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呼び出し
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「来たのね?」
来ない可能性も考えた。
あのメッセージが置かれていたのを夫だと思った可能性と
ただの悪戯で済まされ来ないかもしれないと思った。
私は、紅いドレスを着て月を眺めていた。
この女は私を破滅に追いやりに来た。
ならば、排除しなければ。
ここは社交界ではなく、誰の目もない。
そう指定して、呼び出したのだから。
「奥様、なぜ私などお呼び出しを?」
緊張した声でも、はっきりとたずねる。
その理性的なところが夫は、心を奪われたのかもしれない。
「私の夫を奪うのね?」
短剣の刃が光る。
「いいえ!奥様誤解ですっ」
必至にいう様子に嘘はないかと言えば違う。
夫は、この女に求愛の言葉を贈っていた。
『私の妻になってください』と
この女は拒否しているが、まだ家庭教師をしている。
この状況で、何を誤解というのか。
私はこの短剣を振るう権利がある。
女主人として、不穏な女を排除する
短剣は、彼女の血に染まる筈だった。
「やめろ!」
夫の声に振り向く、私はその瞬間…
何を期待したのだろう?
目の前には、女を庇い私の前に立つ夫の姿。
じっくりと見る。記憶にあるより老けた彼を見て
その強い警戒の瞳に
もういいかと気持ちが手放せた。
カランと短剣が落ちる。
彼が贈ってくれたお守り。私の守護石を飾った美しい思い出。
「貴方、離縁しましょう。」
もう、私の声に感情は含まれていなかった。
この2人がどうなるかなんて知らない。
子供にも、求められていない私は、ここにいる必要がないのだ。
ここを出ていこう。とにかく暑い国に行きたい。
そう従僕に希望を伝え、全ての諸々を任せて家だったところそ出た。
来ない可能性も考えた。
あのメッセージが置かれていたのを夫だと思った可能性と
ただの悪戯で済まされ来ないかもしれないと思った。
私は、紅いドレスを着て月を眺めていた。
この女は私を破滅に追いやりに来た。
ならば、排除しなければ。
ここは社交界ではなく、誰の目もない。
そう指定して、呼び出したのだから。
「奥様、なぜ私などお呼び出しを?」
緊張した声でも、はっきりとたずねる。
その理性的なところが夫は、心を奪われたのかもしれない。
「私の夫を奪うのね?」
短剣の刃が光る。
「いいえ!奥様誤解ですっ」
必至にいう様子に嘘はないかと言えば違う。
夫は、この女に求愛の言葉を贈っていた。
『私の妻になってください』と
この女は拒否しているが、まだ家庭教師をしている。
この状況で、何を誤解というのか。
私はこの短剣を振るう権利がある。
女主人として、不穏な女を排除する
短剣は、彼女の血に染まる筈だった。
「やめろ!」
夫の声に振り向く、私はその瞬間…
何を期待したのだろう?
目の前には、女を庇い私の前に立つ夫の姿。
じっくりと見る。記憶にあるより老けた彼を見て
その強い警戒の瞳に
もういいかと気持ちが手放せた。
カランと短剣が落ちる。
彼が贈ってくれたお守り。私の守護石を飾った美しい思い出。
「貴方、離縁しましょう。」
もう、私の声に感情は含まれていなかった。
この2人がどうなるかなんて知らない。
子供にも、求められていない私は、ここにいる必要がないのだ。
ここを出ていこう。とにかく暑い国に行きたい。
そう従僕に希望を伝え、全ての諸々を任せて家だったところそ出た。
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