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ひとの頭があるべき場所は空洞で、転がる兜を拾うために身体を屈めた鎧のなかも真っ暗ながらんどう。
「あ……」
驚きに間抜けな声をあげることしかできない俺に、空っぽの鎧が視線を向けた。
顔はないのに、わかった。
全身鎧が腕に抱えた兜のバイザーのすき間から、こっちを見ている視線がある。
ひくり、と喉を鳴らして悲鳴を飲み込めば、鎧は俺に興味を失くしたようにまた歩き出す。カシャン、と無造作に頭の部分に乗せられた兜はもうこちらを見ていない。
「なんだよ、ここ……」
顔を上げる気力もなくしてぐったりした俺を咥えたまま、ケルベロスはチャッチャッと軽快な足音を立てて進んで行く。
どこへ連れて行かれるのか。
運ばれた先で食われるのか。
わからないけれど、無性に悲しくなってきて、嗚咽がもれる。
「うっ、ううぅ……うー……死にたくないぃ……」
ぐすぐすと泣きじゃくるのが恥ずかしいだなんて思う余裕は、もう無かった。
一度は死を覚悟して、けれど助かるかもしれないと抱いた希望が打ち砕かれて、俺の心は限界を迎えていた。
だから、気づかなかった。
ケルベロスが向かう先にひと……異形のモンスターたちが少なくなっていくことに。
そして、いつの間にか敷き詰められたレンガが終わってやわらかな芝生の絨毯に代わっていることに。
「サルートン。キーオ エスタス ティーオ?」
ぐったりと運ばれる俺の耳に、不意に涼やかな声が届いた。
タスタスと規則的に聞こえていた獣の足音が止む。ケルベロスが立ち止まったらしい。
「グオゥ、ウルルルル」
「ティオ ソナス インテレーサ」
ケルベロスの鳴き声に答えるように、誰かの声がする。何を言っているのかわからないけれど、涼やかで少し低めの、耳に馴染む声。
ぼうっと聞いていると、さり、と軽い足音に続いて俺の視界に黒い布が映り込んだ。
「チュ ラ リンボ ジフェレンカス?」
ひとだ。
言っている意味はわからないけど、ことばをしゃべるひとだ。
そう気が付くと、心のなかにむくむくと力が湧いてくる。
「た、助けてくださいっ!」
ぐしゃぐしゃに泣きはらしてるってことも忘れて顔を上げた俺は、目の前に立つひとに目を奪われた。
美少女だ。
柔らかなカーブを描く頬は透けるように白く、感情の薄い顔は人形のように整っていて、彼女の美しさを作り物のように見せている。足首まである真っ黒な飾り気のないワンピースが、むしろ彼女を神々しく見せていた。美人が着ると量販店の服でもおしゃれに見えるという話に、深く納得できる美しさだ。
ごくごく薄い黄色をした瞳が淡く輝いて見えるのは、気のせいだろうか。あまりにも目が大きいから、太陽の光を反射してそう見えるのかもしれない。
人間だ、と喜んだ気持ちはすぐにしぼんだ。彼女の濡れたように艶めく真っ黒な髪の毛のすき間から、頭の左右に角が生えていたからだ。
目を奪われるほどの美少女の頭に生える太く、天を突くようにねじれあがった二本の黒い角は異様だったけれど、それでも、俺の心は落胆に占められることはなかった。
だって、彼女はきれいだ。
それにことばを話していた。だったらことばは通じなくても、俺のピンチは伝えられるはず。
そう思って必死にジェスチャーを試みていると、ひとであるか否かなど放り出して見とれてしまうほど美しい少女の手のひらが、俺の額にかざされた。
ちいさな手のひらに作り物のように細く白い指。美少女は爪の先まできれいなのかと、ぼんやり思う。
「オートマタ トゥラデューコ」
ちいさなくちが動いて、不思議な音色を奏でる。
彼女の手のひらがかざされている俺の額がふわりと温かくなったような気がして、まばたきをすれば。
「わかるか?」
美少女が日本語をしゃべった。声が良い。
