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3 魔塔の人々

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“ハッキリ言ってやらないとわからない”この職場は私の性格に合っていると思う。

魔術士の皆さんは、言ってもへこたれないしよく書類を忘れている。
書類関連は、優先順位が低いらしい。たまに食事を忘れて倒れる者も一定数いる。

メンバーが変わり映えしないので、注意喚起や声かけ確認も仕事の一貫になった。
書類の仕事に慣れてからの仕事は、教育。あれはもう、そういうたぐいの事だった。


「期日今日ですよ」
「字の癖が強くて読めないんです」

治らないことのが多いため、約束して催促したり見回りの時についでに事前の知らせ。
そふぇも仕事のうちになった。


学んだのは『やり方を相手に合わせた方が、成功する。』『ズバッと言ってしまう。』
『聞き出し、根気強くどうすれば良いか決めてもらう』

それで仕事を終わらせている。
特に思うのはこれらを結婚相手にする人は大変だなと思う。愛の力で乗り切ってね、私はパス。

無理!仕事だからやる。

良い人達なんだけどねー。没頭型は介入しないと本人身周りも大変。


「お節介焼き?声をかけないと書類が揃わないんです!」

仲良くやっている。喧嘩に入らないわ、私のが書類に関しては強い権限があるんですよ?

相手が機嫌が悪くてムッとしていても、後ではそんなことあったっけ?とか言っているし、
どう言う頭の構造をしているのだろうってよく考えている。

とりあえず、貴族向けの性格じゃないので魔塔に入って正解だと思うよ。

そのうち、私の仕事の範囲も広がってきた。
予算のことお金関係はびっくりする。研究にはお金を使うって言うけど、慣れない金額だなあ。

「計画的に、予算をぶん取りに行くのよ」

先輩事務員は朗らかに強い。それについていける事もあって、ちょっと楽しかった。

「私もバリバリ仕事がしたいです」
「楽しいものね、でも結婚はタイミングだから外さないようになさいな。」

既婚者の言葉は重いです。

1人で行くことはないけど貴族への挨拶、寄付を募ったり誰かとの面談。
高位貴族というだけなく、研究に協力してもらっている貴族や場所の提供者に挨拶というのも仕事。

令嬢との橋渡し、未婚の男がうじゃうじゃいる中で、おすすめの相手をは誰かと聞かれる事も。
私?うちの魔術士は趣味じゃないですとは言えず口を濁す。

「まだ結婚は考えられませんの」

私も適齢期と呼ばれる年齢になっていた。令嬢教育と呼ばれる3年は通わなかったし、モテるタイプじゃないのは知っている。


「仕事ができる女はお呼びじゃないですかね?」
「魔術士の周辺にいる女は、奥様方には人気よ。」

「意外な需要だね。」
「自身の不出来な息子のお尻を蹴っ飛ばして欲しいらしいのよ」

「女魔術士も大変ね」

部屋が近い彼女との世間話は、寝る前ののんびりした時間に心地よかった。
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