【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

V 舗装された道

食後のお茶会

セリは、シュルトに慰められていた。

「獣人の子供なら、大人っぽい子も多いからそんなに気落ちしないで、ネ？」
「オレとロードが構いすぎたせいかもな。」
カナンが笑ながら言うのが恨めしい。

獣人が子供に過保護だったり、反対に無頓着だったりと幅が広い。
見た目で獣人とわかるカナンと、ロードの世話に

“獣人の血が入った、未成年の子どもを預かっている”と勘違いが起こった。
成人は15歳。種族によっては12歳を大人とみなすところもあるらしい。

そこら辺を鑑みても、“16歳には見えず子どもだと思われた”。
そのことにセリは結構なショックを受け続けている。

シュルトは、
キリッとして大人顔負けな仕事をする
いつものセリなら勘違いされなかっただろうと思う。

しかし、
そう幼い行動ではなかったが、もくもく食べる姿は庇護欲をそそられた。
その気持ちのままに撫でたくなって、頭をポンポンした。

それにロードが嫌がって、まだしょげているセリをソファへ座らせた。
正確には、ロードの膝の上だ。大人しく座っているセリ。

それを確認しつつシュルトは、セリにお茶を淹れてあげようと用意する。


(キースに比べれば、年齢が分かりづらいかもな)
と凹んで年相応な反応のセリちゃんに話しかける。

「それくらい、リラックスしていたということだって～。」
『竜の翼』に馴染んできてると慰めるが、
他のメンバーと比較して庇護者であると思われた。それは浮いているという意味でもある。

キースが“貴族様”と言われるのと似た現象だ。
オレらと居れば、どう見たって子供の扱いを受けてしまうだろう。

可哀想だが事実だ。今後もありそうだから、受け止めて欲しい。


セリは呆然と仲間の声を耳にしながらもしながらも、心の整理をする。
これでも成人してるのに！というプライド面で自分はショックだったようだ。

仲良く見えた様子は良いのだが、子供扱いは嫌だった。それも子供の反発心と言われそうなので飲み込む。
なんとか持ち直し、シュルトに紅茶を出してもらったことで
気分を落ち着かせようと、飲んだ。

キースにも紅茶が出され、
他のメンバーはお酒を嗜むようだ。

ちょっと気持ちが復活した。

「このメンバーならしょうがないよね？ボクも未成年か聞かれたことあるし」
「そいつ、キースを連れ込もうとした奴だっけ？」

「さあ、頭頂部焦がした奴かもねー？」

それは火事が心配な…親父だろうか？と考えてその様子が想像できた。

キースも見た目で損をしているんだろう。冒険者は特に、見た目の強さも重視される。
護衛ならとくに、強そうな冒険者なら引くこともあるかもしれない。

その点良いが、細身だったり女侮られる。
金額面で下げられることも依頼によってはあるのだ。

職業柄、一定数の悩みはあった。
セリにも覚えがある。

こんなヒョロっこいのに仕事ができるか！と何度か言われている。
依頼人に気に入られなければ、他に回されるのが低ランクの仕事だ。

そのところ、セリは採取で固定の依頼人を得ていたが
見た目で侮られる覚えは多分にあった。

そんなことをぼんやり考えていたが
ロードに撫でられ、なんとなく気持ちが落ち着くのだった。