「えっ」
驚き、目を見開く俺の前で彼女がこてりと首をかしげる。動きに合わせて長い黒髪がさらりと揺れた。
「む? だめか? 手ごたえを感じたのだが」
「に、日本語……!」
可憐な少女のくちから流暢な日本語が聞こえて、俺は感動した。
彼女もまた、俺の顔を見て満足気にうなずく。表情は一ミリだって変わっていなけれど、ふむ、と頷くしぐさが満足そうだ。
「おお、通じたか。すこしな、音をいじらせてもらった。さて、そのままでは会話もままなるまい。ケルベロスよ、下ろしてやれ」
美少女が言うが早いか、俺の腹から圧迫感が消えた。
「ぐえっ」
どさっという音と間抜けなうめきを発して落下した俺がよろよろと顔を上げると、美少女はケルベロスの真ん中の頭をなでているところだった。
美少女とたわむれるもふもふ(自動車サイズ、頭三つ付き)。
撫でられたケルベロス(真ん中)はとてもうれしそうに目を細めて、だらしなく開いたくちから舌を垂らして「ハッハッ」と息を弾ませている。左右の顔の視線がうらやましそうに見えるのは、俺の見間違いじゃないはず。だってケルベロスの身体は見事な伏せの姿勢になっている。
これは、主人に褒められるのを待つ犬の姿勢だ。やたらデカいけど。
彼女は猛獣使いか。いや、威風堂々とした佇まいとその前に伏せをする大型の獣……これは。
「魔王に懐く魔物の図……!」
「おや、よくわかったな。我が魔王であったと」
「んん!?」
思わずつぶやいたことばに平然と返されて、俺のほうが驚いた。
だというのに、彼女は「ほめてつかわそう」と言わんばかり。いや確かに、頭の立派な角といい真っ黒な衣服といい魔王さまっぽいけれど、美少女魔王って誰得だ。俺得だ。
何を隠そう思春期まっただなかの俺(彼女募集中)にとっては、たとえ角付きだろうと声に抑揚がなかろうと、生身の美少女と至近距離でことばを交わせるのはご褒美でしかない。ありがとうございます。
「正しくは元、魔王であるがな」
「あ……」
驚きに間抜けな声をあげることしかできない俺に、空っぽの鎧が視線を向けた。
顔はないのに、わかった。
全身鎧が腕に抱えた兜のバイザーのすき間から、こっちを見ている視線がある。
ひくり、と喉を鳴らして悲鳴を飲み込めば、鎧は俺に興味を失くしたようにまた歩き出す。カシャン、と無造作に頭の部分に乗せられた兜はもうこちらを見ていない。
「なんだよ、ここ……」
顔を上げる気力もなくしてぐったりした俺を咥えたまま、ケルベロスはチャッチャッと軽快な足音を立てて進んで行く。
どこへ連れて行かれるのか。
運ばれた先で食われるのか。
わからないけれど、無性に悲しくなってきて、嗚咽がもれる。
「うっ、ううぅ……うー……死にたくないぃ……」
ぐすぐすと泣きじゃくるのが恥ずかしいだなんて思う余裕は、もう無かった。
一度は死を覚悟して、けれど助かるかもしれないと抱いた希望が打ち砕かれて、俺の心は限界を迎えていた。
だから、気づかなかった。
ケルベロスが向かう先にひと……異形のモンスターたちが少なくなっていくことに。
そして、いつの間にか敷き詰められたレンガが終わってやわらかな芝生の絨毯に代わっていることに。
「サルートン。キーオ エスタス ティーオ?」
ぐったりと運ばれる俺の耳に、不意に涼やかな声が届いた。
タスタスと規則的に聞こえていた獣の足音が止む。ケルベロスが立ち止まったらしい。
「グオゥ、ウルルルル」
「ティオ ソナス インテレーサ」
ケルベロスの鳴き声に答えるように、誰かの声がする。何を言っているのかわからないけれど、涼やかで少し低めの、耳に馴染む声。
ぼうっと聞いていると、さり、と軽い足音に続いて俺の視界に黒い布が映り込んだ。
「チュ ラ リンボ ジフェレンカス?」
ひとだ。
言っている意味はわからないけど、ことばをしゃべるひとだ。
