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合間のおはなし
<合間のおはなし。-狭依とタコパ③->
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◇
そしてまた十分後。場は、荒れていた……。
「……ごめんなさぃ」
「だから俺は止めたんだ。だから俺はやめとけって言ったんだ。だから。だから」
床では鞍馬が一人でまるでロボットのように無表情でブツブツと呟きながら、タコ焼きになれたはずの残骸を掃除していた。
うわ~ホントにルンバみた~い☆
いや文句言うならちゃんと言って!ボソボソ不満が聞こえてて怖いんだけどっ!?
「だ、大丈夫ですよ吉祥君!元気出してくださいっ!私も失敗しましたし!」
隣ではさよちゃんが同じ失態を犯して落ち込むボクを必死に慰めてくれていた。
面目ない。でもありがとう、さよちゃん。
おかげでちょっとは気が楽になったよ。
「むしろあんなに自信満々にお見せするよっ!、とか言っておいて結果散々とか逆に面白かったですし!それに誰にだって苦手な事ってあるじゃないですか!吉祥君は他に勉強もできないし運動神経も良くないし、吉祥君の得意なこと挙げろって言われても正直すぐに思いつきませんがそれでもきっと!たぶん!たくさん良い所あるじゃないですか!だからそんな落ち込まないで下さい!ねっ!」
すっごーいっ!キミは煽るのが上手なフレンズなんだね!
てかめっちゃ傷口に塩を塗ってくんだけどっ!?それ本当に天然なだけ!?逆に質悪いよ!?
一見必死に慰めてくれようとしていてその実わざとやってんじゃないかこの女。
(ぷぷっ!弁財さん最高ですねぇ。ナイスフォローです!ぐれーとぐれーと!)
おいなに笑てんねん。
「もうお前ら座ってろ。今日は二人とも絶対にピックを握るなよ?」
一人で床の掃除をしてくれていた鞍馬が立ち上がり、ボクと弁財さんが無駄にした食材の入ったゴミ袋を見せつけるように掲げながら恐ろしいほどの圧を掛けてきた。
そんな睨みつけないで?怖すぎてチビッちゃうでしょ?
さよちゃんなんか隣でアワアワ言って震えてるし。
「でもさ確かにちょっと失敗したけど」
「ちょっと?え?ちょっと?」
「ボ、ボクにだってタコを入れるぐらいは……」
「ちょっと?いまちょっとした失敗って言った?え?ちょっと?」
「……すいません。おとなしく座ってます」
「あぁそうしろ」
鞍馬君はキャラが変わってしまう程に憤慨しているみたいですので、ボクはでしゃばらないようにしようと思いました。
なにあの陰湿な問い詰め方。トラウマになるわ。
「よし!それじゃあ作り始めるぞ?コツとか教えながら焼いてくから、二人ともこの機会にタコ焼きくらいは上手に作れるようになろうな?」
こうして鞍馬先生のタコ焼き教室が始まったのだった。
◇
「「うま~いっ!」」
パーティ開始とか言い放ちつつ既に30分もの時間を無駄にしたけれど、ようやくタコ焼きを頂くことができました。ありがとう鞍馬先生。
焼きながら教えてくれたコツとかはぶっちゃけ軒並み忘れてしまったけど。
「もうボク一生タコ焼き作らなくていいや。ボクの為にこれからもずっとタコを焼き続けてね!」
「教えながら焼いた時間返せよ」
「あはは、それにしても毘沙門君は流石ですね!こんなに美味しいタコ焼きを作ることができるなんて!」
さよちゃんは大絶賛だった。
喜んでくれたようならタコパを開いた甲斐もあるってもんだよ。
(準備から今までに何一つとして伊呂波ちゃんの功績はありませんけどね。全部鞍馬君のおかげだと言う事をお忘れなく)
ちょくちょく水を差してくるねこの神様は。
「委員長も楽しんでくれてるようで良かったよ」
さよちゃんが美味しそうにタコ焼きを頬張る姿を見て、鞍馬も安心しているようだった。
