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第2章
7.あちゃ~今日は馬鹿が詰めてる日か (てんぷら回)
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冒険者ギルド……
世間一般だとギルドは総合事務所みたいなところを想像するだろう。
掲示板に多種多様な依頼書が張り出されおり、それを受付のお姉さんの元へもっていって受理される事で仕事を請け負う。
その裏では華のない野郎達が雑用をこなしてるっと、そんなイメージがあるだろう。
だが、この辺境のゴッドライフの村では勝手が違う。
この村はRPGでいう旅立ちの村とか王様が住む城下町みたく、序盤で訪れるようなところではない。
物語の終盤に立ち寄る最後の拠点。ラストダンジョンに挑む勇者たちが、最後の補給と休息を行うために訪れる最前線のようなとこだ。
危険度の高い依頼も多く、人材リソースも少ない。
より生存率や任務達成率を高めるためギルド所属=一つのチーム。いわば傭兵団のような形になっており、ギルド長を始めとする上層部が構成員に適切な仕事を割り振ってまわしてるところである。
もちろん通常のギルドと同じように、自分から依頼を受ける事もできる。ただし、適切かと判断されない限りは受理されないので、実力が足りない場合は雑多な仕事しか与えられない。
なので外から一攫千金とか観光気分で来るような、酷い場合は漁夫の利や寄生目当てでやってきたような馬鹿にはどうでもいい雑用仕事しか割り振られない。
そうなれば当然反発する。『そんな仕事受けれるか!!』っと飛び出すも、いざ自分達で魔物を狩りにいく度胸もない。
ギルドと併設されている酒場を兼ねた食堂にて、真昼間からただただ愚痴や夢みたいな妄想を垂れ流してながら酒飲んで騒ぐのが関の山。
今日は丁度その日であった。
モヒカンとハゲの以下にもな馬鹿二人が酒場で絶賛、寝言をほざきながらやけ酒中である。
「あちゃ~今日は馬鹿が詰めてる日か」
中央部は夢のない現実的な仕事しかないから、ああいった夢見がちな馬鹿は定期的に来る。
構造の関係上、ギルドの正面ロビーは酒場からも丸見え。そこへ⑨歳少女が訪れたら即座に絡まれる事間違いなし。
エクレアは余計なトラブルを避けるためにこっそりと裏から……入らずあえて正面から踏み込んでトラブルを起こした。
馬鹿の二人組が給仕のお手伝いをしてた女の子、ランプの妹モモちゃん7歳に絡み始めたのがみえたため、あえてトラブルに飛び込んだのだ。
まず手始めに、嫌がるモモちゃんを引き寄せて無理やり酌させようとしているモヒカン目掛けて……
バシャ!!
っと外で汲んできた桶一杯の水をぶっかけた。
「てめえなにしやがる」
「申し訳ございません。お客さま、手が滑ってしまいました」
水をかけた事で激情にかられるモヒカンに、全く謝ってるようにはみえないにこやかな笑顔で謝るエクレア。
当然その態度は怒りを煽る。ヘイトは即座にエクレアへと切り替わった。
「謝るならもっとしっかり謝れやごらぁ!!」
逆上して掴みかかってきたが、エクレアは慌てない。
笑顔を崩さずに、その手を先につかんで引き寄せつつ足払い。
ドッスン!!!
仰向けに転がされたモヒカンにエクレアはさらに追撃。
腹を思いっきり踏みつけるという、一部の業界ではご褒美となるものをプレゼントだ。
「ごほぁっ!!!?」
喜び?のあまり壮大にリバースしてきたのでエクレアは即座に離れて回避。
「%zk×ン*+<!!」
ガッシャァァァァァァン!!
相方がやられたことでハゲが逆上。よく聞き取れないような怒りの声を上げながら酒瓶をテーブルに叩きつけてきたものの、エクレアは全く動じない。
先制攻撃とばかりにテーブルの縁を足裏で思いっきり蹴りつけた。
ドゴン!!
蹴りの反動で押し出されたテーブルは見事にハゲのみぞおちへと強打。
ひるんだところを追撃っとばかりに両手でテーブルの縁を掴んで
「そ~~~っい!!!」
っと気合と共にちゃぶ台返しならぬテーブル返しでもって
グシャー!!