そう気が付くと、心のなかにむくむくと力が湧いてくる。
「た、助けてくださいっ!」
ぐしゃぐしゃに泣きはらしてるってことも忘れて顔を上げた俺は、目の前に立つひとに目を奪われた。
美少女だ。
柔らかなカーブを描く頬は透けるように白く、感情の薄い顔は人形のように整っていて、彼女の美しさを作り物のように見せている。足首まである真っ黒な飾り気のないワンピースが、むしろ彼女を神々しく見せていた。美人が着ると量販店の服でもおしゃれに見えるという話に、深く納得できる美しさだ。
ごくごく薄い黄色をした瞳が淡く輝いて見えるのは、気のせいだろうか。あまりにも目が大きいから、太陽の光を反射してそう見えるのかもしれない。
人間だ、と喜んだ気持ちはすぐにしぼんだ。彼女の濡れたように艶めく真っ黒な髪の毛のすき間から、頭の左右に角が生えていたからだ。
目を奪われるほどの美少女の頭に生える太く、天を突くようにねじれあがった二本の黒い角は異様だったけれど、それでも、俺の心は落胆に占められることはなかった。
だって、彼女はきれいだ。
それにことばを話していた。だったらことばは通じなくても、俺のピンチは伝えられるはず。
そう思って必死にジェスチャーを試みていると、ひとであるか否かなど放り出して見とれてしまうほど美しい少女の手のひらが、俺の額にかざされた。
ちいさな手のひらに作り物のように細く白い指。美少女は爪の先まできれいなのかと、ぼんやり思う。
「オートマタ トゥラデューコ」
ちいさなくちが動いて、不思議な音色を奏でる。
彼女の手のひらがかざされている俺の額がふわりと温かくなったような気がして、まばたきをすれば。
「わかるか?」
美少女が日本語をしゃべった。声が良い。
「えっ」
驚き、目を見開く俺の前で彼女がこてりと首をかしげる。動きに合わせて長い黒髪がさらりと揺れた。
「む? だめか? 手ごたえを感じたのだが」
「に、日本語……!」
可憐な少女のくちから流暢な日本語が聞こえて、俺は感動した。
彼女もまた、俺の顔を見て満足気にうなずく。表情は一ミリだって変わっていなけれど、ふむ、と頷くしぐさが満足そうだ。
「おお、通じたか。すこしな、音をいじらせてもらった。さて、そのままでは会話もままなるまい。ケルベロスよ、下ろしてやれ」
美少女が言うが早いか、俺の腹から圧迫感が消えた。
「ぐえっ」
どさっという音と間抜けなうめきを発して落下した俺がよろよろと顔を上げると、美少女はケルベロスの真ん中の頭をなでているところだった。
美少女とたわむれるもふもふ(自動車サイズ、頭三つ付き)。
撫でられたケルベロス(真ん中)はとてもうれしそうに目を細めて、だらしなく開いたくちから舌を垂らして「ハッハッ」と息を弾ませている。左右の顔の視線がうらやましそうに見えるのは、俺の見間違いじゃないはず。だってケルベロスの身体は見事な伏せの姿勢になっている。
これは、主人に褒められるのを待つ犬の姿勢だ。やたらデカいけど。
彼女は猛獣使いか。いや、威風堂々とした佇まいとその前に伏せをする大型の獣……これは。
「魔王に懐く魔物の図……!」
「おや、よくわかったな。我が魔王であったと」
「んん!?」
思わずつぶやいたことばに平然と返されて、俺のほうが驚いた。
だというのに、彼女は「ほめてつかわそう」と言わんばかり。いや確かに、頭の立派な角といい真っ黒な衣服といい魔王さまっぽいけれど、美少女魔王って誰得だ。俺得だ。
何を隠そう思春期まっただなかの俺(彼女募集中)にとっては、たとえ角付きだろうと声に抑揚がなかろうと、生身の美少女と至近距離でことばを交わせるのはご褒美でしかない。ありがとうございます。
「正しくは元、魔王であるがな」
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