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王子の呪いはいい感じ

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次に王子にあったのは、それから2-3年後。

王子はまた呪われていた。

赤子ではなく、ずいぶん子どもらしい姿になった王子は、前と同じベッドでウンウンうなりながら眠っている。

「…今回のものも中々」

そう言って今回も前回と同じように王子の呪いを頂戴ちょうだいした。

今回もそれなりに強い呪いだったので、私の寿命は2-3年延びただろう。





それからまた2-3年後。

私はまた王子の部屋にいた。

はじめて来たときと部屋の様子はだいぶ変わったが、王子は相変わらず呪いにかかっており、いつもと同じベッドでゼーゼーウンウンいって眠っていた。

「相変わらず、私好みのすごい呪いにかかっているな」

そう言って今回もまた王子の呪いを頂戴した。

いつもと同じように、私の寿命は2-3年延びたことだろう。





それからまた2-3年後。

いつものごとく私は、王子の呪いを頂戴した。





それからまた2-3年後。

もはや、お決まりのパターンになっているような気もするが、またもや王子は呪いにかかっていた。それも、今までで1番の呪いに。

ずいぶん大きく豪華になったベッドの上で、すっかり大きくなった王子はしかし、ウンともスンとも言わず、死んだように横たわっていた。

(というよりこれは…)

「ほぼ死にかけているな…」

来るのが遅れてしまったろうかと思いながら、額に手を載せる。ひんやりとしており体温としてはまさに死人のそれだが、かろうじて息はありそうだ。

「これならば、まぁなんとか、なる…かな?」

器が死んでしまうと、呪いをいただくことができないため、いつもより強い力を早々に王子の体にめぐらせる。すると、ドクリと王子の身体がねる。

「大丈夫。君の呪いは、私が美味しくいただいてやる」

そう言いながら、王子の胸をポンポンと軽く叩いた。

そして、いつもと同じように私の力ごと王子の呪いも引き抜いて、取り込んだ。

「…っ!…っ~!!」

(…っ、こ、れは、っすごい!)

想像以上の威力を秘めた呪いだった。

私の身体がボコボコと波打っている。腕も足も首も腹や背でさえも、全身が激しく波打ち、痙攣けいれんしている。

こんなすごい呪いは、それなりに長い生を生きてきた私にとってもはじめてだった。

(これは…なじむのに相当時間がかかるな)

しかし、その見返りはじゅうぶん得られそうだ。

「これなら、むこう20-30年はいけるかな」

フフフと、つい上機嫌になってしまう。

王子の額からいったん手を離すが、もう1度手をかざす。

上機嫌ゆえのきまぐれだった。

「魔女アリアの加護を君に」

そう言うと、少しだけ力を王子の身体に巡らせた。

「これで君は今回以上の呪いでなければ、もう呪いのたぐいにかかることはない」

思えば、同じ人間のところに何度も通うことなど、はじめてのことだった。

それだけ王子が何度も強力な呪いにかかっており、その呪いが私にとって魅力的だったからではあるが。

「もうきっと、君のもとに来ることはないだろう」

そう言って王子の額から手を離そうとした。

したのに。

「それは困りますね」

震える手が、私の腕をつかんだ。


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