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本編
第二十二話 梅雨とカビとマツラー君
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佐伯さんが海外での演習に出発してから暫く経ったある日、突然サングラスをかけて胡散臭い笑みを浮かべた顔つきパイナップルのキーホルダーと、お肉と野菜がパンからはみ出て凄いことになっている馬鹿みたいに大きなサンドイッチ……だと思われる物体の写真が届いた。なんで馬鹿みたいに大きいか分かったかって? その横に大きさを比較できるようにか佐伯さんの手が写っていたから。
届いたメールを読むとどうやら訓練中に休暇が入って上陸許可が出たみたい。長い演習の間には途中で補給の為に寄港することがあってその時に休暇が取れることもあるらしく、今回の写真はその休暇で上陸した際に街に出て皆で食事をした時に撮ったものらしい。
具体的な場所はメールにも書かれていなかったけど、写真のお供がパイナップルってことはニュースで流れた内容からしてもしかしたら太平洋の真ん中にある日本人がよく行く常夏の島なのかな?と思ったり。そう考えてみれば大きなサンドイッチも納得できるかな、あっちの国では何もかもがビッグサイズだから。
そんなことを考えながら写真を見ていると、何だかサングラスのパイナップル君も軽い口調でペラペラと英語をまくし立てそうに見えてくるんだから不思議。とにかく今まで佐伯さんがくれたフィギュア達に比べるとちょっと異色な感じのこのパイナップル君も、他の子達と一緒に並べる予定にしておこう。そんな訳で今日のマツラー君は……あ……?
「あーっ?!」
ハンドルを握っていた東雲さんがビクッとなって慌ててハンドルを握り直し、その横に座っていた武藤さんが驚いてこっちに顔を向けてきた。
「どうたの?」
「大変です、武藤さん! マツラー君、カビてます!!」
いつものように車の後部シートでマツラー君と並んで座っていた私、何となく右手の先が黒ずんでいるなあと思ってよーく見てみたら何とカビてる……中が蒸れてカビるならともかくどうして手の先っぽがカビちゃっているんだろう。いつも汚れたらちゃんとクリーニングして乾かしている筈なのに。指で黒いところをこすってみると乾いてはいるようで若干は黒さが薄くなったような気がするけど、あまり触らない方が良いかな、これ。
「あー……この前の雨の日のイベントのせいじゃない? あの時の雨降りのせいで濡れてしまったでしょ? 梅雨に入ってジメジメしているからマツラーを置いている部屋もジメジメしているし、カビたのは生乾きのままで放置していたせいかも」
普段ならドライヤーできちんと乾かして部屋に置いておくのに、その時はたまたま忙しくてタオルで水気を取っただけでそのままにしてしまったんだよね。ちょっと可哀想なことしてしまったなあ……。他のところもカビてないかチェックしなきゃ。
「そっかー……可哀想に、手の先がカビちゃうなんて。これ、とれますよね?」
「そりゃ業者さんに言えばきちんとしてくれると思うわ。下手に素人がしたら本体の色が抜けちゃうかもしれないから触らない方が良いかもしれないわね。目立つ?」
「いえ、今は何となく黒ずんでいるだけなので大丈夫だと思います」
これ以上、黒くならなければ良いんだけど。そう思いながらマツラー君の横幅のせいで狭くなった車中で可能な限りのチェックをする。良かった、今のところ黒いのは右手の先っぽだけみたい。
そんな訳で常夏の島付近で演習に参加して毎日が緊張の連続であろう佐伯さんに比べると、こちらは穏やかだけど梅雨に入ってジメジメな日が続きマツラー君に入るのもちょっと憂鬱で少しだけ忙しい毎日。だけど市民ホールなどでのイベントに顔を出すと子供達が凄く喜んでくれてすっかりマツラー君は松平市の顔になってきたことが実感できるから、その点では梅雨の時期でちょっと憂鬱な気分だけど頑張ろうって思える。
そして地元で私とマツラー君があちらこちらに出掛けている間は地方に遠征している二号君と三号君も何かと多忙で、今月はなんと北海道と大阪にお出掛けしていて来週の週末に戻ってくる予定。まあ忙しいのは良いとして、いつも不思議に思うのはうちの市って飛び抜けて有名な名産品がある訳でもないし特別な人気アトラクション施設がある訳でもなく、どちらかと言えば町村合併で生まれた新しい東京都のベッドタウンで他の地方都市に比べると地味な感じなのに、何でこんなにマツラー君があちらこちらに呼ばれるんだろうってこと。春に行われた全国のマスコットの投票でも結構いいところまでいっていたし、私が知らないだけでマツラー君ってもしかして全国規模で人気者になっているとか?
