上 下
159 / 200
V 舗装された道

夜の飲み会

しおりを挟む
セリは『一人二役』に乗り気だったが、
ロードは渋い顔だ。

つがいを危険に晒すことに忌避感を持った。
いろんなもんをひっくるめて、1番良い方法だとわかっている。
わかっているんだが…。

セリを撫でてから席を外した。
カナンがロードの隣にいきフォローする

「オマエの周りは物騒な奴が多い。オマエだけなら跳ね除けられるが…。
セリちゃんが狙われるのは、確定だ。」

楽しそうに話を聞いているセリを見る
表情も柔らかくリラックスして明るい。

俺の唯一。離れる選択肢はない。
ただ、俺のいる場所は面倒な奴が多い

虎視淡々と俺の足元を狙う
もしくは命も。

そんなとこに連れて行くのか?
巣にこもってしまえば良いという気持ちと
セリを連れていろんなところへ行きたいと同時に思う。

それなら


「後手に回らない方法をとった方が良い。」
真剣なカナンの目に否を言う気はない。

理解はしていたが、
囮にするところを同意するわけで

モヤモヤする。

「まっ呑めや」と勧められた酒を煽った。

知ってるか?それは葛藤している状態だ。とカナンはロードの様子を観察した。
常日頃勘で動いているようなロードをここまで揺さぶる、番の存在。

(面白くなってきそうだ)と波乱の予感に、そう来なくっちゃと戦う心構えはできている。
何が出てきても、乗り越えて見せるさ。覚悟はできている。

珍しい様子の相棒に酒を注いだ。


一方、セリはシュルトに王都の話を聞いていた。
おしゃべりに華が咲く。

グスタフとキースは、本を読んで
呑むと飲み物は違えど同じように寛いでいた。

「王都はやっぱり、流行の先端ね!
貴族の間で流行ったものが
国民にも流れてくる。手頃な値段のものになってるけどネ。」

商人の集まり
職人も修行に集まったり

コンクールが開かれて一堂に会する。

「人も物も集まってくるのヨ」

観光案内よろしくテンポよく説明された。慣れた様子のシュルトだ。

「王城の背後に広がる森

魔物もいるが
精霊の加護があり

屈強な騎士に守られている

貴族のパトロンに挨拶してから
森の拠点に行くからネ!」

依頼が終わった後の予定が出たとこで

「どんな森?」気になった点を聞いた。
都市の近くにある森の存在
魔物がいるそこは防衛の境目で、冒険者の稼ぎの入り口だ。

「浅いところは冒険者が拠点で貰っているところが多いわね」
貰っているは褒賞で下賜される
高ランク冒険者の証ともされる。

そんな説明を端折り、続く

「王弟の城砦もあって、人気のある土地ね…』

セリは王都での買い物より森が気になる。
王都はお金がかかると聞く。

倍だとか。収入源を確保しておくと言う頭が働いた。

今なら魔力付与で新しい装備を買う余裕ができるのだが
堅実さも大事とセリは考える。

拠点、森だけど
王都で買い物もするからね!

「装備は、弓の拵えも相談できると良いけど。」
「良いところを紹介するわ!」

生活基盤を築くこと以外
あまり興味が薄いセリだった。

が。

「甘いものがあるよ?」キースのひと言

チーズケーキ

他の地域から流れてくるアイデアと
力量で年々新しいものも出てくる

しばらく来ないと、もう知らない程度に。

キースの語る話に目を輝かせた。

ロードはそんなセリを見て、キースから情報を聞き出そうと
デートコースに決定する。

その視線を感じてセリがこちらに来た。

優しく向かい入れる


カナンの話も少し聞いていたセリは
自分が危険なのは変わらないと思う。

『竜の翼』の弱点なのだ。囮役は慣れている。

それと同時に、信頼もあった。
『竜の翼』に。

ロードをまっすぐ見て誘う
「一緒に狩りしよう?」

何が来ても跳ね返せるよ、と。

ロードは誘いを断る気も起きず
その言葉に、ワクワクして番に微笑んだのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する

影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。 ※残酷な描写は予告なく出てきます。 ※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。 ※106話完結。

めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜

ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました 誠に申し訳ございません。 —————————————————   前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。 名前は山梨 花。 他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。 動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、 転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、 休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。 それは物心ついた時から生涯を終えるまで。 このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。 ————————————————— 最後まで読んでくださりありがとうございました!!  

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~

丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月 働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。 いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震! 悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。 対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。 ・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。 もう少しマシな奴いませんかね? あっ、出てきた。 男前ですね・・・落ち着いてください。 あっ、やっぱり神様なのね。 転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。 ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。 不定期更新 誤字脱字 理解不能 読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

処理中です...