命を頂いているということですね」「あ、これさ、電撃にすれば?きたらダメみたいな」「紫陽花ギアのフェンス力を上げるにはいいかも。こっからは人里~みたいな」

ほっとして、見上げた空はどこまでも高い夏空で、泥だらけの上着の始末に悩むのは、ちょっと先のこと。
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