「このイベントが終わったら夏のメインイベントの海の日まではゆっくりできるから、業者さんに引き取ってもらって綺麗にしてもらおうか」
「ですね。それとそろそろ足先の修繕もした方が良いかも。こっちはカビているわけじゃないですけど、イベントに行くたびに子ども達に踏まれちゃって足先の毛が擦り切れてきちゃってるんですよ」
イベントのたびに小さな子供達がまとわりついてきて足を踏んでくれるものだから、最近はマツラー君のつま先はあっと言う間に汚れてしまう。そしてそれが積もり積もった結果、足先の毛がどんどん薄くなってきて今では下の生地が見え始めていた、否、下の生地が既に見えていて破れるのも時間の問題かも。次からは靴を履かせてみる?なんて案も出たんだけど公募したマスコットに靴を勝手に履かせるわけにはいかないわよねって話で今のところまだマツラー君は裸足(?)です。
「そっか。じゃあ夏休みに入ってイベントに出掛ける前に大掛かりな修繕とクリーニングを頼みましょう。その間は立原さんも通常業務に戻ってくれて良いから」
「はい。そろそろ夏の広報誌の締め切りだからちょうど良いタイミングですね」
そうそう。あまりにもマツラー君で頻繁に出掛けるから忘れがちだけど、私の本来の仕事は中の人じゃなくて広報誌の作成だからそっちのお仕事もきちんとしなければならない。ただ、いつの間にかマツラー君の中の人のことは市役所内で知れ渡っているみたいで、先週だったか市長公室に広報誌用の原稿を取りに行ったら、そこで打ち合わせをしていた市長さんに今日は人間の姿で茶色い子じゃないんだねって言われてしまった。しかも残念そうな口調で。市長さんはマツラー君のことをとても気に入っているようで、そのうち住民票まで発行されるんじゃない?とか市役所の役付き職員になったりして?なんてまことしやかに噂されるほど。
「さてと、綺麗になる前のマツラー君の惨状を撮っておこうかな……」
せっかく佐伯さんが軽薄パイナップル君とコールドビーフのお化けサンドイッチの写真を送ってくれたのに、こちらから返信する写真がマツラー君の手のカビってちょっと悲しいかなと思いつつ、携帯でマツラー君の黒ずんだ手の先を撮った。まあこういうのも日本ならではの梅雨の風物詩ってことで佐伯さんも笑ってくれれば良いんだけどな。
+++++
「マツラーくん、こっちのおててが黒いよ? ちゃんと洗ってるー?」
お子様達っていうのは見ていないようで見ているもので、さっそく寄ってきた小さいお友達から指摘を受けてしまった。正直いってアチャーとなったけど手が短いせいで後ろ手にして隠すことも出来ないから、取り敢えずは自分の手を見下ろしているような仕草をしてから体を傾けて困ったなアピールをしてみた。こういう無言の仕草も意外と子供達にはきちんと伝わっているのが凄く不思議。
「汚れちゃったの? だったらこれで拭いてあげるー」
そう言ってその子は自分のポシェットから携帯用のウエットティッシュを取り出してそこから一枚引っ張り出すと黒くなったマツラー君の手を一生懸命に拭いてくれた。濡れているものであまり強くこすられると色落ちが心配ではあったんだけど、せっかくの好意を無碍にも出来ないからその子の作業が終わるまでじっとしていた。折りしも今日の街頭イベントで配っているチラシは食中毒の注意喚起の啓発チラシと携帯用の除菌ウエットティッシュ。なんだかとってもタイムリーな出来事のような気がする。
「綺麗になったー? あれ? まだ黒いね……」
その子は黒ずんでいるところをジッと見詰めながら首を傾げている。
「うちのママは石鹸でごしごしすれば綺麗になるって言ってたよ。マツラー君も石鹸で洗う? あっちのトイレに石鹸あったよ?」
うーん、さすがにカビだから石鹸でも落ちないんじゃないかな。それに下手に濡らすと布がモケモケに毛羽立っちゃいそうだし……。っていうか、あそこのトイレにはマツラー君は入れないと思うよ? 絶対に入口のところでつっかえちゃうもの。ジッと手を見下ろしながら黒ずみを振り落とそうとでもするように手を小刻みにブンブン振ると、再びその手を見下ろしてまた更に手を振ってみる。そんな仕草を繰り返すことで、なんとなく汚れが落ちなくてマツラー君が焦っているというか困っているらしい雰囲気、伝わったかな?
