上 下
2 / 2

お子様

しおりを挟む
アイツをひと言で言うなら、お子様だな。
わがままで騒げばなんとかなると思ってやがる。


あの図体で、年齢など関係ないのだと思う。
「同じ教育を受けたのに、結果がああなったのはどうしてだろうな?」

「不思議ですね研究してみたいものです」


「その結果は、貴族に売れるか?」

我が家の恥だが、貴族として働けないのなら隠した。
民としてなら住めるんだあいつは。とことん貴族的なものが苦手なだけで。


手先が器用で、釣りやら木の実狩りもする。
きのこを食って倒れたことはあるらしいが、頑丈だ。

収穫物を奥方が料理して細々と暮らせるくらいには、逞しい。

貴族とは名乗れないけどな。

「俺の子!」

「誰の子だ?」


契約は嘘つかない。

それをかいくぐれたのなら…

「奥方、誰の子だ?」
「私達の子です。」

たぶん、このお子様の子ではないのだろう。双方折込済みかはわからないが、契約には反していない。
子供が2人なんて苦労しそうだが、血縁関係はないと記録して後は任せた。

このお子様な男を任している労いをこめて。

「まあ健やかに過ごしてくれ。」

そしてできれば私の仕事は増やさないでくれ。

生まれたと報告を受け、3ヶ月は経った。
「案外やってけるらしいな?」

とりあえず、問題は舞い込んでこない。

子供自慢の手紙が送りつけられるくらいだった。
「多いだろ。」


結構筆まめなんだと新たな一面に気づく。
暮らしぶりというのは、向き不向きがあるのだなと思った。

まあ、私の結婚はないかもしれない。養子は見つけているから特に問題はなかろう。

「それだけだ。」

そしていつのもの日々に戻っていた。

しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

部屋から喘ぎ声が聞こえる

サドラ
大衆娯楽
「僕」はトイレから部室へ帰ろうとするのだが、途中通る部屋から変な声が聞こえて…

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……

紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz 徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ! 望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。 刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。

処理中です...