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第39話 エピローグ
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――【時空の狭間】にて。
俺は銀髪の美少女、女神アリスティアと向き合っていた。
なぜ、アリスティアが突然俺に会いに来たのか。
そう尋ねようと思ったのだが……
「はぁ、はぁ、はぁ……ゆがみの発生を確認できたことでようやく、よぉーーーやくユーリさんを見つけることができました。それにしてもまさか、本当に自分でゲートを生み出せるほどの高みに至っていたとは……」
かつて抱いた高貴な印象はどこへやら、アリスティアは盛大に息を切らしながら何かをブツブツと呟いていた。
大丈夫だろうか?
「えっと、アリスティア――」
「ユーリさん!」
「――あ、はい」
心配になり呼びかけようとした俺を遮るように、アリスティアはそう叫んだ。
どうやら気遣いは不要だったようだ。
そんなことを考えていると、アリスティアはなぜか突然、その場で頭を下げた。
「まずは、謝罪をさせてください。ユーリさん、この度は本当に、本当に申し訳ありませんでした!」
「……えーっと」
いったい何を謝罪されているのか分からず、困惑してしまう。
すると、そんな俺を見てアリスティアはさらに申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「……当然、この程度の謝罪で許されるとは考えておりません。それほどまでに、私の犯してしまった罪は重いのですから」
「あの、さっきから何の話をしてるんだ?」
「…………そう、ですね。そんな反応になられるのも尤もです。そもそも謝罪を聞いてくれると考えていたことすら、浅はかなことだと思い知りました」
「……んんぅ?」
何だかさっきからすれ違っている……というか、そもそも話がかみ合っていない気がするんだが気のせいだろうか?
そもそも、何でアリスティアは俺に謝っているのだろう?
「えっと、何を謝罪されてるのか自体が分からないんだが、まずはそこから説明してくれないか?」
「……私自身の口から罪の告白を行えということですね。はい、もちろんです」
やっぱり何か引っかかるものがあるが、とにかく続きを聞くことにする。
「まず確認させていただきたいのですが……ユーリさん、恐らくあなたは【時空の狭間】で1000年近い時間を過ごされたと認識しているのですが、それは間違いではありませんか?」
「ああ」
「……やはりそうだったのですね」
アリスティアは何かを後悔するようにグッと目を瞑った後、再び口を開く。
「実を申し上げますと、その責任は私にあるのです」
「どういうことだ?」
「本来であれば、ユーリさんが【時空の狭間】に滞在するのは最長でも2~3年程度となるはずでした。しかし、私にとっては大きな誤算があったのです」
「……ふむ」
つまり、本来なら2~3年で終える修行が1000年もかかってしまった――そのことに対して謝罪しているのだろう。
だが、よく分からないことがある。なぜそんなことが起きるのだろうか?
アリスティアは女神だ。
神がつまらないミスはしないだろうし、そこには何か大きな理由が隠されているはず。
俺は当時のことを思い出し――そして、その理由に思い至った。
(もしかして……俺が魔力を持ってないことに起因するんじゃないか?)
と、いうのもだ。
異世界で過ごしたこの短い期間の中でも、俺が魔力を持っていないことで発生したトラブルが幾つも存在する。
正直にその事実を話すたび、例外なく驚かれたものだ。
思うに、異世界ではそれだけ魔力が重要なエネルギーなのだ。
それこそ、魔力なしで戦うことなど想定されていないくらいに。
【時空の狭間】で修行を始める際、俺は軽い気持ちで『初級モンスターを倒せるくらいの実力なるまで』とアリスティアに告げた。
アリスティアはその申し出に対し、きっと2~3年もあればそこまで到達できると思い、快く受け入れてくれたのだろう。
だが、実際は違った。
魔力を使わずに実力を身に着けることは、アリスティアの想定を大きく上回るほどに高難易度だったのだ。
アリスティアは以前、これまで魔力を持っていない人間には出会ったことがないと言っており、俺が初めての例だったに違いない。
つまり、魔力0の人間がどれだけのスピードで成長するか知らなかったのだ。
加え、他の転生者の場合は【時空の狭間】にて一か月程度修行しただけで十分の力をつけて異世界に旅立つと言っていた。
そこからだいたい2~3年と概算したとすれば全てに説明がつく。
結果はまあ、ご覧の通りだが。
(この予想が正しければ納得だが……一応、確認だけするか)
すれ違いが起こらないよう、俺はアリスティアに問いかける。
「その誤算は、俺が魔力を持っていないことに起因してるのか?」
「ッ! は、はい、その通りです。やはりユーリさんも気付いていたんですね(ユーリさんが魔力を持っていないことで、私がいつまでも貴方の居場所を見つけられなかったということを……)」