「マツラー君、お家に帰ったらお風呂に入らなきゃ。そうしたら落ちるかも!」
うんうん、ここのイベントが終わったら業者さんのところでお風呂に入れてもらう予定だよ。まあ世間一般で言うところのお風呂とはちょーっと違うみたいだけどね。マツラー君は体を揺らしてお風呂に大賛成という気持ちをその子に伝える。暫くしてその子のお母さんが戻ってきて一緒に帰っていったんだけど、その子は去り際に“マツラー君、ちゃんとお風呂入るんだよー”って元気な声で言って手を振ってくれた。子供達にとってマツラー君は着ぐるみのマスコットでなくて、本当に存在する不思議な生き物なんだなあってしみじみ感じた。だってそうでなかったらお風呂に入れなんて発想は出てこないものね。
「ちょっとした小さなお母さんね」
マツラー君がその子に向かって手を振っている横で横にいた武藤さんが呟いた。それより私はあんな小さな子がポシェットの中にウエットティッシュを入れていたことに驚いちゃった。しかも結構手慣れた様子で一枚引き抜いていたし。最近の子って何でも持ち歩いているのね……。
【今日のマツラー君のお写真】
お友達に手を拭いてもらいました。
食材を扱う時はきちんと手を洗って菌をつけない、増やさない♪
届いたメールを読むとどうやら訓練中に休暇が入って上陸許可が出たみたい。長い演習の間には途中で補給の為に寄港することがあってその時に休暇が取れることもあるらしく、今回の写真はその休暇で上陸した際に街に出て皆で食事をした時に撮ったものらしい。
具体的な場所はメールにも書かれていなかったけど、写真のお供がパイナップルってことはニュースで流れた内容からしてもしかしたら太平洋の真ん中にある日本人がよく行く常夏の島なのかな?と思ったり。そう考えてみれば大きなサンドイッチも納得できるかな、あっちの国では何もかもがビッグサイズだから。
そんなことを考えながら写真を見ていると、何だかサングラスのパイナップル君も軽い口調でペラペラと英語をまくし立てそうに見えてくるんだから不思議。とにかく今まで佐伯さんがくれたフィギュア達に比べるとちょっと異色な感じのこのパイナップル君も、他の子達と一緒に並べる予定にしておこう。そんな訳で今日のマツラー君は……あ……?
