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104. 王都の冒険者ギルド
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わいわい、がやがや。
様々な種族の人でごった返して賑わっている市場を見下ろす。
王都に来てからというもの、研究と身内の世話にかまけてばかりで王宮からほとんど出ていなかったから、この慣れない人混みの中に突撃するのかと思うと新鮮だ。
「皆、はぐれないようにな。俺達はちっちゃいから、迷子になったら見つけてもらえないぞ」
「フィード兄さんの言う通りだよレルム兄さん。気が付いたら鶏肉解体場だったーなんてことにならないようにね」
「僕解体されちゃう!?」
ひぇっ!と自らが乗っていたレストの肩にしがみつくレルム。
「レイン兄、脅しすぎ。もうちょっと信用してあげなよ」
「甘いよセルザ。あのレルム兄さんが大人しくしていると思う?」
レストが慰めるように撫でているレルムにちらっと視線を向ける。セルザも同じくそちらに目をやり、そしてそっと視線を外して「……信用する努力もしようよ」と苦し紛れに言い直す。もうそれだけでお察しである。
本日俺達は王宮の外に出ていた。
目的は王都の観光だ。
念願の服も出来たことだし、ずっと王宮にいるのも退屈だろうと思ってな。あとついでに情報収集も兼ねて。
掌サイズのヒヨコと小雛だけだとこの人混みの中では迷子になる恐れがあったので、足役のセレーナとレストも同行している。
セレーナの両肩にノヴァとセルザ、レストの両肩にレルムとレイン、俺はレストの腕の中。
ルファウスもいるが隠密中だ。王都では顔が割れてて動きにくいからって理由で。
ブルーはお留守番。ブルーを可愛がってくれている宮廷魔導師達に魔法を教わったりして勉強に励んでいる。
何故か騎士団長がついて来ようとしたが、優秀な部下に半ば引き摺るように連れて行かれた。吠えるような男泣きは聞かないフリをした。
「最初は市場を見て回って、そっから冒険者ギルドだっけ?」
「ああ。冒険者ギルドに行くときはセルザだけ別行動だ」
「我が儘言ってごめんねフィード兄……」
「なに、そんなの我が儘のうちに入らんさ」
申し訳なさそうに眉を下げるセルザに気にするなと微笑みかけて、レストとセレーナには眼下に広がる市場から少し逸れた小道に降りてもらう。
実は今俺達がいるのは民家の屋根の上だったりする。
レストは隠密ばりに静かに移動するし、セレーナも猫系獣人だから柔軟な身体で音も立てずに動ける。だから屋根の上をひょいひょい移動しても誰も何も言わないどころか一般人なら気付きさえしない。
だからって屋根から屋根に跳び移って移動しろなんて言ってないけどな?
そんな非常識なことをしでかすのはレストだけだ。本人は「このバレるかバレないかのギリギリの緊張感がゾクゾクして面白いんだよなー」と危険を感じる笑みを浮かべていた。こんな大人になってはいけませんとレルム達に言い含めておいた。
小道からそろりと市場に顔を出し、何食わぬ顔で歩き出すレストと後を追うセレーナ。食べ物の匂いにつられてふらふらと離れそうになるとノヴァとセルザが止めていたので概ね問題なさそうだ。
こっちはこっちで人の多さに驚いたり面白そうなものを見つけては突撃しようとするレルムをレインと二匹がかりで宥めながら辺りを見回す。
国で最も栄えている都市とあって様々な店が入り乱れている。
見たことのない食材を扱う店、女子受けしそうなお洒落な雑貨屋、よく分からないものを売る骨董品店、冒険者向けの武器屋……今まで見たどの街のものよりお高いが、その分質が良いものが揃っている。
兵士もくまなく巡回してるので悪質な犯罪もほとんどないし、ケイオス宰相と商業ギルドが結託して不定期に抜き打ち監査も行っているらしいのでそうそう悪い物も出回らない。
治安がいいし、安心して買い物ができる。ただ、他国の輸入品はそんなに多くない。やはり獣人国に対する差別意識は貿易にも影響を及ぼしていたようだ。国の中心部どころか貿易の要の国境の街でも輸入品の取り扱いは少ない。他国の獣人嫌いは筋金入りと見た。
