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II-a 王都に向う旅

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デート

という響きにロードは浮かれていた。
俺の番が綺麗に着飾り、俺の隣にいる。

『装備を身につけて冒険者然とした格好で行け』と
言われて「何でだ?」とシュルトに言ったが、その通り全部を試すことにした。

今日の朝を回想する。

ーーー

アンタね、もう言わなきゃ分かんないのよね!?
あ“あ“あ“あ“!もう!

最近の沈黙していた怒りを爆発させている。
こうなった時は、”大人しく聞いておく“のがうちの不文律だ。

人族の常識が関わっていて、俺の不利益のことも考えられている。
心配症だと言っても治らないシュルトの世話焼き。

「良いこと?セリは16歳なの。獣人ではないのは、わかるわね?」
「ああ」当然だ。匂いが違う。特徴も見られない。

「人族はまだ成長するの、特に魔力回路がね!そんなまだ不安定な身体に、
アンタ!魔力ぶっ込んでどーすんのよ!!」

とまたヒートアップするが、ロードと温度さがあった。
竜人は自分の魔力を番に馴染ませる、性行為で。それは番を
妊娠できるよう身体を強化することでもある。

それには長い時間必要で、妊娠には更に期間が必要。

「アンタ、丈夫な獣人の基準でいるのよ!?
セリが壊れるって考えないの?」

「ちょと魔力酔いしただけだろ?」
ある一部には正しい認識だ。魔力を“身体強化”以外に使うこと少ない、
獣人などの種族には魔力が入れば酔う。酒をちゃんぽんしたときの悪酔いってくらいに。

「魔法を使わない獣人が相手じゃないのよ?
まだ回路が未熟なのに強い魔力を加えたら、負担になって……壊れるわ。」

ちょっとは危険なことと、わかっただろうか?顔からいつもの自信にある態度に影が落ちる。

「そうならなかったのは、セリが魔法をしっかり使っていたからね。
一般人なら支障が出るくらいの事よ?」

魔力操作、身体に受け付ける魔力量がある。
その量と使える魔法には身体を傷つけない制御機構があるのだ。

それを飛び越えて、ロードの強く、濃いと表現される魔力を注ぎ込めば…。

考えたくないわ。
回復魔法でもやり過ぎれば身体を痛める。

その恐ろしさがこの男には、思い描けないのか。

スッとセリに目線を移動したロードを見た。
セリの体調に異変はないか?無理を隠しているのか見極めようとしている。

ハァとひと息ついて、この話を切り上げた。
ロードは浮かれている。人族が獣人より脆いということが行動にまでは伝わっていない。

これは時々で言い聞かせないと、本人に実感がないのだろう。
この件でセリに期待してはいけない。

ロードが自重しなければ。

自分で番を壊すことになりかねない。
・・それが怖ろしい。


「番を思うなら、セリのことを知っときなさい。
ひとまず、この町でどんな風に暮らしていたか。

好きな食べ物は?色はうちで聞き出そうかしらネ。

とりあえず!デートしてきなさい!!」


ロードをけしかけ、
御膳立てをした。

セリの服をデート用に着飾り、設定を作り、
とりあえず、このケーキ店には行ってこいとメモを渡した。


会ったばかりなのだ。ロードが一方的に熱を上げているこの状況で、
それを受けるセリも大変だろう。

特に番の文化がないとこで育っているのだ。
今後の苦労が忍ばれる。

…それは、こちらもかもしれない。
それくらいなら良いけどと思うくらいには、応援している。

今後の旅も続けていくのだから。
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