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II-c 馬車の旅

朝のひと時

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早朝の旅立ち…とはいかず

ゆっくり出立することになった。
集まっていた馬車が、次々と出て行く音が響く。

人数が多いので、ある程度まとまって順番に移動となるらしい。
しかも、
商業ギルド長として、町へ寄りつつ進むルートになる。
他の商人の列から外れたり、合流したりとなる。

せわしないワネ』とはシュルトの談だ。

まずは、東から来る商人に会うため森の中の町へ向かう。

物資と合流
今後も所々で会合に参加。
『理にかなっている』と言うギムナスさんだが、実際は仕事漬けだ。

ちょうとつく人は大変なんだな。
この“時間が空く依頼”は嫌煙される。

空いた時間ができても自由とはいかず、他の依頼が受けられない。
その上、その期間の報酬は反映されないのが大半。

討伐のように成果を感じられないのも理由に入る。派手な依頼じゃないから。
…とは、冒険者ギルド長の言だ。

それらの細かい交渉は、シュルトがやってくれた。
『金払いもしっかりしているし良い依頼主だワ』と簡単に言ってたけど、
交渉は大事だと思う。
裏事情や相手の需要、その上でチームの利点になる交渉。

できるようになるだろうか。


離脱するため、後ろの方のグループで出発。

日が昇り始めてから、先頭の組はもうキャンプ地を出た。
まだまだ、出発は後になる。

ちなみに、今も商業ギルド長は打ち合わせに出て行った。
カナンが「一応、護衛に」と付いて行った。

その後ろ姿に、((荷物持ちでは?))と持たされた書類を見て思った。


なので、
「のんびりしてまショ」のシュルトのひと言で、座って紅茶を飲んだ。

グスタフはまだ仮眠中。夜中の見張りは
睡眠時間が取れないから大変だ。

自分はまだ、見張りにできないだろう。体力がないから。
移動中に船を漕ぎたくない。“無理は禁物”がこの旅で自分の指針だ。

初めて町から遠く出る、長旅。
不安がないわけじゃないが…。

常に近くにいるロードに安心感を感じている。
盾にできるからか?と冗談だが思っても、

反応が早く強者の余裕というやつで、大抵近くにいる。
((あれ?自分が護衛対象だったっけ…。))と思わなくもない。

正直、ギムナスさん(商業ギルド長)より護られてる。


重い。物理的に肩に乗られているから。
(肩が凝ったなー。)と思いながら

シュルトに淹れてもらった、ミルクティーを飲む。
濃いミルクの味に紅茶の香り高さが感じられる。

付けられていた、棒に結晶化してつけられた砂糖。
水晶のようで綺麗だ。

「“シュガー水晶”っていう名前で売ってるのヨ」

黄色がかった砂糖は安価な市民向けのもの。味に少しクセがある。
ミルクティーには香辛料を入れたりするので、紅茶に合う。

砂糖の持ち運びは、さらさらなものや固まってしまったもので不便。
キューブ状にかためた角砂糖は貴族の御用達。

便利だし綺麗だなとご満悦に、朝の時間を楽しんだ。


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