「おっ……とと、すまんね兄ちゃん……ひぃっ!?」
前方が見えているか怪しいほどに大量の荷物を抱えて歩いていた中年の男性がぶつかりそうになり、片手で俺を抱っこしたままもう片方の手で男性を支えるレスト。
謝意を表すのと同時に荷物の隙間からこちらを見た男性はレストの腕の中にすっぽり納まっている俺を見て震え上がった。
「す、すいやせん!すいやせんっしたーー!!」
大袈裟なほど謝り倒して脱兎の如く逃げる男性。
周辺の人達が何事かとこちらを振り返り、俺を見ては後退り、または二度見して驚愕し、自ずと半径二メートル以上の距離が開く。
ひそひそと小声で話し合う主婦達の会話に聞き耳を立てているとノンバード族の賢者という単語が出ていた。
改めて実感するが、この世界にとって賢者というのはよっぽどの地雷らしい。
「皆にぃにに怯えてるー」
「歩きやすくなってちょうどいいね」
「だな。んじゃ観光といきますかー」
周りの目は極力気にせず、市場を見て回った。
寒い時季なのに元気に屋台を出す人もちらほらいて、気になったものは買い食いしたりとそれなりに楽しんだ。
遠巻きに見ていた人達の視線はずっとつきまとっているものの、賢者への恐れだけでなく鳥類獣人が衣服を着ているのが珍しいといった意味の視線もある。
しかもよく見てみれば小動物が可愛い服を着てお出かけしてる姿にキュンとして悶えてる人もいた。差別や恐れではない、純粋な好意を抱く人もいると知って少しばかりホッとした。
そんなこんなで大注目されながらも絡まれることはなく、無事冒険者ギルドに到着。
セルザだけは商業ギルドに行った。顔を売り込むためだと意気込んで。
俺達に宛がわれた護衛の一人がついていったので何かあっても対処できるだろう。
中に入ると視線が集まる。やはりというか、ここでも畏怖の目で見られた。
ただ、街の人ほど恐怖のこもった眼差しを向けてこない。それどころか見定めようとする人もちらほらいる。
冒険者は完全実力主義だから、たとえ賢者の称号を持っていたとしても実力が伴わなければ大した脅威ではないと判断するつもりなのだろう。
アネスタなどの辺境の冒険者と違って、王都には猛者が集う。人が多い街の近くには強い魔物が集まるからだ。ランクが上のそれなりに実力がある冒険者であればよっぽどのことがない限り物怖じしないし、筆記の昇格試験に合格できるほどだから頭も良い。ついでに言うと人格に問題がある人はランクを上げれない仕組みだ。
つまり、見定めようとはするが、差別などはしない。
逆に言えば俺達に喧嘩売ろうとしたりあからさまに態度を変えるようなやつは下位ランクの証拠だ。
今も俺が賢者の称号を持ってることを知らない冒険者が突っ掛かってこようとして装備からして上位ランクっぽい冒険者が止めてたし。
成人男性に抱き抱えられているにも関わらずこれだ。レストがパッと見強そうに見えないのも原因だろうけど。
一部始終を見ていた職員が奥に駆け込むと、柔和な男性が落ち着き払った様子で出て来た。
「賢者フィード様、当ギルドにお越し下さりありがとうございます。私は副ギルドマスターのヨシュアといいます。気軽にヨシュアとお呼び下さい。ギルドマスターが不在のため私が対応させて頂きますね」
ギルド内全体によく通る声で賢者の部分を強調して言う副ギルマス、もといヨシュアさん。
多分これは俺達のためのパフォーマンスだろう。賢者とその身内だと知らしめて揉め事を減らすための。
現に、俺達に突っ掛かってきそうだった輩が固まっている。これでもう絡んでこないだろう。
それより少し気になったことがひとつ。
「何かトラブルでも起こりました?本部のギルドマスターが不在って、よっぽどの事態ですよね」
辺境などの支部のギルマスはわりとフットワークが軽いが、王都本部はそういうわけにはいかない。
支部で重大な問題が発生した場合や、スタンピードなどの災害に備えたりで、有事の際にすぐ采配できるように、または自身が動けるようにギルドからあんまり出ないようにしてるのだ。
その本部のギルマスが不在。何かヤバイ案件でも発生したのだろうか。
思案する俺をよそにヨシュアさんは「あー違います違います」と朗らかに笑って手を振った。
