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V 舗装された道

馬たち

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予定通り、泉で馬を休ませる。


追手もなく、待ち伏せもいないようだった。
念のために、周辺を見回っている。

グスタフとカナン、ロードがそれぞれに散っていった。

セリには休息が必要だった。
ロードのおかげで
乗りなれない馬車での疾走で尻は守られた。それでも体力の消耗があった。

体力のない筆頭なので馬車の守り、待機なのは仕方ない。そう納得し
馬の近くで、セリは立って身体を解していた。

馬車酔いはないが
足は少しフラついた。

慣れたように背を伸ばしているキースを見ていれば
「慣れてるからね」と余裕そうに言う。
「体重差かな?」続く台詞に、

少し拗ねた気持ちが湧いたセリだが
早々に切り替え、昼食がわりの軽食をとった。

馬車の中で食べられる気がしないので
「お先に」と断って軽くお腹に入れる。

キースも
軽く食べるようでクッキーを口にして、「ん!」と紅茶を強請られた。
セリが淹れて自身も飲む。

立ったままでも優雅に紅茶を飲みながら、キースが尋ねる
「水の玉って何個、作り出せる?」と。

セリは考える
「時間による。前に湖でやった時より倍はできるかな。」

キースは、“サプライズ”に何個必要か計算していた。
セリがどれくらい使えるか?にかかっている。

驚かせるのにちょうど良い方法。
悪戯心をくすぐられながら

自分の楽しみを仕込むキースだった。



ブルルルっと嘶く馬を見る。
この馬たちには、次の目的地まで続けて走ってもらう予定だ。

セリが撫でると、興奮しているようだが
苦しそうには見えない。

お礼にエアウォッシュをしても良いか聞いてみることにした。
一応、魔法の温存をする役回りだ。

ただ、生活魔法を少し改良した魔法“エアウォッシュ”は、魔力の減りが少ない。
次の目的地までには回復している量だ。
勝手にやらず、リーダーのロードに許可をもらってやることにした。

ここまでしっかりお荷物だ。
少しでも役に立つ事をしたい。邪魔にならない程度にとセリは思っている。

周辺の警戒に行っていたロードが戻ってきて、頭を撫でる。
この人は甘い。それに甘え過ぎないようにしないとと改めて思う。



3人が揃い、それぞれ問題なかったと報告した。
「ここからまた馬車で飛ばすぞ」

仕切り直すギムナスが、地図で確認する

「ここで馬を変え、後は王都へ一気に向かう。」ギムナスも気合十分だ。

馬も元気だ。再び
馬を走らせる!


後方を走る馬車では
フォレストオウルの相棒がいない実感を持っていた。

ヴァルトがいれば高台の
警戒できるが

今回は手紙を届ける方が優先だった。

森の中を突っ切る予定はなく、

この道に高台からの奇襲できるポイントはない。
後ろからの追手はかからないようだ。引き離せたとみている。


グスタフは冒険者ギルドに行った時、
目線を感じた。
見張られていると予測するもの

さっさと依頼を見るフリをして、数を数える。
帰りがけに視界に入ったのは、酒場にたむろする数人。
このギルドにしては武装がしっかりしている。

馬車を襲えるくらいに

今回の道行きは順調だ。
段取りが良さは、商業ギルド長の才覚だと思う。

同乗者2人は、
前の馬車の心配をしている。

後ろより前に塞がれるのを避けたいと
魔法を使える3人を置いた。

元々、セリをどちらにするか
はどちらでも対応可能と言う話だったが

ロードが手放さない。
水魔法を媒介にした氷魔法の制御性の良さは

組ませておくのが今回の最善だろう。


この2人は、セリをフォローできない位置に
気を揉むらしい。

大弓を持ちつつ
後方の守りについている。

2人のやり取りを聞き流しながら。



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