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婚約者

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この子供が誰かが分かった。予想は立ったので裏付けまで完了している。

「メイドの家族で、その経緯が、記録に残っておりました。早馬で先方に確認済みでございます。」

執事の報告で、彼の顔が強張った。

「イマイチ、出来の悪い乗っ取り計画だったわね。自称、弟さん?」

彼は何か言って信じさせようと、思考を巡らせている。
額の汗、落ち着かない視線。

いちいち、劇の役者みたいね。
けど、貴族としてそこまで感情が出るのはマイナス。

「貴族の役を任せるほどじゃないわね?」

“あなたにこの家の後継なんて大役は務まらないわよ”

と言う意味だったけど、わかったらしい。
察しが悪いわけじゃないんだろうが、まあそんな事どうでも良いわ。

「私が当主なの。あなたをうちに入れませんし、詐欺で訴えます。」

私の合図で、憲兵が部屋に入ったけど、暴れてうちの執事が倒されます。
「私の婚約者に、なんて失礼な!」

彼を助け起こして、暴れた子供を睨む。

「その子、コッテリしぼって!」

ちょっと怒ってるわよ。まあ、憲兵に怒られて引き取りに来る家族にも怒られて。
しばらく監視がつくって感じかしら。


私の婚約者は、婿入り執事。あんな喜劇役者は眼中にないわ。

「唆した方も捕縛されたと報告がありました。」
「そう。ありがとう。」



後日、本当に役者になって嫌な貴族役をしていて
まあ味がある役者になってたわよ。

私達のデート先の庶民の舞台でね!
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