コクコクと頷くアリスティア。
何やら変な間があった気はするが、俺の予想は正しかったようだ。
「ふぅー」
けど、それが理由だというのなら、俺が彼女に伝える言葉は決まっている。
俺は深く息を吐いた後、まっすぐアリスティアに告げた。
「そういうことなら、アリスティアが気にする必要はない」
「し、しかし、そういうわけには――」
「むしろ俺からしたら、アリスティアには感謝しているくらいだからな」
「――えっ?」
だってそうだ。
もし最初から目標に到達するまで1000年もかかると知っていたら、修行を諦めてそのまま異世界に向かっていたかもしれない。
そうすれば初級モンスターどころか、犬や鳥を含めた通りすがりの動物にすら勝てずに死んでいたことだろう。
もちろん、たった一人で修行する日々はしんどく、やめたいと思った回数は10回や100回じゃすまない。
それでも、確かな力自体は手に入れることができた。
俺が異世界で生き抜くことができているのは、全てアリスティアのおかげだ。
それに――
「だれにだって間違いはある。それが初めての例ならなおさらだ。だから、アリスティアもそう気に病まないでくれ」
「ユーリさん……」
俺の言葉を聞いたアリスティアはその瞳に涙をため、プルプルと震えていた。
なんだか随分と感動してくれてるみたいで、こっちとても気恥しいんだが……
そんな風に、なんとも言い表しにくい時間を過ごすこと数分。
アリスティアはようやく平常心に戻ったのか、こほんと一つ咳払いした後、改めて話し始めた。
「ありがとうございます、ユーリさん。私アリスティアは、この御恩を絶対に忘れることはいたしません」
「大げさだな」
「大げさではありません。その証拠に、ユーリさんには一つご提案させていただければと考えています」
「提案?」
アリスティアは頷く。
「はい、今回の件に関するお詫び……いいえ、お礼として一つだけ。ユーリさんさえ良ければ、異世界でなくこの神界で過ごされてはいかがでしょう?」
「ここで……?」
「はい。本来であれば数多の偉業を成し遂げた英雄にしか与えられない権利なのですが……ここであれば何も憂うことなく日々を過ごすことができます。ユーリさんは魔力を持っていないためできることが限られるのですが、様々な権限も与えられます」
「……ふむ」
確かに異世界には様々な危険が溢れている。
俺程度の実力なら、それはなおさら。
そのことはこの短期間でも十分に知ることができた。
それらの危険から逃れられるのであれば、確かにそう悪くない提案かもしれない。
だが――
「いや、せっかくだけど、それは断らせてもらうよ」
「まだ詳細についても説明していませんが、本当によろしいのですか?」
「ああ」
【晴天の四象】の皆、ウォルター、リナ。他にも何人も。
まだ共に過ごした時間は短いが、異世界で出会った人々との日々は俺にとって掛け替えのないものとなっていた。
たとえ異世界に危険があるとしても、それ以上に得られるものはある。
だから、
「俺の居場所は、もう異世界《あそこ》になってるんだ」
そう告げると、アリスティアは数秒目を閉じた後、静かに頷いた。
「分かりました。それでしたら、これ以上私から言うことはありません」
俺の考えを理解してくれたのだろう。
アリスティアが両手を前に翳すと、そこには空間のゆがみが現れる。
「それでは、今度こそ改めて――異世界に行ってらっしゃいませ、ユーリさん」
「ああ、行ってきます」
そして俺はゆがみを通り、異世界に戻るのだった――――
「「「「ユーリ(さん)!」」」」
位置については気を使ってくれたのだろう。
先ほどまでいた場所に戻ってきた俺を迎えてくれたのは、【晴天の四象】の4人だった。
すると、その中でもアリシアが一歩前に出て、少しだけ震える声を出す。
「よかったです。もしかしたら、ユーリさんは戻ってこないかもしれないと考えていました」
ふむ。
アリスティアとの会話が聞かれていた訳ではないと思うが、察する何かがあったということだろうか。
とりあえず、その不安を取り除くべく俺は言う。
「その心配は無用だ。俺の居場所は異世界《ここ》だからな」
「それなら安心しました。色々と訊きたいことはあるのですが……ひとまずはこちらが先ですね。おかえりなさい、ユーリさん」
アリシアの言葉に、俺は頷いた。
「ああ――ただいま」
俺の異世界生活は、まだまだ続いていく。
『異世界に転生したけど魔力0だったので、1000年間剣技を鍛えてみた』
第一章 完
俺は銀髪の美少女、女神アリスティアと向き合っていた。
なぜ、アリスティアが突然俺に会いに来たのか。
そう尋ねようと思ったのだが……
「はぁ、はぁ、はぁ……ゆがみの発生を確認できたことでようやく、よぉーーーやくユーリさんを見つけることができました。それにしてもまさか、本当に自分でゲートを生み出せるほどの高みに至っていたとは……」
かつて抱いた高貴な印象はどこへやら、アリスティアは盛大に息を切らしながら何かをブツブツと呟いていた。
大丈夫だろうか?
