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57.福神様のお告げ
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晴紀も美湖について一緒に『シアトル』に行くと言い出した。
ダメだ、そんなのは。美湖はすぐさま首を振った。
「な、なに言ってるの! やっとお母さんが、清子さんが元気になったのに。離れるの? まだ元気になったばかりだよ!」
そして美湖も今になってはっきりと突き返す。
「清子さんを一人にするくらいなら、私、一人で行く!」
もう破れかぶれだった。どう言っても、広瀬教授は美湖をシアトルに行かせたいようだからもう仕方がない。行くしかないなら、自分が一人で行く! ハル君は母親のそばにいろと言い放った。
晴紀もそこは少し案じていることなのか怯んで言い返してこなかった。
「ほら、お母さんが心配でしょ。やっとやっと、親子で笑顔で過ごせるようになったんだから……」
一緒にいてあげなよ。私たちのことはそれからだ――と言おうとしたら、また。
「いいえ。美湖さんはシアトルへ行くのよ」
今度は清子がそこにいた。紺のドレス姿で、いつもの優美な奥様の顔で。
「清子さん……」
「美湖先生が戻ってこられないから、晴紀と一緒に探しに来て一緒に聞こえてしまったんです」
二人一緒に広瀬教授との話を聞いてしまっていたということらしい。驚いて美湖が晴紀を見上げると、晴紀もそうだよと頷いた。
「でも、清子さん、私は……」
「美湖先生。いままでのキャリアを捨てたくないと私に言ったことあるでしょう。あれは嘘だったの」
清子を安心させるために言ったことはある。でもあれが嘘だったとは清子には言いたくないし、嘘でもなかった。これからも医師としてやっていくには、シアトル行きが大事なのは自分でもわかっている。
「美湖さん。重見のお嫁さんにすぐにならなくてもいいのよ。それに、私も晴紀も先生には、美湖さんにはお医者様であって欲しいと思っています。私と息子の自慢のお嫁さんなんですよ」
そう言ってくれると涙が滲んでしまう。でも、
「でも、私……」
蜜柑の花の匂いがする頃からずっと、清子のお昼ごはんを食べて、晴紀と喧嘩して笑って、優しい笑顔の清子がそっとそばにいる。そんな柔らかで、青い海のようにきらきらしている場所を見つけてしまった。そこから放り出される気持ちでいる。
そうしたら清子がそれがわかっているかのように、いつか見せた母親の険しい顔になって美湖に言った。
「行ってきなさい、美湖さん」
「清子さん」
「晴紀もよ。せっかく婚約したのだから離れちゃ駄目よ。それに貴方も、もう一度島から出て頑張ってみなさい。二人ともまだ若いのだから」
「母ちゃん……」
まだ美湖がぐずぐすしていると、やっと晴紀が優しく抱き寄せてくれる。
「先生、一緒に行くよ俺も。美湖サン、シアトル行こう」
なにもかもがいきなりすぎて動転している。広瀬教授の前で一人の時は保てていた強気が、晴紀がそばにいるとこんなに崩れてしまって……。
さらに広瀬教授が付け加えた。
「相良君。『前例』になって欲しいのだよ」
前例? 広瀬教授を見つめると、彼がさらに告げた。
「僻地医療という私の道筋をこれからも保つために。ただ意欲があって理想が高い医師を派遣する、そんな漠然とした人選は辞めることにしたんだ。この人選は不確かであって辞めていく医師も多かった。それならば『これをしたら希望が叶う』という方式を確立させようと思ってね。つまり、『私が言い渡した僻地の医療に携わったら、キャリアアップの報酬がある』という前例だ。それを相良君にしてほしい」
やっと、広瀬教授が美湖をどのような駒として動かそうとしていたかわかった。
「そうだったのですね。ならば……、私がシアトルの留学を教授からバックアップしてもらったという事実ができないと、以後の僻地医療やあの診療所を維持していく糧にならないということなのですね」
「そうだ。そういうことだ」
「何故、吾妻先生ではなかったのですか」
「彼はいまできたばかりの息子のこれからを大事にしてく時期であって、無理に環境を変えたくないと望んでいる。だから相良君を推薦した。それに君ぐらいの発展途上の若い医師のほうが、喜んでこの道を選ぶようになってくれると思う。僻地医療をサポートできて、若い医師の育成にもなる。私はそのシステムを構築していくために邁進する」
さらに広瀬教授が晴紀と一緒にいる美湖をまっすぐに見つめて言う。
「シアトルから帰ったら、あの診療所を任せてもいい。島にいながらにしてキャリアアップができるよう、サポートしよう。そして君は重見と野間氏との仲介をして、私を助けてくれたらいい」
それがシアトルから帰ってきた時のさらなる報酬だと、教授がはっきりと言いきった。
「私がやりたい僻地医療はなにも瀬戸内だけではないからね」
