子狐のウエディング

Sigune.

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第2章

第8話

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 面接が終わり、休憩に入った。外に出ると、レオが待ってくれていた。しかし、デイドリームが来ても、スマホから目を離さない。

「おーい」

 デイドリームが、レオの顔の前で手を振りながら呼びかけた。それから、レオはスマホから顔を上げて、「よっ!」と言った。「よっ、じゃねぇだろ」と思った。

 
 デイドリームは、レオが話し始める前に話を切り出した。
「話があるんだけど良い?」
 
 すると、レオは
「なんだよ、急にかしこまって……」 

「なんで試験中あんなに視線感じるんだろう、と思ってさ」 
 デイドリームはレオの言葉に対して食い気味に言った。

「それは、お前が有名だからだよ」
 レオにそう言われた瞬間、今までの全てが結びついた。

 あの警備員2人がデイドリームの名前や能力まで知っていたこと。

 待合室でデイドリームを見てコソコソと話していたこと。

 会議室に入った時、会場内がざわついたこと。


 デイドリームは(いや、待てよ)と思った。
「なんで、僕は有名なの?」
とデイドリームが聞いた。なんだか奇妙な言い方になった。

「まず、お前の親父もクリアーもヒーローだろ?そんで、その家族に、すげえ能力の持ち主がいたら、そりゃ気になるだろうな」
とレオが返すと、デイドリームは、確かにそうだと思った。

 多分、大勢は、デイドリームが能力を使えない状況を知らないのだろう。デイドリームは、自分への期待の思いもあるかもしれないと思った。まあ期待に応えられるわけはないのだが……


 全ては、田舎暮らしだったデイドリームが気付けなかった事実だった。大勢に囲まれて、レオからのヒントでようやく分かった事実だった。

 「大勢に囲まれて、しかも大勢は自分のことを見ている」と考えると、急に緊張して汗をかいてきた。

 レオにそれを悟られないよう、走ってトイレに駆け込んだ。

 そして、トイレの中でカバンからタオルを取り出し、汗を拭いた。
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