こいつなりに昨日起こった事件のことでいろいろと心配していたんだろう。
「そういえばあの後に家に帰って市杵ちゃんとは話したりしたの?」
その質問にタコ焼きを食べ続けていたさよちゃんの箸の動きが止まった。
「……はい。昨日は家でもお母様とお話させていただいたのですが」
溜息を一つ吐き、昨日の出来事を思い出すかのように弁財家でのその後を話しはじめたさよちゃんだったけど、何やら話すのに躊躇しているような重そうな口どりであった。
「あの人のメンタルの脆弱性に気付けたと言いますか。私が問い質す度に泣きそうになったり必死に言い訳しようとし出したり、お母様があんなに感情豊かだったなんて初めて知りましたよ。むしろ私の前では長年隠し続けていた努力を思うといっそ褒めてあげたくなるレベルですらありますね」
ボクや鞍馬は感情が豊か過ぎてちょっと迷惑なほどである市杵ちゃんしか知らなかったけど、凛とした母親としての姿しか見てこなかった弁財さんにとってはもう別人と言っていい程のギャップがあったのだろう。
「言い訳みたいなことしか言いませんし挙句の果てには泣き喚きお父様に庇ってもらう始末。呆れて糾弾する気も失せました」
その時の記憶を思い返しているのかうつろな目で空笑いをする弁財さんが気の毒で仕方なかった。
もういいからタコ焼きをお食べ?好きなだけ自棄食いするといいよ。
止めたりしないから。ボクの分もあげるから。
「私からの追及が収まるやもう開き直ったのか、今度は押入れに隠していた吉祥家コレクションなるものの自慢まで始まりまして」
……ん?何それ初耳なんだけど?
「お母様ったら私のアルバムと並べて吉祥君のアルバムまで作成していたんですよ?吉祥君が赤ちゃんの頃からつい最近のモノと思われる写真まで綴じているみたいでしたし。優に五冊分はあったでしょうか」
「いやいやちょっと待って?市杵ちゃんに写真撮られた記憶とか全然全く記憶にないんだけど……」
なにそれ怖い。
量も異常でしょそれ。アルバム五冊分て。
「あぁやっぱりそうなんですか。明らかに隠し撮りしたような写真が殆どでしたし呆れて開いた口が塞がりませんでしたよ。まぁアルバムは全て見させて頂きましたけど」
「やめて!もう手遅れだけど!同級生の女子に小さかった時からの自分のアルバム見られるとか恥ずかし過ぎて死んじゃう!」
小さい時の吉祥君メチャクチャ可愛かったです、なんて思い出して悦に入ってる弁財さんの姿は、市杵ちゃんがいつもベタベタとウザ絡みしてくる時とソックリだった。
遺伝って恐ろしいな。弁財さんはあんな風にならないでね。お願いだから。
「俺も小さい頃から世話になっているからあんまり悪くは言いたくないんだが、基本的にはいい人だし。だけどアルバム五冊分の盗撮写真って聞くと正直ドン引きだな。ま愛が重すぎるってレベルじゃない」
鞍馬ですらあの化け物の異常性にドン引いていた。
お世話になっていた人が犯罪スレスレ、というか明らかにアウトなレベルでの盗撮ストーカー予備軍だったなんて知りたくもなかっただろう。ボクも知りたくなかったもん。
でもまぁ。
「市杵ちゃんの異常性癖はとりあえず置いといて。これで弁財さんは何の気兼ねもなくボクの家にも遊びに来れる様になったんだよね?」
弁財家の親子関係もきっとガラッと変化したことだろうとは思うけれど、きっとこれからも良い方向に変わっていくのだろう。
「はいっ!いろいろな邪魔とか勘違いのせいでだいぶ遠回りをしてしまったのかも知れませんが」
そしてボクらの関係も。
「吉祥君。毘沙門君。これからもよろしくお願いしますね!」
きっと、これからも沢山の楽しい思い出を作っていけるような、そんなともだちであり続けることができると。
輝くような弁財さんの笑顔のおかげで、そう信じることができたのだった。
◇