そこまで聞いて、美湖も決意した。あの診療所や僻地の医療をこの教授がこれから発展させ、医師を派遣しやすくしていく前例のために。
「わかりました。行かせていただきます、シアトルに」
まだそこに堂々と座り込んでいる福神顔の教授に美湖は深々と頭を下げる。
「私にあの島の診療所を任せてくださってありがとうございました。素晴らしい経験でした。そしてこんな私に、キャリアアップの道を準備してくださって感謝致します」
でも目をつむると涙がこぼれた。
医師として嬉しい出来事のはずなのに、美湖は哀しい。泣いていると晴紀が困ったように抱きしめてくれる。
「美湖サン……、なんでそんな泣くんだよ」
「だって、しばらく島とお別れでしょ」
それだけ美湖にとっては恋した島だったから。そうして美湖の黒髪を優しく晴紀が撫でてくれる。
あの島にもう少しいられると思ったから。晴紀や清子だけじゃない、美湖はあの島のことももう愛している。
広瀬教授もそんな美湖の思いを知って慰めてくれる。
「まだ準備期間があるから、おそらく来年になると思うよ。その前にアメリカで医師として働くための試験も必要だしね」
晴紀も少しほっとした顔になった。
「ということは、もう少しは島の診療所で美湖さんも働いていけるってことですね」
「その間に、晴紀君との結婚についても話し合い準備を進めたらいいと思う」
それを聞いて美湖も、まだすぐではない、心の準備も少しずつ進められるとほっとした。
――と、しんみりしていたら。
「お母さんも一緒に行くわ、シアトル」
清子がそう言いだして、晴紀と美湖は一緒に『えーーー!!!』と仰天する。
「なんか羨ましくなっちゃったわ」
「ま、待てよ、母ちゃん! 海外なんてハワイぐらいしか行ったことないだろ」
息子の晴紀がワタワタし始める。美湖も絶句して涙がすっかり止まってしまう。
「なんかね、晴紀と美湖さんが一緒なら、なんでも大丈夫な気がするの最近。お母さんもシアトル見たくなっちゃった」
もう晴紀と美湖は揃って目が点な状態。
広瀬教授が『わははは、これはいい!』と大笑い。
「行くだけ行って、二ヶ月して駄目だったら、お母さん一人で帰る。ね、いいでしょ」
しかしこれは、死のうとして死ねず閉じこもってしまっていた清子が完全復活した証拠だった。
晴紀と美湖は一緒に顔を見合わせ、もう嬉しくて笑っていた。
「嬉しい、清子さんも一緒だなんて」
「よし、じゃあ。母ちゃんと美湖さんとまずはシアトルで頑張るか」
晴紀が美湖も清子も両脇にぎゅっと抱き寄せてくれる。
美湖もやっと気持ちが上向きになる。
「うん、シアトルで。ハル君と清子さんと頑張る」
福神様が持ってきたお話は、ほんとうに『福』だったかもしれない。
ダメだ、そんなのは。美湖はすぐさま首を振った。
「な、なに言ってるの! やっとお母さんが、清子さんが元気になったのに。離れるの? まだ元気になったばかりだよ!」
そして美湖も今になってはっきりと突き返す。
「清子さんを一人にするくらいなら、私、一人で行く!」
もう破れかぶれだった。どう言っても、広瀬教授は美湖をシアトルに行かせたいようだからもう仕方がない。行くしかないなら、自分が一人で行く! ハル君は母親のそばにいろと言い放った。
晴紀もそこは少し案じていることなのか怯んで言い返してこなかった。
「ほら、お母さんが心配でしょ。やっとやっと、親子で笑顔で過ごせるようになったんだから……」
一緒にいてあげなよ。私たちのことはそれからだ――と言おうとしたら、また。
「いいえ。美湖さんはシアトルへ行くのよ」
今度は清子がそこにいた。紺のドレス姿で、いつもの優美な奥様の顔で。
「清子さん……」
「美湖先生が戻ってこられないから、晴紀と一緒に探しに来て一緒に聞こえてしまったんです」
二人一緒に広瀬教授との話を聞いてしまっていたということらしい。驚いて美湖が晴紀を見上げると、晴紀もそうだよと頷いた。
「でも、清子さん、私は……」
「美湖先生。いままでのキャリアを捨てたくないと私に言ったことあるでしょう。あれは嘘だったの」
清子を安心させるために言ったことはある。でもあれが嘘だったとは清子には言いたくないし、嘘でもなかった。これからも医師としてやっていくには、シアトル行きが大事なのは自分でもわかっている。
「美湖さん。重見のお嫁さんにすぐにならなくてもいいのよ。それに、私も晴紀も先生には、美湖さんにはお医者様であって欲しいと思っています。私と息子の自慢のお嫁さんなんですよ」
そう言ってくれると涙が滲んでしまう。でも、
「でも、私……」
蜜柑の花の匂いがする頃からずっと、清子のお昼ごはんを食べて、晴紀と喧嘩して笑って、優しい笑顔の清子がそっとそばにいる。そんな柔らかで、青い海のようにきらきらしている場所を見つけてしまった。そこから放り出される気持ちでいる。
そうしたら清子がそれがわかっているかのように、いつか見せた母親の険しい顔になって美湖に言った。
「行ってきなさい、美湖さん」
「清子さん」
