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II-c 馬車の旅

不穏分子

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「それなんスけどね。」
ハルトが話し始める前に、ギムナスに紅茶を出す。

目線で礼を言われ、壁際に控えよおうと思ったが、椅子に座らされた。
ロードという名の椅子に。

気にもせず、話が進む。


目撃したのは見回り組。
3人程の人影が争っている気配だったので、
声をかけた。

騒がれると魔物がやってくる。猿の魔物の巣の近くで場所が悪かった。
「おい!あんたら…」
声を抑えて呼びかけると、

矢を放ってきた!

次いで魔法の爆音で、騒がしくなる。
捕まえようと接近したものの、1人だけ転がっていた

商人を捕まえた。小物臭のする男で
今は捕縛中。

男たちとの関係を問えば、『商売中だった。邪魔しやがって!』と
悪態ついて喚く。


猿の魔物ビビって気絶したので連れ帰った。

「そいつの聴取を頼みてぇ。話が通じないんだわ。」

「他には?」とギムナスが話を進めれば、

「ダンジョンの様子を見ておきたい。数日空ける許可をくれ。」
「どう関係あるんだ?」

「人影が消えたのがそっちの方角と思われる。
痕跡で判断した。商人もどっから来たかは話していて

方向は間違いない。それが…、」

「ダンジョンか。そこに潜伏していると?」

「いや、それはないと思っている。数日前にまわって、
痕跡はなし。事があってから見に行った。灼熱地帯前までなら
誰もいない。」

ハルトは気配の察知や追跡が得意だ。
斥候、暗器を使える力は信頼に値する。

「そいつらダンジョンで何かしていたようなんだ。
商人の男の証言で・・こっちを舐め腐ってるが、
……なんか気になる。」

犬獣人の血をひいてる男の感だった。
いや何か嗅ぎ取っているのか。

連鎖的な暴走の恐れを指摘している。
うれいは早く取り除きたい。


以上が、“決定が下せる商人”を求めた理由だった。

「となると、その商人の尋問は私が同席するとして、
ダンジョンの方か。」

「村の守りもあるが、ダンジョンに慣れている奴は少ない。」
チラっと『竜の翼』を見る。

「助っ人が欲しい」ハルトが目線でも訴えた。

町の守りでは、魔物の暴走を容易には止められない。
猿系や鳥の魔物なら壁を乗り越えて町に行ける。

怪我人、死傷者が出てしまう。緊急性が高い事案だ。


「村の守りには魔道具を使ってるわよネ?
キースとロードを残しまショ」シュルトの提案に、

「理由は?」ギムナスが端的に問う。

「魔石に補填できるカラ。
セリは2人のおもりをヨロシク。」ウィンク付きで頼まれる。

留守番の組だが、
魔力の充填ができるようになろう。

エンチャント(付与)とどう違うのか、気になるところだ。

気になると言えば、
メンバーの分け方はシュルトが決定するの?リーダーは?

と上を向けば、機嫌良さげに微笑んでいた。
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