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第3章
29.命が尽きる前に決着をつける!!(side:ローイン)
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奥の手を使うことを決めたローイン。
まだ無事な右手で懐を探って取り出したのは一つの固形の薬錠であった。
2年前、エクレアが『魔力』と『魔人化』を得た薬の錠薬版。
エクレアと同じ力を得るため、薬の製法を調べるために母であるスージーの部屋へ忍び込んだ時に見つけた薬だ。
レシピと共に添えられた母からの手紙と共に……
「母さん……どうやら母さんの予測通りの事態になったよ」
ローインの母、スージーは予測していた。
本来なら焼却処分しなければいけない悪魔の薬を必要とする時が来るっと……
息子が死ぬとわかってようとも力を求めてくるっと……
だから用意していた。
例え息子を死に追いやってしまおうとも、それでも力を……
命に変えてもエクレアを助けたいと思うならっと人知れず薬を精製していた。
「ははは……これ飲めば僕は死ぬのか。でも……」
“ヤメテ……モウ……ヤメテ……”
「わかってるよ、エクレアちゃんは止めたいんだよね………僕に助けを求めているんだよね……」
もしかしたら他にも方法はあるかもしれない。
別の打開策はあるかもしれない。
それでも、ロ―インはあえてそれを選んだ。
ほんのわずか、一瞬でもエクレアと同じ目線へと立つ道を……
絶望を真正面からねじ伏せにかかる、エクレアと同じ道を……
「さぁ、みせてもらうよ……これを飲んだエクレアちゃんは一体どんな光景をみたのか」
薬を飲み込む。
これでもう後戻りはできない。
でもそれでいい………
例え命を失っても僕は……
……
…………
………………
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ローインは絶叫をあげた。
最初は何ともなくとも、唐突に襲ってきた苦しみはまさに地獄。ありとあらゆる苦痛が同時に襲い掛かってくるかのような、自分が自分で無くなっていくかのような感覚。
気を抜けば一瞬で暗闇へ叩き落とされるかのような激痛に頭をかかえる。
“エクレアちゃんはあの時こんな苦痛を味わったのか”
予想はしていた。
エクレアが床を転げまわりながら苦しみもがいてた光景を実際にこの目でみていたのだから想定していた。
これは予想通り、今更驚くなっと理性に訴えるも……
「あぁぁぁぁぁあがあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
理性とは別に本能が訴える。
早く吐き出せっと無意識に喉をひっかきながら、吐き出せっと訴える。
自分の身体を無理やり作り替えられる恐怖に発狂してしまいそうになる。
“ダメだ!!吐き出すな……吐き出せば全てが無になる”
絶え間なく続く痛み。自分が徐々に壊れていく感覚。
痛み共に荒れ狂うまでの、全てを破壊したい衝動に襲われる。
“それでも……耐えるんだ。当時は9歳だったエクレアちゃんが耐えたんだ。11歳の男が耐え……るんじゃない”
「あぁああああ……!!!」
ふと頭にある考えがよぎった。
この苦しみは耐えてるからこそ生まれるのではっと…
なぜそう思ったのかわからない。
本当に直感だったが耐えなければ……いや、耐えるんじゃない。やり過ごすだなんて甘い事言わずにねじ伏せる。
“『力』がほしい”っと願うのではなく“『力』をよこせ”と奪いとる。
弱気に、後ろへと下がるのではなく………
強気に、あえて前へ……
踏み出せ!!!!
ダン!!
無意識に足を踏み鳴らす。
その足を中心にして放射状の衝撃波と暴風が荒れ狂った。
『魔人化』したエクレアが発動時に決まって行う動作。『震脚』をローインは放った。
エクレアはなぜわざわざ発動の度に踏み鳴らすのか不思議に思っていたが、同じ立場になって理解した。
これは決意表明。
魔人の力を強奪するための、『受け』ではなく『攻め』のための一歩を踏み出すための儀式だ。
ただの思い込みなのだろうが、素数数えるだけで落ち着きを取り戻せるローインにとってはこうかばつぐんなようだ。
薬の力はローインに屈したのか、昔から共にあったかのように自然としみこんでいく。
身体が徐々に壊れていく、命を削られていく感覚は残ったままだが、元々猛毒の薬だし仕方ないだろう。
だから……
無事……とは言い切れないボロボロの身体でエクレアに顔を向ける。
エクレアも正気……いや、普段から狂っているような彼女に正気も何もないが意思は戻ったようだ。
普段みないような表情で必死に何かを訴えていた。
(ははは……エクレアちゃんがあんな必死に訴えてくるなんて、初めてだよ。本当に初めての経験だよ)
いつも彼女に驚かされてばかりだったが、今回は逆に驚かす事ができた。
そう思うと自然と笑みがでる。
だがまだだ。まだ終わってない。
驚かすのはこれからだ。
残された時間は少ない。
ローインに残された命の灯はわずか……
“命が尽きる前に決着をつける!!”
