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またどうぞ

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「ダリオス、これでも名の知れた冒険者だぞ?クランは、金の槌だ。」
「クリスだ。所属のクランはない。」

やっと名乗り合った。串団子というもので、トロリと甘タレが掛かっている。
リンが好きそうだ後で持ち帰るか、今度来た時で良いだろうか。

もちっとした感触が、面白い。甘いだけじゃないのがまた良いな。
お茶を飲めば、甘さが引いてさっぱりした。

机の上には、饅頭と団子が並んでいる。それを食べている男に聞かれた。
「どっかのクランから声がかかったんじゃないか?」

「若者だけ、と言いたかったが蛇の眼のクラン長に声をかけられたな。」
「あの威勢の良い坊やか。」

ニッ笑う顔は若い感じだ。ダリオスは上手く世を渡っているのだろう。
「確かに勢いがあったな。」

「あそこは上に行ければ待遇が良いんだ。うちのクランは金払いが良いからな。」
「もう1つ、クランがあるんだったか?」

クリスは、アンコの乗った串団子を手にした。先程とは違って緑色をしているが、ヨモギを混ぜ込んであるらしい。軽々一個食べれば、食感のもちもちと優しい豆の甘さが広がった。

「こっちの緑色もうまいぞ。」
「いただこう」
えだ豆が乗っていて、団子は白い。それを受け取り、2刃流になったまま話を聞く。

「クランの話だな?もう一つは女が頭領の美のつるぎだな。あそこは薬師がいたり後方支援と連携がよくては。女冒険者も多い。なんでも、ある魔物の粘着素材で美容液を貴族に流行らしたんだと。」

「粘着質。」

あまり好まれない魔物だろうと想像する。物理が通りづらく、ヌメッていて動きは遅い。
殻がない方なら、囲めば討伐に慣れていない冒険者でも捕獲できるか。


「アレを塗るのは勘弁だなー。女どもは、浴びに行くとか言うが。」
「装備が酷いことになりそうですね。」

「剣や武器も、手入れが面倒だぞ」

経験あるようだった。

「この辺はよく出る魔物ですか?」
「森と洞窟型のダンジョンの浅いとこでな。」


この辺りの依頼の話をして、結局、『儲かっている商人で金払いの良い奴につくのが良い』と言う結論になった。
夕暮れが近くなったので、店を出る事にする。


奢ってくれると言う事だが、代わりと言ってはなんだが簡易コーヒーを土産に渡した。
クリス自身は、甘だれの団子と茶を土産用に買う。

茶の器も気になったが、次回にでもとした。
店を出る一瞬…

『また、な』



その声に振り向くと、艶やかな黒い毛モノ。…の尾っぽが視えた、気がした。
少し、脈動が速くなる。

茶と菓子を運んでくれた幼子も、只人ではなかったのだろう。

もう、ただの店があるようには見えなかった。ただ、またと言われたのだ。招かれて行くことはできるだろうと思った。あの優しい甘味が食べたくなったら、来てみるのも良いかもしれない。

フウとリンがいることを確かめて、夕暮れの街の人波に分け入って行った。





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