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育った街へ

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「元気かな~?」

覗き込んだ器の中には、蜥蜴が静かに潜んでいる。
キースが持って行ったものの今日持ち帰った。

隠れられるようにか。
後、水盆。これはここで用意して戻ってきた、ただの陶器の器だ。

他は魔道具だったり、耐魔力製の器。
砂は水魔法の付与がされたものだろうか。

「動かねえな。」

深い藍色は、身動ぎしないが銀色の星のようにキラキラしている。
透明なボールのようなものに入り、砂が敷かれ申し訳程度に植物がある。



セリは、魔法で出した水を浮かせて出す。
与えれば飲むかな?


艶々でウルウルな肢体。
身動きしないんで、綺麗な鉱石のようだ。


「見つけた場所に居た方が良いって。」

謎の生物と認定されて戻ってきた。
“魔物ではないし、生物でもない。”と言う結果だった。

魔法の生物かと実験観察しようにも、動かない。

「傷つけるなって言っといたから?」

キースの言いようには、実験、解剖の可能性もあったようである。

「解剖されなくてよかった。」そう安心して呟いたセリの声に
ビクッとしたような気がする。


(名前も決めたい)と密かに、決める。
蜥蜴だとつまらない。

「コイツを部屋に置くのか?」


セリの部屋だ。あま使っていないのはlロードの部屋に入り浸りな訳で。
作業台まで用意してくれたので、たまに服を出しに来るだけ。

そのうち、室内で育てられる薬草を育てたいと計画している。

じゃないとせっかく用意してもらった部屋が使ってないのは悪い気がする。

多分気にしていないと言われると思うけど。
(予想通りヨ?と付け足される気がする。)


部屋に久々に戻ると、明るい日が差し込んでいた。
今はゆっくり起きた朝といった時間帯だからか。

近くの森は魔物の住む危険な場所の筈だが、魔導具とすぎ腕の冒険者が住んでいれば
問題を感じない。

この拠点から森へは出てないし、一回入ってみたいんだけど。
セリのレベル的に不安だろうか?

「どうした?」とセリの肩を抱くロードを見る。

(ロードがついてくるなら、大丈夫な気がする。)


そっと、置いたのは外の見える窓際。

器をひっくり返されると危ないし、陽が当たる方が良いか。

いや、影にしよう。

器から出られるように、木の枝を置いておく。

部屋で自由にしてもらう

居なくなったらなったで仕方ない。
記録はさせてもらったので、放して良いのだが。

生態もわからない
なら、最初に見た場所でとなった。


「うーん水が足りないかな?」
「わからんな。一応、追加で置いとくか?」


食堂で良さそうな水の器を探すことにした。


優雅にお茶をしているキースがいた。
絵画になりそうな、麗しい姿だ。

「あの蜥蜴、放したの?」
「うん。置いてきたよ。」

セリはそう答えて、キッチンに器を見に行った。

「結局、何かわかんね生物なのか?」
「そう。変わった生物って事で記録を取って、終わり。」

謎生物扱いだった。
キースが頼んだところは、有名な魔導士、研究者がいた。

扱いも上等だっただろう。
魔物を小さくしたような

この生物の属性違いか?と候補が出たものの断定できないし、異なる特徴を持つ。

新種?

驚くが、研究意欲を刺激するものではなかったらしい。
危険も有用性も見出せないため、こんな生物がいたと言う記録で終わった。



「ま、害はないでしょ。」

セリの部屋に居着いたら、ちょっと嫌だとおもうのはロードだけ。
番の部屋に他の存在が居るのは不服。

だけd、そうセリの自室はつかっていない。

俺の部屋にいれば良い。
まあいっかと解決した。

「そうだ、そろそろ旅に出ても良いよ?」


そうキースが突然言い出したのだった。


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