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「それでは、お婆様と仲良くな。」
「あら、息子の貴方よりはよっぽど仲良しさんよ、ねえ。」
「はい。」
「いえ、私の方が仲が良いです!」
「ほら、遅くなってしまいますので、お義母様よろしくお願いします。」
「ええ、ええ。いってらっしゃい。」
「しばらくは、お婆様と一緒ですね」
「ええ。こんな可愛い孫と一緒で嬉しいわ。」
「まだパーティには行ける年齢じゃないですから。」
「あら、パーティは好き?私は準備をするのも、会場でも気疲れしちゃうわ。」
「でも、綺麗なドレスは着たいな。」
「ふふ。今どんなドレスが流行なのかしらねえ。」
「お母様のドレスは、ふわっとキュッとなって裾で広がっているの。」
「あら、ベルの形なのかしら。それなら私も持っていたわ。」
「お婆様も持っているの?」
「んー、どこかにあまだあるかしら?」
家で過ごすのだ。
「最近はどんな事していたの?楽しくすごしていた?」
「婚約者ができたのが、変わった事かな。」
「あー。友人の息子と婚約を結んだと聞いたけど、仲良くなったのかい?」
「んーん。まだお喋りもあまりできてないの。」
「あら、それは残念だね。」
「そう?あまり楽しくなさそうだし。好きな物も知らないわ。」
「そうなのかい。それはまた…早く決まったね。」
「うん。もう決まってたみたい。」
「ん?2人がそう言ったのかい。」
「んー。なんとなくそう言う話をしてたの。」
孫の話は聞き出す限りでは、すぐに決まってしまっていた印象だ。
「相性を見る時間もなかったのかねえ。」
アンネの選択肢など、なかったように思えた。
「そうかい。婚約は気に入らないかい?」
「わかんない。けど、婚約は嫌だって言うほどじゃないかなあ。」
「受け身な答えだね。」
「あまり好きじゃない物ってあるけど、ちょっと見方を変えると違う物になるから。」
「お友達の息子さんも、見方が変わるかも?」
アンネは聡い孫だ。だからこそ、婚約は嫌だと言わないのかも。
なんにしても、急で幼いうちの婚約に、相性を見ないのも不安だ。
「何より、アンネの婚約なのにねえ。息子夫婦は何を考えているかねえ。」
能天気に、婚約が決まって喜んでいる様子が思い浮かぶ。
「決まってから後にも、フォローは必要だっただろうに。アンネのが大人だよ。どんな子なの?」
「やんちゃそう。」
まだまだ成長期の孫を慈しむ。
すぐに私の背を追い越して、美しく成長するだろう。
その将来に、添う相手なのか。
「もちろんお相手も幼い男の子だ。見極めは難しいだろうけど。
主役を置いておくなんて、なってないね。」
母親からの苦言に耳を貸す息子かどうかが疑問だけど、
これはしっかり話を聞き出そうと、帰ってきた息子夫婦に聞く準備をしておくのだった。
「あら、息子の貴方よりはよっぽど仲良しさんよ、ねえ。」
「はい。」
「いえ、私の方が仲が良いです!」
「ほら、遅くなってしまいますので、お義母様よろしくお願いします。」
「ええ、ええ。いってらっしゃい。」
「しばらくは、お婆様と一緒ですね」
「ええ。こんな可愛い孫と一緒で嬉しいわ。」
「まだパーティには行ける年齢じゃないですから。」
「あら、パーティは好き?私は準備をするのも、会場でも気疲れしちゃうわ。」
「でも、綺麗なドレスは着たいな。」
「ふふ。今どんなドレスが流行なのかしらねえ。」
「お母様のドレスは、ふわっとキュッとなって裾で広がっているの。」
「あら、ベルの形なのかしら。それなら私も持っていたわ。」
「お婆様も持っているの?」
「んー、どこかにあまだあるかしら?」
家で過ごすのだ。
「最近はどんな事していたの?楽しくすごしていた?」
「婚約者ができたのが、変わった事かな。」
「あー。友人の息子と婚約を結んだと聞いたけど、仲良くなったのかい?」
「んーん。まだお喋りもあまりできてないの。」
「あら、それは残念だね。」
「そう?あまり楽しくなさそうだし。好きな物も知らないわ。」
「そうなのかい。それはまた…早く決まったね。」
「うん。もう決まってたみたい。」
「ん?2人がそう言ったのかい。」
「んー。なんとなくそう言う話をしてたの。」
孫の話は聞き出す限りでは、すぐに決まってしまっていた印象だ。
「相性を見る時間もなかったのかねえ。」
アンネの選択肢など、なかったように思えた。
「そうかい。婚約は気に入らないかい?」
「わかんない。けど、婚約は嫌だって言うほどじゃないかなあ。」
「受け身な答えだね。」
「あまり好きじゃない物ってあるけど、ちょっと見方を変えると違う物になるから。」
「お友達の息子さんも、見方が変わるかも?」
アンネは聡い孫だ。だからこそ、婚約は嫌だと言わないのかも。
なんにしても、急で幼いうちの婚約に、相性を見ないのも不安だ。
「何より、アンネの婚約なのにねえ。息子夫婦は何を考えているかねえ。」
能天気に、婚約が決まって喜んでいる様子が思い浮かぶ。
「決まってから後にも、フォローは必要だっただろうに。アンネのが大人だよ。どんな子なの?」
「やんちゃそう。」
まだまだ成長期の孫を慈しむ。
すぐに私の背を追い越して、美しく成長するだろう。
その将来に、添う相手なのか。
「もちろんお相手も幼い男の子だ。見極めは難しいだろうけど。
主役を置いておくなんて、なってないね。」
母親からの苦言に耳を貸す息子かどうかが疑問だけど、
これはしっかり話を聞き出そうと、帰ってきた息子夫婦に聞く準備をしておくのだった。
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