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V 舗装された道
『竜の翼』のお茶会
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宿をとる町についた。
道中は
他の馬車も見え、不用意に近寄ってくる者もいなかったので馬車の音だけがしていた。
周りにいた馬車や人々はいない。
それは、この町が王都への道筋としては人が少なく、
逸れている場所に位置しているからだろうか。
通行の多い道より、
魔物の出やすい森が近いなら、護衛のいない者がルートに選ばない道だ。
周囲に木立ちが土の道に沿って並ぶ
森の入り口を切り開いてできたのだろうと思わせる町。
村と言ってしまっても容易かもしれない。森の冒険者村と同じくらいの広さか。
座っているだけの楽な道行きだった。
伸びをするセリにロードが、近くに立つ。
以前よりも、もっと近くにくるようになったと思われる。
それに首を傾げながらも宿に入った。
着いた宿は、個人で屋敷を解放しているところで、この辺の豪商の家だと聞いた。
部屋数はほどほどだが、貸し切りで広く使える。
依頼主のギムナスからは、「今後の予定を夕食後に打ち合わせする
宿の部屋で休んでいて良い」と言い渡され、『竜の翼』は部屋で寛ぐ空気になっている。
セリが、モフモフとヴァルトを撫でていると
「お茶にしまショ」とシュルトに誘われて、部屋で用意された
お茶会に招ばれた。
お菓子と紅茶
白いテーブルクロスに並べられた様子が、
社交という戦いの場を彷彿とさせる。
社交のモードになりかけたのを意識的に戻し、席に座った。
この席の配置に警戒したくなる
キースを見れば挑むように余裕の微笑みを見せる
だけど、シュルトの様子は、
落ち着いてお茶が飲めるよう心配りをしてくれている。
これは、
何か聞きたいことがあるのだろう
と察した。
確かに、話しておかないと。
遅かれ早かれ。
話すことに抵抗はなかった。
「キリキリ、喋ってもらうよ?」笑顔を深めたキースの顔に、
(あ、聞き出したい方か)と警戒を強めた。
襟を正す。
考えて答えないと、丸裸にされる。
与えて良い情報と、隠したいものを考え出す。
自分の置かれている状況
そこからバレる家のこと
商談での心構えを思い出しつつ
方針を決める。
“自分はあの家に戻りたくない”
に尽きる。
そのためには自分も聞き出さなければ。
キースの家格
ダンジョンに入るなら、これから貴族との関係は免れない。
キースの
髪の色と、回復魔法の卓越さ。
上級の貴族だと思われる
それは元家に勝るか?
辺境だったから
王都における派閥のことはわからないけど
古い家、交渉材料、有益さ
それを覆せるものがあるか
それを使ってもらえるか?
逃げる必要があるか。
貴族のモードを出し過ぎないように
会話に臨んだ。
道中は
他の馬車も見え、不用意に近寄ってくる者もいなかったので馬車の音だけがしていた。
周りにいた馬車や人々はいない。
それは、この町が王都への道筋としては人が少なく、
逸れている場所に位置しているからだろうか。
通行の多い道より、
魔物の出やすい森が近いなら、護衛のいない者がルートに選ばない道だ。
周囲に木立ちが土の道に沿って並ぶ
森の入り口を切り開いてできたのだろうと思わせる町。
村と言ってしまっても容易かもしれない。森の冒険者村と同じくらいの広さか。
座っているだけの楽な道行きだった。
伸びをするセリにロードが、近くに立つ。
以前よりも、もっと近くにくるようになったと思われる。
それに首を傾げながらも宿に入った。
着いた宿は、個人で屋敷を解放しているところで、この辺の豪商の家だと聞いた。
部屋数はほどほどだが、貸し切りで広く使える。
依頼主のギムナスからは、「今後の予定を夕食後に打ち合わせする
宿の部屋で休んでいて良い」と言い渡され、『竜の翼』は部屋で寛ぐ空気になっている。
セリが、モフモフとヴァルトを撫でていると
「お茶にしまショ」とシュルトに誘われて、部屋で用意された
お茶会に招ばれた。
お菓子と紅茶
白いテーブルクロスに並べられた様子が、
社交という戦いの場を彷彿とさせる。
社交のモードになりかけたのを意識的に戻し、席に座った。
この席の配置に警戒したくなる
キースを見れば挑むように余裕の微笑みを見せる
だけど、シュルトの様子は、
落ち着いてお茶が飲めるよう心配りをしてくれている。
これは、
何か聞きたいことがあるのだろう
と察した。
確かに、話しておかないと。
遅かれ早かれ。
話すことに抵抗はなかった。
「キリキリ、喋ってもらうよ?」笑顔を深めたキースの顔に、
(あ、聞き出したい方か)と警戒を強めた。
襟を正す。
考えて答えないと、丸裸にされる。
与えて良い情報と、隠したいものを考え出す。
自分の置かれている状況
そこからバレる家のこと
商談での心構えを思い出しつつ
方針を決める。
“自分はあの家に戻りたくない”
に尽きる。
そのためには自分も聞き出さなければ。
キースの家格
ダンジョンに入るなら、これから貴族との関係は免れない。
キースの
髪の色と、回復魔法の卓越さ。
上級の貴族だと思われる
それは元家に勝るか?
辺境だったから
王都における派閥のことはわからないけど
古い家、交渉材料、有益さ
それを覆せるものがあるか
それを使ってもらえるか?
逃げる必要があるか。
貴族のモードを出し過ぎないように
会話に臨んだ。
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