私の自宅への帰り道、送ってくれると言ってくれた伊呂波君と鞍馬君と三人で肩を並べながら、夕焼けに照らされた道を歩いていく。
途中のコンビニで買った安いアイスが、今日一日の楽しさや充実感で火照った身体をほどよく冷ましてくれて、私の身体に心地よく溶けていく。
「お二人とも、今日は誘ってくれて本当にありがとうございました」
私の言葉を受けて伊呂波君も鞍馬君も喜んでくれる。
一緒に楽しさを共有し、美味しさを分かち合い、些細な喧嘩を繰り返し。
そして必ず仲直りして、その先もずっと続く関係を積み上げていくのだ。
別れが近い今は少し寂しいけれど、きっとまた今日みたいな楽しい日が訪れる。そう自信を持って言えるようになるなんて思ってもいなかった。
誰よりも幼稚で独り善がりだった私がようやく少しだけ大人になることができた。
私に寄り添ってくれるともだちが、私を独りから掬い上げてくれた。
だから、これからの時間で返していこう。
伊呂波君たちが与えてくれた温かさ。
ずっと助け続けてくれた優しさ。
そしてなによりも、幸せなこの時間。
きっとこれからも一緒にいて、ほんの少しずつでも返していけるはずだから。
そう信じられるかけがえのない存在、それがともだちなのだということを私は知ることが出来た。
そしてもうひとつ。この日私は初めて知ったのだ。
ともだちと過ごす幸せな時間は、あっという間に過ぎて行ってしまうってことを。
◇
新たにできた友人と並び、戯れ、他愛無い会話を交わす。
少し前にはきっと考えられなかったことだけど、私の心にはとてつもなく大きな余裕が広がっていた。
これからこの余裕には楽しい事や好きな事をたくさん詰め込んでいけるんだ。
ふと見上げた星空は、夜が更けていくことを知らせてくれるけれど。
けれど私の人生は、目の前に広がる綺麗な星々の瞬く夜空が迎える、今日という輝かしい日の夜更けとは反対に。
夜明けのように明るく光が広がり、そしてこれからもたくさんの幸せが待っていてくれるのだろう。
◆
そしてまた十分後。場は、荒れていた……。
「……ごめんなさぃ」
「だから俺は止めたんだ。だから俺はやめとけって言ったんだ。だから。だから」
床では鞍馬が一人でまるでロボットのように無表情でブツブツと呟きながら、タコ焼きになれたはずの残骸を掃除していた。
うわ~ホントにルンバみた~い☆
いや文句言うならちゃんと言って!ボソボソ不満が聞こえてて怖いんだけどっ!?
「だ、大丈夫ですよ吉祥君!元気出してくださいっ!私も失敗しましたし!」
隣ではさよちゃんが同じ失態を犯して落ち込むボクを必死に慰めてくれていた。
面目ない。でもありがとう、さよちゃん。
おかげでちょっとは気が楽になったよ。
「むしろあんなに自信満々にお見せするよっ!、とか言っておいて結果散々とか逆に面白かったですし!それに誰にだって苦手な事ってあるじゃないですか!吉祥君は他に勉強もできないし運動神経も良くないし、吉祥君の得意なこと挙げろって言われても正直すぐに思いつきませんがそれでもきっと!たぶん!たくさん良い所あるじゃないですか!だからそんな落ち込まないで下さい!ねっ!」
すっごーいっ!キミは煽るのが上手なフレンズなんだね!
てかめっちゃ傷口に塩を塗ってくんだけどっ!?それ本当に天然なだけ!?逆に質悪いよ!?
一見必死に慰めてくれようとしていてその実わざとやってんじゃないかこの女。
(ぷぷっ!弁財さん最高ですねぇ。ナイスフォローです!ぐれーとぐれーと!)
おいなに笑てんねん。
「もうお前ら座ってろ。今日は二人とも絶対にピックを握るなよ?」
一人で床の掃除をしてくれていた鞍馬が立ち上がり、ボクと弁財さんが無駄にした食材の入ったゴミ袋を見せつけるように掲げながら恐ろしいほどの圧を掛けてきた。
そんな睨みつけないで?怖すぎてチビッちゃうでしょ?
