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セリの帰郷と旅

1-帰ってきた

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「帰って来れた」

つい、セリからの口から出た言葉には色んな感情がない混ぜになっていた。ここを出なきゃ行けない時に、何年も帰って来れないと覚悟して出たのだ。

まだ落ち着いている反応の範囲だろう。嬉しさと、まだ残る不安。
それも、独りでは無い事で、十分に不安は薄まっている。


「ようこそ、私の故郷へ」

セリが育った街。冒険者の拠点としても長く居た。竜の翼の3人を案内できるほど知り尽くしている。

冒険者にとって、大物やダンジョンでの一発当てる稼ぎは難しいが。薬草類が豊富で、薬師と連携をとって安定した稼ぎができる。中堅と見習いが多く集まる。

もちろん魔物の危険はあるが、それでも新人への依頼も充実した面倒見の良い街だ。

「観光案内もできるけど」

友人、知人に一時的な帰還を伝えたい。それには冒険者ギルドへ行けば事足りるが。

宿をとって、有名どころのお店に案内するくらいはしよう。私のために来てくれた3人に行きたい順を訊く。残念ながら、市場の時間は終わりの頃だ。

「先に宿をとりに行きますか?オススメできますが」
「ンー、馴染みのトコがあるから、そこに泊まろうカシラ」

商人のシュルトは、この街にも詳しい。親類が家を持っているから部屋を借りる想定らしい。

「なんか買い込んでく~?」

狼の耳、カナンが店に当たりをつける様子。新しい店も出ているから気になるけど。

「セリ、行きたい所があるなら優先するぞ?」

私に甘いロード。私、セリがツガイだと言って捕まえてしまった竜人。冒険者で有名な[竜の翼]のリーダー。

そのメンバーの3人と共に帰って来ていた。私に都合の良い事ばかり、事が進んでいて正直、戸惑っているんだけど。彼らに、ちゃんと利点があるように動けると良いな。

「ここは食べ物を売っている区域ですから、気になる物だけ買って。後は、宿を確保してから決めませんか?」

「そうしまショ」

宿の場所を知っているシュルトの同意を得て、ゆるりと移動する。

喉が渇いたので、果実水。串肉を人数分、齧り付いて多かったのでロードに最後の肉を食べてもらった。

甘い物を探しながら。スープが有名だけど、今日は完売したかな?干し果物を買って、シュルトの先導で、今日の宿へ移動する。

冒険者のグループを何組か見かけたが、知った顔は居なかった。

(それに安堵している)

「大丈夫か?」
「ええ」

緊張と警戒しているのが丸わかりだろうな。落ち着こうとしても、なかなか難しい。

私は逃げた。

部屋は4部屋。

「ロードとセリは一緒で良い?」

2人に個室より少し大きいくらいで、狭いかなとセリは考える。
「勿論だ」

「ロードが食い気味~」
「セリに訊いてるのヨ」

「大丈夫です」

冒険者ギルドの宿泊所で雑魚寝も経験している。問題なく寝れる。
ロードにぎゅうっと抱きつかれた、どこが琴線に触れたのかな?

「買い物、行ける?」
「ちょっと無理そう」
ロードが原因です

「酒頼む」
「あいよ~」

外に出したく無いのは理解している2人はロードとセリを置いて出掛けた。

「狙われているのはセリちゃんで、敵地。」

相手のが地の利、情報を得てこよう

「商人ギルドへ行くワヨ」
「大丈夫かな?」

「セリが心配?」
「いや、ロードがハッスルしそうで…」

心配気に、出てきた建物を見つめてしまう2人だった。
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