「あーっ?!」
ハンドルを握っていた東雲さんがビクッとなって慌ててハンドルを握り直し、その横に座っていた武藤さんが驚いてこっちに顔を向けてきた。
「どうたの?」
「大変です、武藤さん! マツラー君、カビてます!!」
いつものように車の後部シートでマツラー君と並んで座っていた私、何となく右手の先が黒ずんでいるなあと思ってよーく見てみたら何とカビてる……中が蒸れてカビるならともかくどうして手の先っぽがカビちゃっているんだろう。いつも汚れたらちゃんとクリーニングして乾かしている筈なのに。指で黒いところをこすってみると乾いてはいるようで若干は黒さが薄くなったような気がするけど、あまり触らない方が良いかな、これ。
「あー……この前の雨の日のイベントのせいじゃない? あの時の雨降りのせいで濡れてしまったでしょ? 梅雨に入ってジメジメしているからマツラーを置いている部屋もジメジメしているし、カビたのは生乾きのままで放置していたせいかも」
普段ならドライヤーできちんと乾かして部屋に置いておくのに、その時はたまたま忙しくてタオルで水気を取っただけでそのままにしてしまったんだよね。ちょっと可哀想なことしてしまったなあ……。他のところもカビてないかチェックしなきゃ。
「そっかー……可哀想に、手の先がカビちゃうなんて。これ、とれますよね?」
「そりゃ業者さんに言えばきちんとしてくれると思うわ。下手に素人がしたら本体の色が抜けちゃうかもしれないから触らない方が良いかもしれないわね。目立つ?」
「いえ、今は何となく黒ずんでいるだけなので大丈夫だと思います」
これ以上、黒くならなければ良いんだけど。そう思いながらマツラー君の横幅のせいで狭くなった車中で可能な限りのチェックをする。良かった、今のところ黒いのは右手の先っぽだけみたい。
そんな訳で常夏の島付近で演習に参加して毎日が緊張の連続であろう佐伯さんに比べると、こちらは穏やかだけど梅雨に入ってジメジメな日が続きマツラー君に入るのもちょっと憂鬱で少しだけ忙しい毎日。だけど市民ホールなどでのイベントに顔を出すと子供達が凄く喜んでくれてすっかりマツラー君は松平市の顔になってきたことが実感できるから、その点では梅雨の時期でちょっと憂鬱な気分だけど頑張ろうって思える。
そして地元で私とマツラー君があちらこちらに出掛けている間は地方に遠征している二号君と三号君も何かと多忙で、今月はなんと北海道と大阪にお出掛けしていて来週の週末に戻ってくる予定。まあ忙しいのは良いとして、いつも不思議に思うのはうちの市って飛び抜けて有名な名産品がある訳でもないし特別な人気アトラクション施設がある訳でもなく、どちらかと言えば町村合併で生まれた新しい東京都のベッドタウンで他の地方都市に比べると地味な感じなのに、何でこんなにマツラー君があちらこちらに呼ばれるんだろうってこと。春に行われた全国のマスコットの投票でも結構いいところまでいっていたし、私が知らないだけでマツラー君ってもしかして全国規模で人気者になっているとか?
「このイベントが終わったら夏のメインイベントの海の日まではゆっくりできるから、業者さんに引き取ってもらって綺麗にしてもらおうか」
「ですね。それとそろそろ足先の修繕もした方が良いかも。こっちはカビているわけじゃないですけど、イベントに行くたびに子ども達に踏まれちゃって足先の毛が擦り切れてきちゃってるんですよ」
イベントのたびに小さな子供達がまとわりついてきて足を踏んでくれるものだから、最近はマツラー君のつま先はあっと言う間に汚れてしまう。そしてそれが積もり積もった結果、足先の毛がどんどん薄くなってきて今では下の生地が見え始めていた、否、下の生地が既に見えていて破れるのも時間の問題かも。次からは靴を履かせてみる?なんて案も出たんだけど公募したマスコットに靴を勝手に履かせるわけにはいかないわよねって話で今のところまだマツラー君は裸足(?)です。
「そっか。じゃあ夏休みに入ってイベントに出掛ける前に大掛かりな修繕とクリーニングを頼みましょう。その間は立原さんも通常業務に戻ってくれて良いから」
「はい。そろそろ夏の広報誌の締め切りだからちょうど良いタイミングですね」