さよちゃんなんか隣でアワアワ言って震えてるし。
「でもさ確かにちょっと失敗したけど」
「ちょっと?え?ちょっと?」
「ボ、ボクにだってタコを入れるぐらいは……」
「ちょっと?いまちょっとした失敗って言った?え?ちょっと?」
「……すいません。おとなしく座ってます」
「あぁそうしろ」
鞍馬君はキャラが変わってしまう程に憤慨しているみたいですので、ボクはでしゃばらないようにしようと思いました。
なにあの陰湿な問い詰め方。トラウマになるわ。
「よし!それじゃあ作り始めるぞ?コツとか教えながら焼いてくから、二人ともこの機会にタコ焼きくらいは上手に作れるようになろうな?」
こうして鞍馬先生のタコ焼き教室が始まったのだった。
◇
「「うま~いっ!」」
パーティ開始とか言い放ちつつ既に30分もの時間を無駄にしたけれど、ようやくタコ焼きを頂くことができました。ありがとう鞍馬先生。
焼きながら教えてくれたコツとかはぶっちゃけ軒並み忘れてしまったけど。
「もうボク一生タコ焼き作らなくていいや。ボクの為にこれからもずっとタコを焼き続けてね!」
「教えながら焼いた時間返せよ」
「あはは、それにしても毘沙門君は流石ですね!こんなに美味しいタコ焼きを作ることができるなんて!」
さよちゃんは大絶賛だった。
喜んでくれたようならタコパを開いた甲斐もあるってもんだよ。
(準備から今までに何一つとして伊呂波ちゃんの功績はありませんけどね。全部鞍馬君のおかげだと言う事をお忘れなく)
ちょくちょく水を差してくるねこの神様は。
「委員長も楽しんでくれてるようで良かったよ」
さよちゃんが美味しそうにタコ焼きを頬張る姿を見て、鞍馬も安心しているようだった。
こいつなりに昨日起こった事件のことでいろいろと心配していたんだろう。
「そういえばあの後に家に帰って市杵ちゃんとは話したりしたの?」
その質問にタコ焼きを食べ続けていたさよちゃんの箸の動きが止まった。
「……はい。昨日は家でもお母様とお話させていただいたのですが」
溜息を一つ吐き、昨日の出来事を思い出すかのように弁財家でのその後を話しはじめたさよちゃんだったけど、何やら話すのに躊躇しているような重そうな口どりであった。
「あの人のメンタルの脆弱性に気付けたと言いますか。私が問い質す度に泣きそうになったり必死に言い訳しようとし出したり、お母様があんなに感情豊かだったなんて初めて知りましたよ。むしろ私の前では長年隠し続けていた努力を思うといっそ褒めてあげたくなるレベルですらありますね」
ボクや鞍馬は感情が豊か過ぎてちょっと迷惑なほどである市杵ちゃんしか知らなかったけど、凛とした母親としての姿しか見てこなかった弁財さんにとってはもう別人と言っていい程のギャップがあったのだろう。
「言い訳みたいなことしか言いませんし挙句の果てには泣き喚きお父様に庇ってもらう始末。呆れて糾弾する気も失せました」
その時の記憶を思い返しているのかうつろな目で空笑いをする弁財さんが気の毒で仕方なかった。
もういいからタコ焼きをお食べ?好きなだけ自棄食いするといいよ。
止めたりしないから。ボクの分もあげるから。
「私からの追及が収まるやもう開き直ったのか、今度は押入れに隠していた吉祥家コレクションなるものの自慢まで始まりまして」
……ん?何それ初耳なんだけど?