「うちのギルマス、脱走癖がありまして。ギルマスが直々に対処しなければいけない事案が発生してるだとかそういうのではありませんのでご安心を」
前言撤回。本部のギルマスもフットワークが軽かった。
「……いいんですか?それ」
「良くはないですねぇ。ですが注意しても聞く耳持たないし、有事のときにはきちんと動くので叱るに叱れなくて。その上、仕事をあらかた終わらせてから脱走するので始末に負えないんですよ」
無駄に有能な人ってこれだから嫌なんですよねーと爽やかに笑うヨシュアさんだが、よくよく見てみると瞳の奥が笑っていない。
あっ。これ、あれだ。怒りを通り越して冷静になるどころか一周回ってぶっ壊れちゃった目だ。
これ以上彼の上司について話すのはまずい気がしたので話を切り上げ、周辺にどんな魔物が生息してるか確認しに来ただけだと告げて掲示板へ直行。
ヨシュアさんは下手な干渉はせず「何かありましたら私をお呼び下さい」と頭を下げてギルドの奥に引っ込んだ。
「にゃ~!遊べるやついっぱいにゃ~!」
買い食いしたときよりも目を輝かせて掲示板に張り付くセレーナ。ノヴァも「良い素材になりそう」と呟きながら掲示板に見入る。
サンダーバードはもちろんのこと、ワイバーンやアースドラゴンなど、確かに素材が目白押しだ。
レルムもセレーナ同様好戦的な目で掲示板を凝視してるし、レインも「たまの運動にちょうどいいね」と嬉しそうだ。
後から合流したセルザも楽しい時間を過ごせたようで、全員が満足顔で王宮へと戻った。
ちなみにセレーナには「観光中、一回も建物を壊さなかったら今度一日中遊んでやる」と言ったからか、破壊活動は鳴りを潜めていた。
様々な種族の人でごった返して賑わっている市場を見下ろす。
王都に来てからというもの、研究と身内の世話にかまけてばかりで王宮からほとんど出ていなかったから、この慣れない人混みの中に突撃するのかと思うと新鮮だ。
「皆、はぐれないようにな。俺達はちっちゃいから、迷子になったら見つけてもらえないぞ」
「フィード兄さんの言う通りだよレルム兄さん。気が付いたら鶏肉解体場だったーなんてことにならないようにね」
「僕解体されちゃう!?」
ひぇっ!と自らが乗っていたレストの肩にしがみつくレルム。
「レイン兄、脅しすぎ。もうちょっと信用してあげなよ」
「甘いよセルザ。あのレルム兄さんが大人しくしていると思う?」
レストが慰めるように撫でているレルムにちらっと視線を向ける。セルザも同じくそちらに目をやり、そしてそっと視線を外して「……信用する努力もしようよ」と苦し紛れに言い直す。もうそれだけでお察しである。
本日俺達は王宮の外に出ていた。
目的は王都の観光だ。
念願の服も出来たことだし、ずっと王宮にいるのも退屈だろうと思ってな。あとついでに情報収集も兼ねて。
掌サイズのヒヨコと小雛だけだとこの人混みの中では迷子になる恐れがあったので、足役のセレーナとレストも同行している。
セレーナの両肩にノヴァとセルザ、レストの両肩にレルムとレイン、俺はレストの腕の中。
ルファウスもいるが隠密中だ。王都では顔が割れてて動きにくいからって理由で。
ブルーはお留守番。ブルーを可愛がってくれている宮廷魔導師達に魔法を教わったりして勉強に励んでいる。
何故か騎士団長がついて来ようとしたが、優秀な部下に半ば引き摺るように連れて行かれた。吠えるような男泣きは聞かないフリをした。
「最初は市場を見て回って、そっから冒険者ギルドだっけ?」
「ああ。冒険者ギルドに行くときはセルザだけ別行動だ」
「我が儘言ってごめんねフィード兄……」
「なに、そんなの我が儘のうちに入らんさ」
申し訳なさそうに眉を下げるセルザに気にするなと微笑みかけて、レストとセレーナには眼下に広がる市場から少し逸れた小道に降りてもらう。
実は今俺達がいるのは民家の屋根の上だったりする。
レストは隠密ばりに静かに移動するし、セレーナも猫系獣人だから柔軟な身体で音も立てずに動ける。だから屋根の上をひょいひょい移動しても誰も何も言わないどころか一般人なら気付きさえしない。
だからって屋根から屋根に跳び移って移動しろなんて言ってないけどな?
