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育った街へ

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「土産をどうするか。」

心配事を頭から追いやったセリは、孤児院や友人
お世話になった人への手土産を考える。

今いる王都で手に入る物?
あまり行動出来ていないので、今回は探しには行けないからどうするか。



街に帰る途中、貿易街で話題のものや珍しい物にしようか?
あそこなら、どんな物があるか知っている。

魚の干物もお酒に合って良いかもしれない。
王都の土産は、情報通の友人の話を聞いてまたの機会にするか?

(依頼で届けてもらうのも有り)
少々、浮かれた気持ちを自覚しつつ
セリは旅の準備をするために、自室に戻った。

(数回しか入ってない自室だけど。)
『竜の翼』の拠点に用意してもらった部屋だが、ほぼロードの部屋で過ごしている。

服まで用意してもらい、折り畳める文机と椅子
使われていないベッドがあった。

あまりにも自室での滞在がないので、部屋や調度品の用意をしてくれた
シュルトに申し訳ないと言えば、
「それも見越してたし、気にしないで。」

と言われた。恥ずかしかった。どうなるかお察しですね?!


恥ずかしい気持ちを心の中でバタつかせ、部屋に入るまでには落ち着かせた。着地だ。

その馴れていない自室に行き、
少ない自分の荷物と、自分用に作っってもらった服を見た。

(量が多いな。)
まだ袖の通していない服は、街着用が多い
「どんどん作るわよ!気軽に要望を言ってね。」

シュルトは服飾の店を持つ。
お金はロードからだから、ドンドン頼んでイイわよ!

という調子で、ドレスまで作られそうだった。
いや、実際もう着手している。

礼服やパーティに出られる服装は、華やかなドレスと冒険者らしい姿。
「出来たら着てネ!」

着せ替えの楽しい、ターゲットになったセリだ

ハネムーン旅行とは言うものの、まだ出発に時間がかかる
とはいえ、それぞれ動き出している。

セリが一番暇だけど。掃除をするほどでもなく
部屋眺めていると

ちょろっと視界の淵のものに、警戒反応!

つい、武器の位置にセリは手をやった。
部屋の中なのでもっていなかったが、魔法を使えるように魔力を練る。

魔物除けのある筈の建物。
守りがあるため、魔物など危険な生物を寄せ付けないと思うが…


“何事にもイレギュラーがある”
そして、そこを油断すると命に関わる事を知っていた。

『違和感には警戒を』

セリも冒険者として活動していた。
その警戒心とともに、確認する。

ちょろちょろっ!

壁を伝って消えたシルエットは。

蜥蜴とかげ?」

水色で指で掴んで持ち上げだれそうなほどの大きさ
目立つ爪もなく、長い尻尾と煌めくのは鱗?

見えた姿に、どの魔物の特徴とも合わない。
そして魔物にしては小さい。子供の可能性を考える。

そもそも防御をすり抜けたとかあるのかな?

(もしかして、誰かの捕まえていた蜥蜴だったとか。)

薬や鑑賞用、もしかして何かの餌に?

動く様子のないので、階下の
メンバーへ報告をしに、セリは部屋を出た。



「ここで蜥蜴、飼ってる?」

「いや。どんなだ?」
ロードに心当たりはないようだ。
姿を説明してもわからない。


「グスタフの研究素材で仕入れたか?」

「そもそもなんて言う蜥蜴ヨ?」

ロードとシュルトに心当たりはない。
色々商品を買い付けするシュルトが知らないと、個人で手に入れたか?

知り合いの預かり物とか。

「…蜥蜴を、生きたまま?」

セリの疑問はここに尽きる。素材なら違う形になってると思う。
拠点のリーダーも、管理しているシュルトにも心当たりはない、と。


「捕まえてみる?」

と提案してセリの部屋にロードとシュルトを連れて戻った。



「外には魔物除けを撒いてるし。
建物にも魔導具で魔物は近づかないにヨ?」

シュルトが整備のチェックをして、ロードが油断なく部屋の観察をする。

壁を這っていったその先に…


何か?
水差しに飾ってある花が、少し萎れかけていただけだった。
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