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相談

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私の生みの親に当たる

実家に帰り、パーティに出る準備を手伝ってくれた。
気軽に相談、話せる相手だ。

「ねえお母さん。お父さんとは離婚しているんだよね?」
前から疑問に思って聞いても、はぐらかされている質問だ。

「さあ、どうかしらね~。」

ほらね?
食えない父と、つかみどころのない母。

お似合いなのかもしれない。
夫婦という形にも拘らない、なんなら利用さえしている関係で
仲も良好だ。

子どもとして2人の仲が良いのは嬉しいけど、
説明の難しい関係性を築いているわよね。

母は
ドレス選びが上手く、
装飾品も扱う商店が実家。

母に頼みたいという相談者が多い
貴族の女性相手に御用聞きをする仕事を担っている。


元貴族の女性だから、マナーもしっかりしている。

「もう貴族ではないから呼ぶのに、派閥も関係ない。

『男性の商人に会うより、夫が煩くないのよ』

なんて言ってくださるわ。」


楽しそう。
『似合う物と流行とをバランス良く紹介してくれる』


と評判。

その実、変わった噂を好む母。
それさえも貴族女性の嗜みとして好まれる。

私も今回、母の筋からの情報がとても役立った。

「お母さんは、なんで父と結婚したの?」

常々、疑問だ。

「そうねえビビっと来たからかしら」

母らしい、直感的な決め方だ。


私はと言うと結局のところ。

婚約していた事実はなく、
支度金はデザイア家として夫人が勝手に出した物と分かった。

内実、父の商売のツテで美の薬を広げられるか?
探りの目的だったらしい。

私が話かけてきたから、家の対応を見ようとしたのね。


「私もしっかり巻き込まれていたのね」

あの美の薬は毒物指定の薬草だ。
勝手に栽培してはいけないが、
古くからの家にはたまにあるような植物だとか。


それを栽培して、売り物にしていたのね。


「デザイア夫人って豪華なドレスばかり着ていたらしいわね。

あまり似合っていなかったそうだけどー。」

パーティに参加していない母は、噂で知っているのだろう。
ご婦人方の話には、誰がどこのドレスか主要な話題だ。


「それで、どうしたいの?」


騎士として、デザイア夫人を捕縛したサイアス様の功績。
自身が美の薬を使っていたという醜聞。

それを跳ね除けるように鍛錬に励んでいると言う。


「釣書も多いでしょうねー。

“以前の人形のような生気のない美より、汗まで良い匂いがしそうな
美しい筋肉の騎士様”」

「ブフッ!」
令嬢らしからず、吹いてしまったけど

そんな噂になっているようだ。
今の騎士様のが、おモテになるらしい。
「選び放題でしょうねえ」


今回のお家の事に、口を挟んでしまった。


3歩下がってついてくる令嬢ではない私に

選んでもらえる美点はあるのだろうか?


今度の会合が、別れになる予感がしていた。





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