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普通?

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私は客間に案内され、夕食にお呼ばれした。


「デザイア家へようこそ。侯爵家の当主サイアスが歓迎する」

「ありがとうございます。サイアス・デザイア様」


やっとお名前をいただいた。

コース式ではなく、全て机の上に並べられて始まった。

メインメニューは『臓物系の煮込み』


貴族令嬢には嫌われる臓物の料理だけど

私は「好物だ。」
じっくり煮たスープと野菜が多く入っている。

つい集中して食べたくなるけど、
お話できる機会だ。食事を楽しみながらの会話もマナーよ。

「突然でしたのに、迎え入れてくださりありがとうございます、」

「いや。騎士の家の者達は慣れている。」

突然の訪問者は多いのかもしれない。
実際、騎士が来るものの、約束のない令嬢はお帰り頂いていて、食事は出さない。

ボリュームは抑えられているものの、
味が濃く男性の好みそうな大きな切り方の豪快料理だ。

とてもおいしい。
甘いものより、しっかり食事を摂るのが好きなのだ。

『甘いものはたまにがちょうど良い』がポリシーだった。
甘い物を食べ過ぎて、ドレスのサイズに戦々恐々したくないと言う本音。


「結婚の申し込みと聞きまたしたが、どのくらい進んでおりますのか
私は詳しくは知らないのです。」

ぐふっと少し乱れ、整えたのちに語りはじめた

「そうか。子爵は詳しくは話していないのか。

私と子爵は、騎士と文官では接点がなかったのだが。

ある日廊下でな。女性と修羅場になった時だった。」

その高い少年のような声で、修羅場と聴くと違和感のある言葉だ。

通りかかった父がいつものように、飄々と流し
私の婚約を打診したらしい。

想像つく

そして、
『何も伝わっていないし、知らない仲である』
と互いの事がわかった。


「何分、急な展開なのは貴女も私もなんだ。今はお見合いと思ってもらえると助かる。」


「お見合い…の時点で、家に入り込むのはどうなのでしょう?」


「ミレーネ嬢が、普通の感覚で助かる。」


ふう。とため息さえ麗しいと思う。

確かに女性に人気のありそうな
透明感と儚さ、物憂げな瞳が守ってあげたくなる


(だったかしら?)

実際の人物像は考え方は慎重で、好感を持てる。


(まあ、結婚まではいかないと思うわ。
相手が、私だし?)
そう思っていたら食事が済んだ。


「シェフに美味しかったとお伝えください」

ゴロゴロの食べでのあるスープだった。きっと騎士の旦那様向けなのだろう。

「サイアス様、本を貸していただけないでしょうか?」

「構わない。チェバス、案内して差し上げろ」

本は読む方だと聞いたが、何か調べる気かもしれない。
チェバスをつけたから、動き出せばわかるだろう。


メイドの方も今のところ、おかしいと思うほどの動きなない。

「長期戦だろうか?」

しばらく遠征もなければ、パーティの強制参加もない。
しっかり見極めようと思う。

とりあえずの、滞在を得られた彼女に興味を向けている。

「どこの差金か?」

何が出てくるか、楽しみでもある騎士侯爵だった。
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