「晴紀もよ。せっかく婚約したのだから離れちゃ駄目よ。それに貴方も、もう一度島から出て頑張ってみなさい。二人ともまだ若いのだから」
「母ちゃん……」
まだ美湖がぐずぐすしていると、やっと晴紀が優しく抱き寄せてくれる。
「先生、一緒に行くよ俺も。美湖サン、シアトル行こう」
なにもかもがいきなりすぎて動転している。広瀬教授の前で一人の時は保てていた強気が、晴紀がそばにいるとこんなに崩れてしまって……。
さらに広瀬教授が付け加えた。
「相良君。『前例』になって欲しいのだよ」
前例? 広瀬教授を見つめると、彼がさらに告げた。
「僻地医療という私の道筋をこれからも保つために。ただ意欲があって理想が高い医師を派遣する、そんな漠然とした人選は辞めることにしたんだ。この人選は不確かであって辞めていく医師も多かった。それならば『これをしたら希望が叶う』という方式を確立させようと思ってね。つまり、『私が言い渡した僻地の医療に携わったら、キャリアアップの報酬がある』という前例だ。それを相良君にしてほしい」
やっと、広瀬教授が美湖をどのような駒として動かそうとしていたかわかった。
「そうだったのですね。ならば……、私がシアトルの留学を教授からバックアップしてもらったという事実ができないと、以後の僻地医療やあの診療所を維持していく糧にならないということなのですね」
「そうだ。そういうことだ」
「何故、吾妻先生ではなかったのですか」
「彼はいまできたばかりの息子のこれからを大事にしてく時期であって、無理に環境を変えたくないと望んでいる。だから相良君を推薦した。それに君ぐらいの発展途上の若い医師のほうが、喜んでこの道を選ぶようになってくれると思う。僻地医療をサポートできて、若い医師の育成にもなる。私はそのシステムを構築していくために邁進する」
さらに広瀬教授が晴紀と一緒にいる美湖をまっすぐに見つめて言う。
「シアトルから帰ったら、あの診療所を任せてもいい。島にいながらにしてキャリアアップができるよう、サポートしよう。そして君は重見と野間氏との仲介をして、私を助けてくれたらいい」
それがシアトルから帰ってきた時のさらなる報酬だと、教授がはっきりと言いきった。
「私がやりたい僻地医療はなにも瀬戸内だけではないからね」
そこまで聞いて、美湖も決意した。あの診療所や僻地の医療をこの教授がこれから発展させ、医師を派遣しやすくしていく前例のために。
「わかりました。行かせていただきます、シアトルに」
まだそこに堂々と座り込んでいる福神顔の教授に美湖は深々と頭を下げる。
「私にあの島の診療所を任せてくださってありがとうございました。素晴らしい経験でした。そしてこんな私に、キャリアアップの道を準備してくださって感謝致します」
でも目をつむると涙がこぼれた。
医師として嬉しい出来事のはずなのに、美湖は哀しい。泣いていると晴紀が困ったように抱きしめてくれる。
「美湖サン……、なんでそんな泣くんだよ」
「だって、しばらく島とお別れでしょ」
それだけ美湖にとっては恋した島だったから。そうして美湖の黒髪を優しく晴紀が撫でてくれる。
あの島にもう少しいられると思ったから。晴紀や清子だけじゃない、美湖はあの島のことももう愛している。
広瀬教授もそんな美湖の思いを知って慰めてくれる。
「まだ準備期間があるから、おそらく来年になると思うよ。その前にアメリカで医師として働くための試験も必要だしね」
晴紀も少しほっとした顔になった。
「ということは、もう少しは島の診療所で美湖さんも働いていけるってことですね」
「その間に、晴紀君との結婚についても話し合い準備を進めたらいいと思う」
それを聞いて美湖も、まだすぐではない、心の準備も少しずつ進められるとほっとした。
――と、しんみりしていたら。
「お母さんも一緒に行くわ、シアトル」
清子がそう言いだして、晴紀と美湖は一緒に『えーーー!!!』と仰天する。
「なんか羨ましくなっちゃったわ」
「ま、待てよ、母ちゃん! 海外なんてハワイぐらいしか行ったことないだろ」
息子の晴紀がワタワタし始める。美湖も絶句して涙がすっかり止まってしまう。
「なんかね、晴紀と美湖さんが一緒なら、なんでも大丈夫な気がするの最近。お母さんもシアトル見たくなっちゃった」
もう晴紀と美湖は揃って目が点な状態。
広瀬教授が『わははは、これはいい!』と大笑い。
「行くだけ行って、二ヶ月して駄目だったら、お母さん一人で帰る。ね、いいでしょ」
しかしこれは、死のうとして死ねず閉じこもってしまっていた清子が完全復活した証拠だった。
晴紀と美湖は一緒に顔を見合わせ、もう嬉しくて笑っていた。
「嬉しい、清子さんも一緒だなんて」
「よし、じゃあ。母ちゃんと美湖さんとまずはシアトルで頑張るか」
晴紀が美湖も清子も両脇にぎゅっと抱き寄せてくれる。
美湖もやっと気持ちが上向きになる。
「うん、シアトルで。ハル君と清子さんと頑張る」
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