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三章 タイター

タイターが魔王城に『裏切り者』として拉致られそうになった件3

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 全話引き続き、一回戦、二回戦と次々といろんな悪魔を倒し、殺してきた。
 次が準決勝戦だ。
 二位になっても生き残っていれば、魔王の補佐として働くことができるが、やはり魔王にならなきゃ意味がない。
 魔王になれば私の美貌が世界に轟くだろうし、そうすれば各国のイケメンがくるかもしれない。
 いや、くるはずだ。
 きてくれなきゃ困る。
 イケメンと結婚するために魔王になるんだから。
 まあ私の美貌を目にした男が私に惚れないわけがないけどね。

「エントリーナンバー五十二番のタイターさん!至急、正門前に!試合がはじまりますよー!」

 また遅刻寸前だ。
 私ったら、自分の美貌について話こんじゃうタイプなのよね。

 準決勝戦の相手はマオってやつだ。
 今まで、どんな魔法も使わずに素手で倒してきた強者だわ。
 しかもかなりのイケメン....。
 試合中に上目遣いのテクニック使っておとしてあげましょうか?

 それはまあいいや。
 もっといいイケメンがくるはずだし。

 この計画のために犠牲になってもらうわよイケメンボーイ!

「さあ試合開始の合図がなります!」

「三」

「二」

「一」

「はじめ!」

 こいつはなにをしてくるかわからない。

 つまり先手必勝で潰す。

 今までのデータを見てみたところ、彼は相当の防御力の持ち主だわ。

 だが、その防御力をはるか上回る私の魔法で打ち消すまで!

「消えろ!必殺奥義、エンドザワールド!」

 この技は物理法則を無視した爆発技!

 この技を耐えれるのはこの世に一人として存在しない!

「へぇー、そんな技で必殺奥義なんだ♪じゃあ僕も奥義使っちゃおっと♪ちゃんと目に焼き付けときな」

 こいつの魔法!?使えたのか!?

 どんな魔法かは気になるがどうせ私の魔法には勝てない!

「その油断が君の敗因だよ♪必殺奥義、コピー」

 瞬間、彼は私と同じ技を使った。

 エンドザワールドは世界で私しか使えないはずなのに....。

 タイターは重傷を負った。

 だか、死にはしなかった。

「この人は続行不可能の傷を負っています。これは私の勝ちでいいですよね?」

「はい!勝者はマオ選手!」

ー医務室ー

「やあ久しぶりだね、そこの彼女」

「なぜ私を生かした?私は敗者だ。敗者に生きる資格なんてない」

「何でってそりゃ君の体がタイプだったからだよ♪どうせこのまま決勝も僕が勝っちゃうし、君を側近として即位させてあげよう」

「私の体に惚れたんなら、ちょっとぐらい手加減して打ちなさいよ。私が傷ついてもいいわけ?」

「ん?別に死んでもよかったんだよ?死んだら死んだで氷漬けにして僕のコレクションになるだけだから」

 こいつはサイコパスだ....。


 その後決勝戦が行われ、案の定マオの圧勝だった。

 マオが魔王に即位し、本当に私を側近の六人に任命した。

 こんなの私が惚れちゃうだろ?

 なんて微塵の思いはしなかった。

 私は負けず嫌いで、こいつに負けたことが悔しくて夜も眠れなかった。

 側近にはなったものの、魔王は私にちょっかいをだしてくるし、まわりの視線がうざくて、ストレスが溜まりまくってた時に、

「私が魔王殺して新魔王になれば私の計画も実行できるじゃん!」

 という発想をおもいつき、勇者探しに出た。

 勇者は意外と簡単に見つかり、そこから仲間ももう二人増えた。

 私はいつのまにか魔王なんてどうでもよくなっていた。

 今の仲間たちと冒険していたほうがよっぽど魔界にいたときより楽しかったからだ。

 そんなときにクソ野郎がきた。

 ....どうしよう?

 ....どうしよう?どうしよう?どうしよう?

 このままじゃ連れてかれる。

「帰っきなさいタイター」

 ....私が彼に勝てるわけがない。

 でもきっとマサキやラーメン、ホットが一緒に頑張ってくれるはずだ!
 なら私が選ぶ道は、

「断固、お断りします!!」
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