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いない

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不気味な屋敷には、使用人も少ないのか出迎えはなかった。

この結婚を歓迎していないのだろう。立派な扉をくぐり抜け屋敷の中に入った。
私が開けた。

だって御者は他の仕事があると裏の方へ行ってしまった。
レナはメイドとして荷物を持ってくれている。

「まったくどういった仕事に心得を教えているのでしょう?ここに奥様が来たと言うのに。」

屋敷の中は思ったより綺麗だが、寂れている。
最低限の補修に、飾りは置いていない。

見回していると…
2階に、男性がいて私とレナはビクッとなった。

「こちらへ」

私達を気にせず、先に行ってしまう。男性は使用人だろうか?違う気がする。


執務室にて
正気のない顔、おとなしそうでイメージで貴族の太々しさはない。

年齢より大人びた印象だ。執務室に居るとなると…

「旦那様ですか?」


ここ歓迎には驚きの連続だ。金策が必要そうな屋敷に、使用人が出てこない。
雇っているのかさえ怪しい。

「部屋は用意してある。客室を使ってくれ。」

「あら、主人の部屋の隣ではないんですか?」

結婚したのなら、夫婦として女主人の扱いを受けるのが一般的だ。


「人が来れていない。それまで待ってくれ。」
その顔に苦い感情が出たのを私は見た。

気まずそうなそれに旦那様をいじめるのはやめ、
「部屋で休みますわ」引き下がった。


やはり、誰もいない。
「優しそうな旦那様だったわね。」

「そうですか?ここは森の奥ですがやはり、使用人がいないのはおかしいです。」

「わざと、とか?」

「何故ですか。貴族の令嬢を迎える準備もできていない結婚なんて…」

「ミッドナイト家は伯爵家よ。何か風習があるとか?あちらも乗り気じゃないとか。」

答は出ないが、今日ここに泊まるしかない。馬車は帰る予定だし私達の足では、夜になってしまう。
慣れない森の中を行くのは余計に危険だ。

この状況から、コックはいるのか?と言う話になりお茶も飲みたいから
こっそり台所に行く事にした。食事もあるかさえ、不安になる。

その移動最中…
誰とも会わない、“いない”と結論づけた。勝手に屋敷を歩き回る事にする。


裏口、御者が荷物を下ろした後らしくもういない。
「屋敷の庭ですね。家庭菜園でしょうか?」

「街から離れているから、自給自足できるようにしているのね」

「貴族の庭には見えませんね。」


予想通り、コックもいない。

「どうなるのかしら?この結婚。」


とりあえず、2人でお茶を飲む事にした。そこそこの茶葉でもレナが淹れると美味しい。
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