「えっと、アリスティア――」
「ユーリさん!」
「――あ、はい」
心配になり呼びかけようとした俺を遮るように、アリスティアはそう叫んだ。
どうやら気遣いは不要だったようだ。
そんなことを考えていると、アリスティアはなぜか突然、その場で頭を下げた。
「まずは、謝罪をさせてください。ユーリさん、この度は本当に、本当に申し訳ありませんでした!」
「……えーっと」
いったい何を謝罪されているのか分からず、困惑してしまう。
すると、そんな俺を見てアリスティアはさらに申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「……当然、この程度の謝罪で許されるとは考えておりません。それほどまでに、私の犯してしまった罪は重いのですから」
「あの、さっきから何の話をしてるんだ?」
「…………そう、ですね。そんな反応になられるのも尤もです。そもそも謝罪を聞いてくれると考えていたことすら、浅はかなことだと思い知りました」
「……んんぅ?」
何だかさっきからすれ違っている……というか、そもそも話がかみ合っていない気がするんだが気のせいだろうか?
そもそも、何でアリスティアは俺に謝っているのだろう?
「えっと、何を謝罪されてるのか自体が分からないんだが、まずはそこから説明してくれないか?」
「……私自身の口から罪の告白を行えということですね。はい、もちろんです」
やっぱり何か引っかかるものがあるが、とにかく続きを聞くことにする。
「まず確認させていただきたいのですが……ユーリさん、恐らくあなたは【時空の狭間】で1000年近い時間を過ごされたと認識しているのですが、それは間違いではありませんか?」
「ああ」
「……やはりそうだったのですね」
アリスティアは何かを後悔するようにグッと目を瞑った後、再び口を開く。
「実を申し上げますと、その責任は私にあるのです」
「どういうことだ?」
「本来であれば、ユーリさんが【時空の狭間】に滞在するのは最長でも2~3年程度となるはずでした。しかし、私にとっては大きな誤算があったのです」
「……ふむ」
つまり、本来なら2~3年で終える修行が1000年もかかってしまった――そのことに対して謝罪しているのだろう。
だが、よく分からないことがある。なぜそんなことが起きるのだろうか?
アリスティアは女神だ。
神がつまらないミスはしないだろうし、そこには何か大きな理由が隠されているはず。
俺は当時のことを思い出し――そして、その理由に思い至った。
(もしかして……俺が魔力を持ってないことに起因するんじゃないか?)
と、いうのもだ。
異世界で過ごしたこの短い期間の中でも、俺が魔力を持っていないことで発生したトラブルが幾つも存在する。
正直にその事実を話すたび、例外なく驚かれたものだ。
思うに、異世界ではそれだけ魔力が重要なエネルギーなのだ。
それこそ、魔力なしで戦うことなど想定されていないくらいに。
【時空の狭間】で修行を始める際、俺は軽い気持ちで『初級モンスターを倒せるくらいの実力なるまで』とアリスティアに告げた。
アリスティアはその申し出に対し、きっと2~3年もあればそこまで到達できると思い、快く受け入れてくれたのだろう。
だが、実際は違った。
魔力を使わずに実力を身に着けることは、アリスティアの想定を大きく上回るほどに高難易度だったのだ。
アリスティアは以前、これまで魔力を持っていない人間には出会ったことがないと言っており、俺が初めての例だったに違いない。
つまり、魔力0の人間がどれだけのスピードで成長するか知らなかったのだ。
加え、他の転生者の場合は【時空の狭間】にて一か月程度修行しただけで十分の力をつけて異世界に旅立つと言っていた。
そこからだいたい2~3年と概算したとすれば全てに説明がつく。
結果はまあ、ご覧の通りだが。
(この予想が正しければ納得だが……一応、確認だけするか)
すれ違いが起こらないよう、俺はアリスティアに問いかける。
「その誤算は、俺が魔力を持っていないことに起因してるのか?」
「ッ! は、はい、その通りです。やはりユーリさんも気付いていたんですね(ユーリさんが魔力を持っていないことで、私がいつまでも貴方の居場所を見つけられなかったということを……)」
コクコクと頷くアリスティア。
何やら変な間があった気はするが、俺の予想は正しかったようだ。
「ふぅー」
けど、それが理由だというのなら、俺が彼女に伝える言葉は決まっている。