ローインは決意新たに、男を見据えた。
残された命のカウントは……
まだ無事な右手で懐を探って取り出したのは一つの固形の薬錠であった。
2年前、エクレアが『魔力』と『魔人化』を得た薬の錠薬版。
エクレアと同じ力を得るため、薬の製法を調べるために母であるスージーの部屋へ忍び込んだ時に見つけた薬だ。
レシピと共に添えられた母からの手紙と共に……
「母さん……どうやら母さんの予測通りの事態になったよ」
ローインの母、スージーは予測していた。
本来なら焼却処分しなければいけない悪魔の薬を必要とする時が来るっと……
息子が死ぬとわかってようとも力を求めてくるっと……
だから用意していた。
例え息子を死に追いやってしまおうとも、それでも力を……
命に変えてもエクレアを助けたいと思うならっと人知れず薬を精製していた。
「ははは……これ飲めば僕は死ぬのか。でも……」
“ヤメテ……モウ……ヤメテ……”
「わかってるよ、エクレアちゃんは止めたいんだよね………僕に助けを求めているんだよね……」
もしかしたら他にも方法はあるかもしれない。
別の打開策はあるかもしれない。
それでも、ロ―インはあえてそれを選んだ。
ほんのわずか、一瞬でもエクレアと同じ目線へと立つ道を……
絶望を真正面からねじ伏せにかかる、エクレアと同じ道を……
「さぁ、みせてもらうよ……これを飲んだエクレアちゃんは一体どんな光景をみたのか」
薬を飲み込む。
これでもう後戻りはできない。
でもそれでいい………
例え命を失っても僕は……
……
…………
………………
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ローインは絶叫をあげた。
最初は何ともなくとも、唐突に襲ってきた苦しみはまさに地獄。ありとあらゆる苦痛が同時に襲い掛かってくるかのような、自分が自分で無くなっていくかのような感覚。
気を抜けば一瞬で暗闇へ叩き落とされるかのような激痛に頭をかかえる。
“エクレアちゃんはあの時こんな苦痛を味わったのか”
予想はしていた。
エクレアが床を転げまわりながら苦しみもがいてた光景を実際にこの目でみていたのだから想定していた。
これは予想通り、今更驚くなっと理性に訴えるも……
「あぁぁぁぁぁあがあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
理性とは別に本能が訴える。
早く吐き出せっと無意識に喉をひっかきながら、吐き出せっと訴える。
自分の身体を無理やり作り替えられる恐怖に発狂してしまいそうになる。
“ダメだ!!吐き出すな……吐き出せば全てが無になる”
絶え間なく続く痛み。自分が徐々に壊れていく感覚。
痛み共に荒れ狂うまでの、全てを破壊したい衝動に襲われる。
“それでも……耐えるんだ。当時は9歳だったエクレアちゃんが耐えたんだ。11歳の男が耐え……るんじゃない”
「あぁああああ……!!!」
ふと頭にある考えがよぎった。
この苦しみは耐えてるからこそ生まれるのではっと…
なぜそう思ったのかわからない。
本当に直感だったが耐えなければ……いや、耐えるんじゃない。やり過ごすだなんて甘い事言わずにねじ伏せる。
“『力』がほしい”っと願うのではなく“『力』をよこせ”と奪いとる。
弱気に、後ろへと下がるのではなく………
強気に、あえて前へ……
踏み出せ!!!!
ダン!!
無意識に足を踏み鳴らす。
その足を中心にして放射状の衝撃波と暴風が荒れ狂った。
『魔人化』したエクレアが発動時に決まって行う動作。『震脚』をローインは放った。
エクレアはなぜわざわざ発動の度に踏み鳴らすのか不思議に思っていたが、同じ立場になって理解した。
これは決意表明。
魔人の力を強奪するための、『受け』ではなく『攻め』のための一歩を踏み出すための儀式だ。
ただの思い込みなのだろうが、素数数えるだけで落ち着きを取り戻せるローインにとってはこうかばつぐんなようだ。
薬の力はローインに屈したのか、昔から共にあったかのように自然としみこんでいく。
身体が徐々に壊れていく、命を削られていく感覚は残ったままだが、元々猛毒の薬だし仕方ないだろう。
だから……
無事……とは言い切れないボロボロの身体でエクレアに顔を向ける。
エクレアも正気……いや、普段から狂っているような彼女に正気も何もないが意思は戻ったようだ。
普段みないような表情で必死に何かを訴えていた。
(ははは……エクレアちゃんがあんな必死に訴えてくるなんて、初めてだよ。本当に初めての経験だよ)
いつも彼女に驚かされてばかりだったが、今回は逆に驚かす事ができた。
そう思うと自然と笑みがでる。
だがまだだ。まだ終わってない。
驚かすのはこれからだ。
残された時間は少ない。
ローインに残された命の灯はわずか……
“命が尽きる前に決着をつける!!”
ローインは決意新たに、男を見据えた。
残された命のカウントは……
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