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子ども

日誌

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「日誌?」

“その日何があったか、報告するもの”
セリの知識にもあった。

「日記だと人に見せるのは、抵抗あるだろうし。毎日じゃなくて良いんだ。」

護衛の狼獣人は、軽い調子で言った。

そもそもは、字の練習にと勧められたのが始まりだが、
その内容はセリを知る良い材料になるという下心を持たれている。


現在セリは、竜人の番という繊細な立場であり保護対象。
どこから来たかわからない人間の子供。

この『極北の城』内で浮いた存在だ。

人族と敵対関係にあること
(セリがその砦から行軍中に偶然竜人の男に持ち帰られたことは秘密だ。)

セリの事はわからないものの、幼いようなので保護する
という曖昧な立場。


この城を守る立場の騎士は、その人となりがわかる情報を求めていた。


まずは慎重に。知ることから始める。
竜人を怒らせれば、この城は真っ平らになってしまう。

粉々ので氷の柱が立ってしまう様子が想像できた。
その“番絶対主義”と言われる竜人の相手。

どう扱うか、情報部が緊張状態なのもわかる。


護衛と言えど、狼獣人は情報部。
日々探りを入れ、セリという女の子の秘密を暴こうとする。
悪い子ではなさそうだが、全てを話している訳ではなさそう。

見た目ほど、幼くないかもしれないと読む本で思う。

セリは読めるが書くのは拙いと言う。
字を覚えると真っ当な理由は好都合なのだった。

承諾をセリからもらった狼獣人の尻尾が、嬉々として揺れた。
それをつい目で追てしまうセリだがごまかす。

しかしこの時後
その日誌を読まされる立場になり、その精神的な苦行になるとは思いもしなかった。



狼獣人と情報部だった。
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