「お母様ったら私のアルバムと並べて吉祥君のアルバムまで作成していたんですよ?吉祥君が赤ちゃんの頃からつい最近のモノと思われる写真まで綴じているみたいでしたし。優に五冊分はあったでしょうか」
「いやいやちょっと待って?市杵ちゃんに写真撮られた記憶とか全然全く記憶にないんだけど……」
なにそれ怖い。
量も異常でしょそれ。アルバム五冊分て。
「あぁやっぱりそうなんですか。明らかに隠し撮りしたような写真が殆どでしたし呆れて開いた口が塞がりませんでしたよ。まぁアルバムは全て見させて頂きましたけど」
「やめて!もう手遅れだけど!同級生の女子に小さかった時からの自分のアルバム見られるとか恥ずかし過ぎて死んじゃう!」
小さい時の吉祥君メチャクチャ可愛かったです、なんて思い出して悦に入ってる弁財さんの姿は、市杵ちゃんがいつもベタベタとウザ絡みしてくる時とソックリだった。
遺伝って恐ろしいな。弁財さんはあんな風にならないでね。お願いだから。
「俺も小さい頃から世話になっているからあんまり悪くは言いたくないんだが、基本的にはいい人だし。だけどアルバム五冊分の盗撮写真って聞くと正直ドン引きだな。ま愛が重すぎるってレベルじゃない」
鞍馬ですらあの化け物の異常性にドン引いていた。
お世話になっていた人が犯罪スレスレ、というか明らかにアウトなレベルでの盗撮ストーカー予備軍だったなんて知りたくもなかっただろう。ボクも知りたくなかったもん。
でもまぁ。
「市杵ちゃんの異常性癖はとりあえず置いといて。これで弁財さんは何の気兼ねもなくボクの家にも遊びに来れる様になったんだよね?」
弁財家の親子関係もきっとガラッと変化したことだろうとは思うけれど、きっとこれからも良い方向に変わっていくのだろう。
「はいっ!いろいろな邪魔とか勘違いのせいでだいぶ遠回りをしてしまったのかも知れませんが」
そしてボクらの関係も。
「吉祥君。毘沙門君。これからもよろしくお願いしますね!」
きっと、これからも沢山の楽しい思い出を作っていけるような、そんなともだちであり続けることができると。
輝くような弁財さんの笑顔のおかげで、そう信じることができたのだった。
◇
私の自宅への帰り道、送ってくれると言ってくれた伊呂波君と鞍馬君と三人で肩を並べながら、夕焼けに照らされた道を歩いていく。
途中のコンビニで買った安いアイスが、今日一日の楽しさや充実感で火照った身体をほどよく冷ましてくれて、私の身体に心地よく溶けていく。
「お二人とも、今日は誘ってくれて本当にありがとうございました」
私の言葉を受けて伊呂波君も鞍馬君も喜んでくれる。
一緒に楽しさを共有し、美味しさを分かち合い、些細な喧嘩を繰り返し。
そして必ず仲直りして、その先もずっと続く関係を積み上げていくのだ。
別れが近い今は少し寂しいけれど、きっとまた今日みたいな楽しい日が訪れる。そう自信を持って言えるようになるなんて思ってもいなかった。
誰よりも幼稚で独り善がりだった私がようやく少しだけ大人になることができた。
私に寄り添ってくれるともだちが、私を独りから掬い上げてくれた。
だから、これからの時間で返していこう。
伊呂波君たちが与えてくれた温かさ。
ずっと助け続けてくれた優しさ。
そしてなによりも、幸せなこの時間。
きっとこれからも一緒にいて、ほんの少しずつでも返していけるはずだから。
そう信じられるかけがえのない存在、それがともだちなのだということを私は知ることが出来た。
そしてもうひとつ。この日私は初めて知ったのだ。
ともだちと過ごす幸せな時間は、あっという間に過ぎて行ってしまうってことを。
◇
新たにできた友人と並び、戯れ、他愛無い会話を交わす。
少し前にはきっと考えられなかったことだけど、私の心にはとてつもなく大きな余裕が広がっていた。
これからこの余裕には楽しい事や好きな事をたくさん詰め込んでいけるんだ。
ふと見上げた星空は、夜が更けていくことを知らせてくれるけれど。
けれど私の人生は、目の前に広がる綺麗な星々の瞬く夜空が迎える、今日という輝かしい日の夜更けとは反対に。
夜明けのように明るく光が広がり、そしてこれからもたくさんの幸せが待っていてくれるのだろう。
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