そんな非常識なことをしでかすのはレストだけだ。本人は「このバレるかバレないかのギリギリの緊張感がゾクゾクして面白いんだよなー」と危険を感じる笑みを浮かべていた。こんな大人になってはいけませんとレルム達に言い含めておいた。
小道からそろりと市場に顔を出し、何食わぬ顔で歩き出すレストと後を追うセレーナ。食べ物の匂いにつられてふらふらと離れそうになるとノヴァとセルザが止めていたので概ね問題なさそうだ。
こっちはこっちで人の多さに驚いたり面白そうなものを見つけては突撃しようとするレルムをレインと二匹がかりで宥めながら辺りを見回す。
国で最も栄えている都市とあって様々な店が入り乱れている。
見たことのない食材を扱う店、女子受けしそうなお洒落な雑貨屋、よく分からないものを売る骨董品店、冒険者向けの武器屋……今まで見たどの街のものよりお高いが、その分質が良いものが揃っている。
兵士もくまなく巡回してるので悪質な犯罪もほとんどないし、ケイオス宰相と商業ギルドが結託して不定期に抜き打ち監査も行っているらしいのでそうそう悪い物も出回らない。
治安がいいし、安心して買い物ができる。ただ、他国の輸入品はそんなに多くない。やはり獣人国に対する差別意識は貿易にも影響を及ぼしていたようだ。国の中心部どころか貿易の要の国境の街でも輸入品の取り扱いは少ない。他国の獣人嫌いは筋金入りと見た。
「おっ……とと、すまんね兄ちゃん……ひぃっ!?」
前方が見えているか怪しいほどに大量の荷物を抱えて歩いていた中年の男性がぶつかりそうになり、片手で俺を抱っこしたままもう片方の手で男性を支えるレスト。
謝意を表すのと同時に荷物の隙間からこちらを見た男性はレストの腕の中にすっぽり納まっている俺を見て震え上がった。
「す、すいやせん!すいやせんっしたーー!!」
大袈裟なほど謝り倒して脱兎の如く逃げる男性。
周辺の人達が何事かとこちらを振り返り、俺を見ては後退り、または二度見して驚愕し、自ずと半径二メートル以上の距離が開く。
ひそひそと小声で話し合う主婦達の会話に聞き耳を立てているとノンバード族の賢者という単語が出ていた。
改めて実感するが、この世界にとって賢者というのはよっぽどの地雷らしい。
「皆にぃにに怯えてるー」
「歩きやすくなってちょうどいいね」
「だな。んじゃ観光といきますかー」
周りの目は極力気にせず、市場を見て回った。
寒い時季なのに元気に屋台を出す人もちらほらいて、気になったものは買い食いしたりとそれなりに楽しんだ。
遠巻きに見ていた人達の視線はずっとつきまとっているものの、賢者への恐れだけでなく鳥類獣人が衣服を着ているのが珍しいといった意味の視線もある。
しかもよく見てみれば小動物が可愛い服を着てお出かけしてる姿にキュンとして悶えてる人もいた。差別や恐れではない、純粋な好意を抱く人もいると知って少しばかりホッとした。
そんなこんなで大注目されながらも絡まれることはなく、無事冒険者ギルドに到着。
セルザだけは商業ギルドに行った。顔を売り込むためだと意気込んで。
俺達に宛がわれた護衛の一人がついていったので何かあっても対処できるだろう。
中に入ると視線が集まる。やはりというか、ここでも畏怖の目で見られた。
ただ、街の人ほど恐怖のこもった眼差しを向けてこない。それどころか見定めようとする人もちらほらいる。
冒険者は完全実力主義だから、たとえ賢者の称号を持っていたとしても実力が伴わなければ大した脅威ではないと判断するつもりなのだろう。
アネスタなどの辺境の冒険者と違って、王都には猛者が集う。人が多い街の近くには強い魔物が集まるからだ。ランクが上のそれなりに実力がある冒険者であればよっぽどのことがない限り物怖じしないし、筆記の昇格試験に合格できるほどだから頭も良い。ついでに言うと人格に問題がある人はランクを上げれない仕組みだ。
