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V 舗装された道
夕食後
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和やかに夕食が終わり
ギムナスが今後の話をする。
「面倒な商人が追いかけてくるが、森でまく。」
この屋敷に急遽進路変更したのは、その相手を避けるためらしい。
「『竜の翼』がいれば森を突破して町に入るのも可能だろう。
次の町は広いし、支援者がいるからそこに…」
少しボーとしながらセリはギムナスの声を聴いていた。
もう王都はすぐそこだ。
馬を走らせて最短距離を行けば、1日で着くらしい。
商人の馬車が使える道ではないけど。
遠くへ来たとは思わない。
いよいよか。王都はこの旅の終点。
自分のことを話したのに動揺してしまった。
この弱さで立ち向かえるだろうか?
『気に入らなければ、帰ってこい』と送り出された町。
自分が育った、帰る場所があるところ。
それにすがって大丈夫か?
自分のせいで、あの場所を壊したくない。
その思いは変わらない。
情報を集めようか?
下手に突けば、バレる危険があることからセリは
あの場所を探る気がなかった。
今は、
知らない危険より知ったほうが良いと思える。
ここの面々は、協力的で自分に同情もしてくれる。
それを利用する形だけど、
もう一人でやっていくには限界だ。
確かに覚悟する必要があった。一歩踏み出すこと、
誰かに頼ることも
逃げたい。用意された将来で死にたくない。
王都で新たな道が、開けるかもしれないのだ。
新しい可能性は、
自分の心を奮い起こして、浮き足立たせるものだった。
隣にいるヒト。
「…夜に王都へ入ろうと思う。」
ギムナスの方に意識を戻す。
夜に門って開いてるのかな。
夜警をしている兵士がいる門から入る。
(そんなことできるんだ。)
普通なら無理だ。
ギムナスの手回しと、協力関係を築いたコネによる。
強行突破。
「変なちょっかいはごめん被る。利益にもならないしな。」
と軽く言いそうなギムナスだった。
そのあと解散になり、洒落たバーのある部屋で
大人組みはお酒を飲むようだ。
冷えたエールで一杯
それを横目に、セリは、キースの紅茶を淹れた。
自分の分入れていない。
セリは、座っている後ろ姿を覚えるように、ロードを見ている。
キンキンの、冷えたエールを出されカナンとロードは隣だって座る。
まだ、腹ただしいらしいようでふてくされた面をしている相棒に、
「オレがセリちゃんのほっぺにチュウしたのが…」
カキーン!!
「そんなに怒ってんの?」と言うまでに、エールが凍った。
あーあっ。揶揄いがいがある奴になっちまって。
「もう一杯たのむわー。」
凍ったエールと混ぜながら飲む。冷たくて頭痛がするぜ(笑)
隣でもグィっと飲みほした。
水みたいに飲みむなあ。こんなの軽いがな!
部屋で飲む前哨戦には、丁度良い。
まあ、やさぐれるなって!と生暖かい目でみれば、
チラリとバレないようセリちゃんを見ているロード。
(楽しいなあ)と思いながら、2杯目を煽った。
セリは、ロードの方に近寄り
「飲みたい。」視線の先には酒。冷えたエール
年齢的に飲める歳だ。構わないのだが…
「甘いのが良いんじゃ?」とカナンが言うが、
ロードの分を与えている。
子供が大人にねだっているように見えるが、渋い表情。
(旨くなかったんだな)
口直しとばかりに、セリは木の実を出した。
視線は、ヴァルトとグスタフを探す。
席を外しているようだ。
ヴァルト用に木の実を残しておいた。
カリカリと食べれば
「齧歯類」
ボソリと聞こえるように言ったキースの声を無視してセリは食べる。
屋敷の使用人らしき人に勧められ
木の実を炙ってもらい熱いのを食べた。
香ばしく美味しい。
その頃、
翼を広げて飛び立っていた影があったのだった。
ギムナスが今後の話をする。
「面倒な商人が追いかけてくるが、森でまく。」
この屋敷に急遽進路変更したのは、その相手を避けるためらしい。
「『竜の翼』がいれば森を突破して町に入るのも可能だろう。
次の町は広いし、支援者がいるからそこに…」
少しボーとしながらセリはギムナスの声を聴いていた。
もう王都はすぐそこだ。
馬を走らせて最短距離を行けば、1日で着くらしい。
商人の馬車が使える道ではないけど。
遠くへ来たとは思わない。
いよいよか。王都はこの旅の終点。
自分のことを話したのに動揺してしまった。
この弱さで立ち向かえるだろうか?
『気に入らなければ、帰ってこい』と送り出された町。
自分が育った、帰る場所があるところ。
それにすがって大丈夫か?
自分のせいで、あの場所を壊したくない。
その思いは変わらない。
情報を集めようか?
下手に突けば、バレる危険があることからセリは
あの場所を探る気がなかった。
今は、
知らない危険より知ったほうが良いと思える。
ここの面々は、協力的で自分に同情もしてくれる。
それを利用する形だけど、
もう一人でやっていくには限界だ。
確かに覚悟する必要があった。一歩踏み出すこと、
誰かに頼ることも
逃げたい。用意された将来で死にたくない。
王都で新たな道が、開けるかもしれないのだ。
新しい可能性は、
自分の心を奮い起こして、浮き足立たせるものだった。
隣にいるヒト。
「…夜に王都へ入ろうと思う。」
ギムナスの方に意識を戻す。
夜に門って開いてるのかな。
夜警をしている兵士がいる門から入る。
(そんなことできるんだ。)
普通なら無理だ。
ギムナスの手回しと、協力関係を築いたコネによる。
強行突破。
「変なちょっかいはごめん被る。利益にもならないしな。」
と軽く言いそうなギムナスだった。
そのあと解散になり、洒落たバーのある部屋で
大人組みはお酒を飲むようだ。
冷えたエールで一杯
それを横目に、セリは、キースの紅茶を淹れた。
自分の分入れていない。
セリは、座っている後ろ姿を覚えるように、ロードを見ている。
キンキンの、冷えたエールを出されカナンとロードは隣だって座る。
まだ、腹ただしいらしいようでふてくされた面をしている相棒に、
「オレがセリちゃんのほっぺにチュウしたのが…」
カキーン!!
「そんなに怒ってんの?」と言うまでに、エールが凍った。
あーあっ。揶揄いがいがある奴になっちまって。
「もう一杯たのむわー。」
凍ったエールと混ぜながら飲む。冷たくて頭痛がするぜ(笑)
隣でもグィっと飲みほした。
水みたいに飲みむなあ。こんなの軽いがな!
部屋で飲む前哨戦には、丁度良い。
まあ、やさぐれるなって!と生暖かい目でみれば、
チラリとバレないようセリちゃんを見ているロード。
(楽しいなあ)と思いながら、2杯目を煽った。
セリは、ロードの方に近寄り
「飲みたい。」視線の先には酒。冷えたエール
年齢的に飲める歳だ。構わないのだが…
「甘いのが良いんじゃ?」とカナンが言うが、
ロードの分を与えている。
子供が大人にねだっているように見えるが、渋い表情。
(旨くなかったんだな)
口直しとばかりに、セリは木の実を出した。
視線は、ヴァルトとグスタフを探す。
席を外しているようだ。
ヴァルト用に木の実を残しておいた。
カリカリと食べれば
「齧歯類」
ボソリと聞こえるように言ったキースの声を無視してセリは食べる。
屋敷の使用人らしき人に勧められ
木の実を炙ってもらい熱いのを食べた。
香ばしく美味しい。
その頃、
翼を広げて飛び立っていた影があったのだった。
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