そうそう。あまりにもマツラー君で頻繁に出掛けるから忘れがちだけど、私の本来の仕事は中の人じゃなくて広報誌の作成だからそっちのお仕事もきちんとしなければならない。ただ、いつの間にかマツラー君の中の人のことは市役所内で知れ渡っているみたいで、先週だったか市長公室に広報誌用の原稿を取りに行ったら、そこで打ち合わせをしていた市長さんに今日は人間の姿で茶色い子じゃないんだねって言われてしまった。しかも残念そうな口調で。市長さんはマツラー君のことをとても気に入っているようで、そのうち住民票まで発行されるんじゃない?とか市役所の役付き職員になったりして?なんてまことしやかに噂されるほど。
「さてと、綺麗になる前のマツラー君の惨状を撮っておこうかな……」
せっかく佐伯さんが軽薄パイナップル君とコールドビーフのお化けサンドイッチの写真を送ってくれたのに、こちらから返信する写真がマツラー君の手のカビってちょっと悲しいかなと思いつつ、携帯でマツラー君の黒ずんだ手の先を撮った。まあこういうのも日本ならではの梅雨の風物詩ってことで佐伯さんも笑ってくれれば良いんだけどな。
+++++
「マツラーくん、こっちのおててが黒いよ? ちゃんと洗ってるー?」
お子様達っていうのは見ていないようで見ているもので、さっそく寄ってきた小さいお友達から指摘を受けてしまった。正直いってアチャーとなったけど手が短いせいで後ろ手にして隠すことも出来ないから、取り敢えずは自分の手を見下ろしているような仕草をしてから体を傾けて困ったなアピールをしてみた。こういう無言の仕草も意外と子供達にはきちんと伝わっているのが凄く不思議。
「汚れちゃったの? だったらこれで拭いてあげるー」
そう言ってその子は自分のポシェットから携帯用のウエットティッシュを取り出してそこから一枚引っ張り出すと黒くなったマツラー君の手を一生懸命に拭いてくれた。濡れているものであまり強くこすられると色落ちが心配ではあったんだけど、せっかくの好意を無碍にも出来ないからその子の作業が終わるまでじっとしていた。折りしも今日の街頭イベントで配っているチラシは食中毒の注意喚起の啓発チラシと携帯用の除菌ウエットティッシュ。なんだかとってもタイムリーな出来事のような気がする。
「綺麗になったー? あれ? まだ黒いね……」
その子は黒ずんでいるところをジッと見詰めながら首を傾げている。
「うちのママは石鹸でごしごしすれば綺麗になるって言ってたよ。マツラー君も石鹸で洗う? あっちのトイレに石鹸あったよ?」
うーん、さすがにカビだから石鹸でも落ちないんじゃないかな。それに下手に濡らすと布がモケモケに毛羽立っちゃいそうだし……。っていうか、あそこのトイレにはマツラー君は入れないと思うよ? 絶対に入口のところでつっかえちゃうもの。ジッと手を見下ろしながら黒ずみを振り落とそうとでもするように手を小刻みにブンブン振ると、再びその手を見下ろしてまた更に手を振ってみる。そんな仕草を繰り返すことで、なんとなく汚れが落ちなくてマツラー君が焦っているというか困っているらしい雰囲気、伝わったかな?
「マツラー君、お家に帰ったらお風呂に入らなきゃ。そうしたら落ちるかも!」
うんうん、ここのイベントが終わったら業者さんのところでお風呂に入れてもらう予定だよ。まあ世間一般で言うところのお風呂とはちょーっと違うみたいだけどね。マツラー君は体を揺らしてお風呂に大賛成という気持ちをその子に伝える。暫くしてその子のお母さんが戻ってきて一緒に帰っていったんだけど、その子は去り際に“マツラー君、ちゃんとお風呂入るんだよー”って元気な声で言って手を振ってくれた。子供達にとってマツラー君は着ぐるみのマスコットでなくて、本当に存在する不思議な生き物なんだなあってしみじみ感じた。だってそうでなかったらお風呂に入れなんて発想は出てこないものね。
「ちょっとした小さなお母さんね」
マツラー君がその子に向かって手を振っている横で横にいた武藤さんが呟いた。それより私はあんな小さな子がポシェットの中にウエットティッシュを入れていたことに驚いちゃった。しかも結構手慣れた様子で一枚引き抜いていたし。最近の子って何でも持ち歩いているのね……。
【今日のマツラー君のお写真】
お友達に手を拭いてもらいました。
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