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III 貿易都市

朝の市場

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若い2人が、

甘いもの探し!を始めるらしい。

こういう言い方は年寄りくさいな。

おとなしいセリちゃんとキースの2人が
実年齢よりガキっぽくてまあ、楽しそうだな。
キースのはしゃぎっぷりに

揶揄いたくなる

澄ました顔した坊ちゃんが基本だからな。
一緒に動ける同年代がいなかったせいもあるだろう。

楽しそうで何よりだよ。

監視の目は、多いけどな~。
セリちゃんへの視線を数えていた。


「じゃ、後でな!」

オレとグスタフは、酒の買い付けだ!
土産になる酒をたんまり手に入れねえとな。

保護者2人、ロードとシュルトがそれぞれいれば、問題ねえだろ。
「セリ…手をつないで行かないか?」
「キース?ここは寄らないの?」

セリちゃん戸惑ってるし、
キースは力説している。

分かれて行動ってところで、グスタフに乗っていたフォレストオウルの
ヴァルトが、セリちゃんとこに飛んで行った。

「ワッ」驚いた声を上げたセリの肩に、ヴァルトが陣取った。
戸惑いながらもセリが宥めるように撫でている。

ヴァルトはロードと睨み合いが始めていた。

「いいか?」
言葉が足りないグスタフが、セリにヴァルトを任せようとしている。

ヴァルトと目を合わせてから、
セリが承諾したところで別行動をした。

ーーー


4人で買い物だ。

バサァと羽の音をさせる奴がいた。
4人と1匹だな。


ちゃっかりセリの肩に乗っかった鳥をジトっと見ながら
まあ牽制になるか。と考える。

あいつらからセリを隠せる方が良い。

『何見てんだ。さっさと消えやがれ!』と出す殺気に気づかねえ雑魚もいるが

気づいててもじっと見てくる奴もいるな。
鬱陶しいが、今は買い物デートだ。

繋いだ手をきゅっと握る。
セリの欲しいもの全部買うぞ!


ーー
朝のマーケットに来た。

掘り出しもの、限定物狙いだ。
早い時間に来なければ手に入らないかもしれない!と

逆回り広場に合流する戦略だ。


「お菓子に使えそうな材料ね!そのまま食べられる物も買っといて。」
キースの興奮気味な言葉を聞いてから一旦、分かれる。

手を繋いだまま。

子供っぽいと思うのだが、
確かに人の波に拐われたら合流が大変。

まあ合理的なのだ。

子供扱いだけど。

マーケットの商品を眺める。
籠や皿などの器に混じって、瓶詰めされた何かがあることが。

小さな小物だったり、酒漬けだったりするので
気が抜けない。

木の実が欲しい。

そのままツマミにもなるし、生地に練り込めば食感が良く
持ちも良い。

いろんな種類があれば良いな。
知識として知っているが、使ったことのある物は少ない。

楽しみだった。


瓶が並ぶテントで足を止めた。

アーモンド、植物の種、胡桃と他は知らない木の実が並ぶ。


「やあ、お嬢さん。南から船で来た木の実だ。
試してみるかい?」

少しくれたので、口にする。
ヴァルトとロードにも食べさせ、じゅわっと木の実の味が
美味しい。

甘味とも合いそうだ。
他の知っている種類も購入を決定。
瓶で買うことにすれば、ロードが支払ってくれた。

「たくさん買ってくれてありがとよ!そうだこれもマケよう。」
出されたのは、大粒の豆だ。

「炒って抽出すると苦くて黒い汁になるんだが、
眠気覚ましに良くってな!試してみんかい?」

抽出ならスキルでできる。
南にしかない植物の豆らしいので、使ってみたい。

その他、ドライフルーツを手に入れて、
シュルトとキースに合流した。
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