つまり、見定めようとはするが、差別などはしない。
逆に言えば俺達に喧嘩売ろうとしたりあからさまに態度を変えるようなやつは下位ランクの証拠だ。
今も俺が賢者の称号を持ってることを知らない冒険者が突っ掛かってこようとして装備からして上位ランクっぽい冒険者が止めてたし。
成人男性に抱き抱えられているにも関わらずこれだ。レストがパッと見強そうに見えないのも原因だろうけど。
一部始終を見ていた職員が奥に駆け込むと、柔和な男性が落ち着き払った様子で出て来た。
「賢者フィード様、当ギルドにお越し下さりありがとうございます。私は副ギルドマスターのヨシュアといいます。気軽にヨシュアとお呼び下さい。ギルドマスターが不在のため私が対応させて頂きますね」
ギルド内全体によく通る声で賢者の部分を強調して言う副ギルマス、もといヨシュアさん。
多分これは俺達のためのパフォーマンスだろう。賢者とその身内だと知らしめて揉め事を減らすための。
現に、俺達に突っ掛かってきそうだった輩が固まっている。これでもう絡んでこないだろう。
それより少し気になったことがひとつ。
「何かトラブルでも起こりました?本部のギルドマスターが不在って、よっぽどの事態ですよね」
辺境などの支部のギルマスはわりとフットワークが軽いが、王都本部はそういうわけにはいかない。
支部で重大な問題が発生した場合や、スタンピードなどの災害に備えたりで、有事の際にすぐ采配できるように、または自身が動けるようにギルドからあんまり出ないようにしてるのだ。
その本部のギルマスが不在。何かヤバイ案件でも発生したのだろうか。
思案する俺をよそにヨシュアさんは「あー違います違います」と朗らかに笑って手を振った。
「うちのギルマス、脱走癖がありまして。ギルマスが直々に対処しなければいけない事案が発生してるだとかそういうのではありませんのでご安心を」
前言撤回。本部のギルマスもフットワークが軽かった。
「……いいんですか?それ」
「良くはないですねぇ。ですが注意しても聞く耳持たないし、有事のときにはきちんと動くので叱るに叱れなくて。その上、仕事をあらかた終わらせてから脱走するので始末に負えないんですよ」
無駄に有能な人ってこれだから嫌なんですよねーと爽やかに笑うヨシュアさんだが、よくよく見てみると瞳の奥が笑っていない。
あっ。これ、あれだ。怒りを通り越して冷静になるどころか一周回ってぶっ壊れちゃった目だ。
これ以上彼の上司について話すのはまずい気がしたので話を切り上げ、周辺にどんな魔物が生息してるか確認しに来ただけだと告げて掲示板へ直行。
ヨシュアさんは下手な干渉はせず「何かありましたら私をお呼び下さい」と頭を下げてギルドの奥に引っ込んだ。
「にゃ~!遊べるやついっぱいにゃ~!」
買い食いしたときよりも目を輝かせて掲示板に張り付くセレーナ。ノヴァも「良い素材になりそう」と呟きながら掲示板に見入る。
サンダーバードはもちろんのこと、ワイバーンやアースドラゴンなど、確かに素材が目白押しだ。
レルムもセレーナ同様好戦的な目で掲示板を凝視してるし、レインも「たまの運動にちょうどいいね」と嬉しそうだ。
後から合流したセルザも楽しい時間を過ごせたようで、全員が満足顔で王宮へと戻った。
ちなみにセレーナには「観光中、一回も建物を壊さなかったら今度一日中遊んでやる」と言ったからか、破壊活動は鳴りを潜めていた。
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