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両親
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「私達は、即急過ぎたかな?」
娘と話す場を設けた。今は学園生活で帰って来るのも貴重な時間だ。
「家格も、年頃も合う、彼の両親はよく知る仲です。でも私は知りません。」
「そうか。それが彼を知っていることではなかったんだな。でも子供だしそういういう事も」
「子供だから素直に出ているのよ。」
婚約は口約束の段階から、書類にもなっていた。
だけどそれだけだ。私の気持ちはない。
「婚約破棄の言葉は、真実の愛。私とは偽物の愛、だったようですね。」
お母様が痛ましげなお顔だ。
傷ついてはいない。けど、パーティで振られた女だと噂されるのだろう。そういうものだ。
「私勝手にしなさいって止めなかった。」
「会話できる関係性の構築も、進まなかったな。」
「絡んできても、そうですかで流したんです。」
「あら、そんな事もしていたの?あの子」
もしかしたら、アンネに気があったのかもしれない。
それを今、娘にいうのも実もない話ね。
「娘を守るのが親だ。」
「貴女はどうしたい?」
両親の言葉に、今更と少し思った。あの婚約者はすぐに決まったのに。
けど私もはっきり断らなかった。
「婚約の話は断れなかったのでしょうか。断りたかった。
お父様もお母様も、嬉しそうでした。この婚約を結べば大丈夫だと。」
「確かにそう思った」
「貴女のためになると思ったの」
「婚約破棄がすんなりできるように書類で起こしている。この事で不利益が発生しないようにだ。」
「もう、知らない相手と婚約したくありません。」
距離を詰めようと思えない関係だった。相手の態度も酷いし、手をとる気がないなら
私にだって伸ばす手はない。
残ったのは、嘲笑う声だけ。
「できれば私が婚約者を決めたいです。」
「そうか。候補はまだいる。相談を受けられると思う」
「素敵なレディの貴女なら、素敵な相手がいるわ。」
「焦らないで」
できればしばらく、婚約者という名前さえしききたくない。
「わかった、尊重しよう。」
そう、娘を見送った。
「しかし、だ。探すのはやめない。一人娘の幸せも今後の家の繁栄も望む。」
そして今度は、娘を悲しませない男を選ぼうと父は決めていた。
それが、空回りになっても、娘のためと思えば頑張れる。
「その行きすぎを止めるのが私の役目ね?」
妻と一緒に。
「ままならないものだな。」
「そうね。今回の結果を活かさないと。」
「あの娘を守れる男が見つかるかな?」
「今度は、アンネの望んだ相手を見極めましょう。」
「お前に娘はやれん!って言うのか?」
「そうね、紹介してくれた時に言ったら嫌われそうね。」
そんな夫婦の会話が展開されていた。
娘と話す場を設けた。今は学園生活で帰って来るのも貴重な時間だ。
「家格も、年頃も合う、彼の両親はよく知る仲です。でも私は知りません。」
「そうか。それが彼を知っていることではなかったんだな。でも子供だしそういういう事も」
「子供だから素直に出ているのよ。」
婚約は口約束の段階から、書類にもなっていた。
だけどそれだけだ。私の気持ちはない。
「婚約破棄の言葉は、真実の愛。私とは偽物の愛、だったようですね。」
お母様が痛ましげなお顔だ。
傷ついてはいない。けど、パーティで振られた女だと噂されるのだろう。そういうものだ。
「私勝手にしなさいって止めなかった。」
「会話できる関係性の構築も、進まなかったな。」
「絡んできても、そうですかで流したんです。」
「あら、そんな事もしていたの?あの子」
もしかしたら、アンネに気があったのかもしれない。
それを今、娘にいうのも実もない話ね。
「娘を守るのが親だ。」
「貴女はどうしたい?」
両親の言葉に、今更と少し思った。あの婚約者はすぐに決まったのに。
けど私もはっきり断らなかった。
「婚約の話は断れなかったのでしょうか。断りたかった。
お父様もお母様も、嬉しそうでした。この婚約を結べば大丈夫だと。」
「確かにそう思った」
「貴女のためになると思ったの」
「婚約破棄がすんなりできるように書類で起こしている。この事で不利益が発生しないようにだ。」
「もう、知らない相手と婚約したくありません。」
距離を詰めようと思えない関係だった。相手の態度も酷いし、手をとる気がないなら
私にだって伸ばす手はない。
残ったのは、嘲笑う声だけ。
「できれば私が婚約者を決めたいです。」
「そうか。候補はまだいる。相談を受けられると思う」
「素敵なレディの貴女なら、素敵な相手がいるわ。」
「焦らないで」
できればしばらく、婚約者という名前さえしききたくない。
「わかった、尊重しよう。」
そう、娘を見送った。
「しかし、だ。探すのはやめない。一人娘の幸せも今後の家の繁栄も望む。」
そして今度は、娘を悲しませない男を選ぼうと父は決めていた。
それが、空回りになっても、娘のためと思えば頑張れる。
「その行きすぎを止めるのが私の役目ね?」
妻と一緒に。
「ままならないものだな。」
「そうね。今回の結果を活かさないと。」
「あの娘を守れる男が見つかるかな?」
「今度は、アンネの望んだ相手を見極めましょう。」
「お前に娘はやれん!って言うのか?」
「そうね、紹介してくれた時に言ったら嫌われそうね。」
そんな夫婦の会話が展開されていた。
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