下敷きにした。
こうして馬鹿二人は沈黙。その間わずか10秒程度。
「はい、片付いた。モモちゃんもう平気だよ」
「う、うん…」
盛大に絡まれて泣きそうだったモモちゃんを優しくあやすエクレア。
後ろの惨状を完全に無視してというか、この惨状は完全に⑨歳の女の子が行えるものじゃないが、ここは常に魔物や魔獣の襲撃に備える必要性がある修羅の村だ。
子供といえども、ある程度の自衛手段の確保は義務なのだ。
それに加え、過去には掴みかかってきた手をそっと上品に両手で捕まえてそのまま笑顔で骨ごとすり潰したり、頭を冷やせっと言わんばかりに魔法で作り出した氷を纏った拳で顔面ぶん殴って血祭にあげた給仕の女の子もいたぐらいだ。
ほっとけばすぐに治る打ち身程度で済ませたエクレアはまだ優しい方なのである。
まだ優しい方なのである………
………たぶん。
世間一般だとギルドは総合事務所みたいなところを想像するだろう。
掲示板に多種多様な依頼書が張り出されおり、それを受付のお姉さんの元へもっていって受理される事で仕事を請け負う。
その裏では華のない野郎達が雑用をこなしてるっと、そんなイメージがあるだろう。
だが、この辺境のゴッドライフの村では勝手が違う。
この村はRPGでいう旅立ちの村とか王様が住む城下町みたく、序盤で訪れるようなところではない。
物語の終盤に立ち寄る最後の拠点。ラストダンジョンに挑む勇者たちが、最後の補給と休息を行うために訪れる最前線のようなとこだ。
危険度の高い依頼も多く、人材リソースも少ない。
より生存率や任務達成率を高めるためギルド所属=一つのチーム。いわば傭兵団のような形になっており、ギルド長を始めとする上層部が構成員に適切な仕事を割り振ってまわしてるところである。
もちろん通常のギルドと同じように、自分から依頼を受ける事もできる。ただし、適切かと判断されない限りは受理されないので、実力が足りない場合は雑多な仕事しか与えられない。
なので外から一攫千金とか観光気分で来るような、酷い場合は漁夫の利や寄生目当てでやってきたような馬鹿にはどうでもいい雑用仕事しか割り振られない。
そうなれば当然反発する。『そんな仕事受けれるか!!』っと飛び出すも、いざ自分達で魔物を狩りにいく度胸もない。
ギルドと併設されている酒場を兼ねた食堂にて、真昼間からただただ愚痴や夢みたいな妄想を垂れ流してながら酒飲んで騒ぐのが関の山。
今日は丁度その日であった。
モヒカンとハゲの以下にもな馬鹿二人が酒場で絶賛、寝言をほざきながらやけ酒中である。
「あちゃ~今日は馬鹿が詰めてる日か」
中央部は夢のない現実的な仕事しかないから、ああいった夢見がちな馬鹿は定期的に来る。
構造の関係上、ギルドの正面ロビーは酒場からも丸見え。そこへ⑨歳少女が訪れたら即座に絡まれる事間違いなし。
エクレアは余計なトラブルを避けるためにこっそりと裏から……入らずあえて正面から踏み込んでトラブルを起こした。
馬鹿の二人組が給仕のお手伝いをしてた女の子、ランプの妹モモちゃん7歳に絡み始めたのがみえたため、あえてトラブルに飛び込んだのだ。
まず手始めに、嫌がるモモちゃんを引き寄せて無理やり酌させようとしているモヒカン目掛けて……
バシャ!!
っと外で汲んできた桶一杯の水をぶっかけた。
「てめえなにしやがる」
「申し訳ございません。お客さま、手が滑ってしまいました」
水をかけた事で激情にかられるモヒカンに、全く謝ってるようにはみえないにこやかな笑顔で謝るエクレア。
当然その態度は怒りを煽る。ヘイトは即座にエクレアへと切り替わった。
「謝るならもっとしっかり謝れやごらぁ!!」
逆上して掴みかかってきたが、エクレアは慌てない。
笑顔を崩さずに、その手を先につかんで引き寄せつつ足払い。
ドッスン!!!
仰向けに転がされたモヒカンにエクレアはさらに追撃。
腹を思いっきり踏みつけるという、一部の業界ではご褒美となるものをプレゼントだ。
「ごほぁっ!!!?」
喜び?のあまり壮大にリバースしてきたのでエクレアは即座に離れて回避。
「%zk×ン*+<!!」
ガッシャァァァァァァン!!
相方がやられたことでハゲが逆上。よく聞き取れないような怒りの声を上げながら酒瓶をテーブルに叩きつけてきたものの、エクレアは全く動じない。
先制攻撃とばかりにテーブルの縁を足裏で思いっきり蹴りつけた。
ドゴン!!
蹴りの反動で押し出されたテーブルは見事にハゲのみぞおちへと強打。
ひるんだところを追撃っとばかりに両手でテーブルの縁を掴んで
「そ~~~っい!!!」
っと気合と共にちゃぶ台返しならぬテーブル返しでもって
グシャー!!
下敷きにした。
こうして馬鹿二人は沈黙。その間わずか10秒程度。
「はい、片付いた。モモちゃんもう平気だよ」
「う、うん…」
盛大に絡まれて泣きそうだったモモちゃんを優しくあやすエクレア。
後ろの惨状を完全に無視してというか、この惨状は完全に⑨歳の女の子が行えるものじゃないが、ここは常に魔物や魔獣の襲撃に備える必要性がある修羅の村だ。
子供といえども、ある程度の自衛手段の確保は義務なのだ。
それに加え、過去には掴みかかってきた手をそっと上品に両手で捕まえてそのまま笑顔で骨ごとすり潰したり、頭を冷やせっと言わんばかりに魔法で作り出した氷を纏った拳で顔面ぶん殴って血祭にあげた給仕の女の子もいたぐらいだ。
ほっとけばすぐに治る打ち身程度で済ませたエクレアはまだ優しい方なのである。
まだ優しい方なのである………
………たぶん。
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