俺は深く息を吐いた後、まっすぐアリスティアに告げた。
「そういうことなら、アリスティアが気にする必要はない」
「し、しかし、そういうわけには――」
「むしろ俺からしたら、アリスティアには感謝しているくらいだからな」
「――えっ?」
だってそうだ。
もし最初から目標に到達するまで1000年もかかると知っていたら、修行を諦めてそのまま異世界に向かっていたかもしれない。
そうすれば初級モンスターどころか、犬や鳥を含めた通りすがりの動物にすら勝てずに死んでいたことだろう。
もちろん、たった一人で修行する日々はしんどく、やめたいと思った回数は10回や100回じゃすまない。
それでも、確かな力自体は手に入れることができた。
俺が異世界で生き抜くことができているのは、全てアリスティアのおかげだ。
それに――
「だれにだって間違いはある。それが初めての例ならなおさらだ。だから、アリスティアもそう気に病まないでくれ」
「ユーリさん……」
俺の言葉を聞いたアリスティアはその瞳に涙をため、プルプルと震えていた。
なんだか随分と感動してくれてるみたいで、こっちとても気恥しいんだが……
そんな風に、なんとも言い表しにくい時間を過ごすこと数分。
アリスティアはようやく平常心に戻ったのか、こほんと一つ咳払いした後、改めて話し始めた。
「ありがとうございます、ユーリさん。私アリスティアは、この御恩を絶対に忘れることはいたしません」
「大げさだな」
「大げさではありません。その証拠に、ユーリさんには一つご提案させていただければと考えています」
「提案?」
アリスティアは頷く。
「はい、今回の件に関するお詫び……いいえ、お礼として一つだけ。ユーリさんさえ良ければ、異世界でなくこの神界で過ごされてはいかがでしょう?」
「ここで……?」
「はい。本来であれば数多の偉業を成し遂げた英雄にしか与えられない権利なのですが……ここであれば何も憂うことなく日々を過ごすことができます。ユーリさんは魔力を持っていないためできることが限られるのですが、様々な権限も与えられます」
「……ふむ」
確かに異世界には様々な危険が溢れている。
俺程度の実力なら、それはなおさら。
そのことはこの短期間でも十分に知ることができた。
それらの危険から逃れられるのであれば、確かにそう悪くない提案かもしれない。
だが――
「いや、せっかくだけど、それは断らせてもらうよ」
「まだ詳細についても説明していませんが、本当によろしいのですか?」
「ああ」
【晴天の四象】の皆、ウォルター、リナ。他にも何人も。
まだ共に過ごした時間は短いが、異世界で出会った人々との日々は俺にとって掛け替えのないものとなっていた。
たとえ異世界に危険があるとしても、それ以上に得られるものはある。
だから、
「俺の居場所は、もう異世界《あそこ》になってるんだ」
そう告げると、アリスティアは数秒目を閉じた後、静かに頷いた。
「分かりました。それでしたら、これ以上私から言うことはありません」
俺の考えを理解してくれたのだろう。
アリスティアが両手を前に翳すと、そこには空間のゆがみが現れる。
「それでは、今度こそ改めて――異世界に行ってらっしゃいませ、ユーリさん」
「ああ、行ってきます」
そして俺はゆがみを通り、異世界に戻るのだった――――
「「「「ユーリ(さん)!」」」」
位置については気を使ってくれたのだろう。
先ほどまでいた場所に戻ってきた俺を迎えてくれたのは、【晴天の四象】の4人だった。
すると、その中でもアリシアが一歩前に出て、少しだけ震える声を出す。
「よかったです。もしかしたら、ユーリさんは戻ってこないかもしれないと考えていました」
ふむ。
アリスティアとの会話が聞かれていた訳ではないと思うが、察する何かがあったということだろうか。
とりあえず、その不安を取り除くべく俺は言う。
「その心配は無用だ。俺の居場所は異世界《ここ》だからな」
「それなら安心しました。色々と訊きたいことはあるのですが……ひとまずはこちらが先ですね。おかえりなさい、ユーリさん」
アリシアの言葉に、俺は頷いた。
「ああ――ただいま」
俺の異世界生活は、まだまだ続いていく。
『異世界に転生したけど魔力0だったので、1000年間剣技を鍛えてみた』
第一章 完
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