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4 幼い婚約者

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地味な女だった。
馬車で出かける先、友達の家だと言われてきた屋敷。

退屈な馬車の移動も終わり、すぐに出た。

「俺ん家のがデカい」
「庭の分だけな。」

「こちらは、都心に近いからこの広さで十分凄いのよ?」

おじさん、おばさんが来てあの女が偉そうにゆっくり歩いてくる。
すまして父さんにも母さんにも気に入られようと挨拶した。

「気に入らない。」

話たくなくて、ダンマリをきめこんいても話しかけてくる。
うっとおしい女。砂糖は2つで、チョコのクッキー?どうでも良いな。

庭で遊んでいたいが、母さんからの許可は得られそうにない。
仕方なく、話しかけられ続けた。

ほんと、どうでもいい事ばっかり話すな。

ドレス?男の俺に聞いてどうするんだよ。地味なドレスばっかりになりそうだな。
ここの家、金ないのかなあ。


やっと帰れる事になって、父さんが婚約者に決まったって。
そんなバカな!あの女が?


「もっと可愛い子が良い!」

「何を言ってるの。素敵な令嬢じゃない。」


つまらない


「つまらない事で怒るし、やれってうるさい。教師みたいに、すまして偉そうで嫌いだ。」

「もう決まった事だ。」

父さんが言い、母さんも乗り気だ。だって、あの女を褒めてばかりいる。

「どうしてあいつなの?」

「あいつなんて呼ばないで。アンネ嬢よ?」

「しらない!」

俺は庭へ出て行った。ここなら母さんは追って来ない。嫌いだからな。

「ほんと、なんでよりによってあいつなんだ?」

ふわふわでもないし、可愛らしくもない。従姉妹のが可愛いし、甘えてくる。

「あれは違う。」


そうだ自分で探そう。絵本でも、勇者は宝ものを探しに行くしお姫様を救いに行く。


「自分で探すんだ。あんな女、俺の婚約者なんて認めない。」


魔女だよ魔女
父さんと母さんを騙して、つけこんだんだ。俺に相応しい婚約者を見つけないと!


だってあの女じゃ嫌だ。


砂糖いっぱいのクッキーをこぼさず食べる方法なんて知らない。
女のドレスなんて興味がないの喋り続けてた。

つまらない女だ、相手してやる気も起きない。



「また嫌がって、逃げたな。」
「そういう時期かしら?あの子には頼りになるお姉さんといれば安心なんだけど」

「もう教育に力を入れて良い年齢だ。教師をみつけよう」



そうして、勉強の時間が増えた。たまにあの女の話題まで出る。
「つまらない事ばかりだ」


あの女のせいだ。


お茶会で会わなきゃいけない?
少し恥をかけば、偉そうになんてできないだろうな。



俺は作戦を練ることにした。
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