【長編・完結】この冒険者、何者?〜騎士さまと噂の冒険者は全てを見通す目と耳をお持ちです〜

BBやっこ

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冒険者ギルに行くのが、筋な気持ちもあるが。
「面倒そうだな」

フウが流してくれる会話は、人数もさることながら勧誘がひっきりなし。

“蛇の眼”もいた。まだクラン長の男は戻ってないはず。『案内してやる』と言われたのを覚えているが、今のところその予定はなく、気ままに街をぶらつきたい。

冒険者の格好をしていると、勧誘に捕まりそうだな。商人のフリも違う意味で、商売の話になったら困る。
目立たない格好が何かないか。

カザンの情報網で依頼を把握した後の感想は…

「単独で受けられる依頼も少ないか」
「ないに等しいですね」

火山にばっさり言われた。指名依頼か人数を求める物
そこに声をかけ、ついていくということもあるのがここの方式らしい。


「クランが強い訳だな」


横と縦の繋がりを強く、信用を担保している。商人との付き合いから発展したのだろうか。

「ダンジョンへ向かうとなると、3日ほどか」

移動に馬車、乗り合い馬車を商人組合が出しているようだ。魔物の氾濫を防ぐ仕組みか。
魔物避けも効き、騎士が見回る。

ここ何十年も魔物による大きな被害は出ていない。
小規模なものは何回か起こっているから、クランでの討伐と組織にちからがあるか。

ここの土地の事情もわかった。


「面倒ごとは避けよう」

商人っぽく見える格好を食堂にいた商会の人達にご指南いただき、カザンと別行動で出かけた。
私の目当ては本だ。

まずは、本屋で気になるものを手に取り数冊買う。
掘り出しものを探すなら、どこへ行くと良いか聞いてみる。

妖精の集まっている物を観察しつつ、フウやリンが気になった物をのんんびり歩いて探した。


人の姿をした2人の少女を連れ、幼女を抱えた男。親子に見えるか?護衛のようか。
微笑ましく迎えられ、おまけのお菓子にフウが喜ぶと妖精が共鳴して輝いた。

クリスには目立つ光景だが、店の人も客もそれに反応はない。

見えていないと判断できるが、“なんとなく良い感じがする”“自然の魔力を感じた”など
察知できるものもいる。

まさか、幼女が源になっているとは思わないだろうが。

さらっと挨拶して別れれば騒ぎにならない。
リンは手にした本を読みたいらしいので、夕食に十分間に合うように寮に帰った。


「試せるコーヒーというのを買った。器具がなくても、コーヒーを手軽だそうだ。」

野外にも持っていける。冒険者向けの商品で“濃くて目が覚める物”の扱いでカフェインという名前らしい。

「苦いです。」
「この印象でコーヒーを嫌煙している者もいそうだな。」

ツマミの木の実を齧り、口の中に少し甘味を取り戻す。

「買った眠気覚ましも飲んだ事だし」
その夜は、手に入った本を読み耽った。


気づいたら、日が昇る前だが外はひっそり動き出している時間だった。
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