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II-a 王都に向う旅

商業ギルド 依頼受領

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番金つがい きんな。番を伴う依頼の場合、依頼者が支払い額を下げられる
仕組みなんだ」とカナンからの説明が入った。


依頼者側が払い渋るのかな?自分のせいで不利益が…。

「番といるとな、番にまっしぐらで依頼を破棄しちまったり
護衛対象より優先するってことがあり得てなー。」

それが起こった場合のペナルティ(罰金)としてできた。
抑制になるのでは?という人側の思惑は外れる。

自分のせいで依頼をダメにする、値段を下げられるかもしれないなんて。
冒険者として食べていくのには評価も大事だ。
その妨げになるなら・・

いない方が良いのでは?


くしゃりと髪を撫でられる。
自然と俯いていた顔を上げると

「番がいるとな
どんな危険でも守ろうと、馬鹿力が出るんだ。
セリがいれば、ロードがキビキビ働いて楽な依頼になるだろうよ!」

カナンがグシグシと髪をボサボサにする。
慰めてくれたらしい
意識して笑ってみた。少しは表情で感謝を伝えられただろうか。

気にかけてもらえるうちに感謝を伝えとかないと。
足手まといにならないよう行動したい。

気合を入れ直した!

ーら、グイッと方向転換させられる。
少し屈んで、髪を撫でつける男。

「よし。美人だ。」と髪を撫でて笑いかけるロードが、

まぶしい。

ドギマギしてぽそりと「ありがとう」と言った。

美人という言葉はスルーされている。
貴族的な習慣で、褒め言葉を入れる会話が通常だからだった。
おかげで、恋愛的なものに発展しないのが常だった。



我慢しきれなかったロードがセリをかまっている。

リーダーとして格好良いところを見せたかったのだろう。
偉そうにリーダー然としていたようだが、…目立たなかったな。

迷子の子供みたいだなと(表情に出ていなかったが)セリを見た。

独占欲を出して、
(やらないぞ!)と視線を投げてくるのはロードだ。
盗らねえから、こっち見んな!

ったく。
番が“呪いのようだ”とか“破滅のはじまりだった“なんて言う人族、獣人もいる。

会ってしまえば、別れるという選択肢はない。

“番”は“喜び”だ。
会いたいと願い、探し求めて、離さない。

例えどんな結末でも
番がいることが喜び

だとさ。

周りにやれることは、
悲しい最期にならないように、だな。

番がうしなえば“狂う”

会うのが怖いという奴も渇望する。


オレはどうだろうか。

狼の番への独占欲は知っている。
ロードのように、一緒に旅に出たいと思えないだろう。


誰の目にも晒さず
傷つけず
自分だけを目にうつ


そんな人生を望んでいるわけではないが

抗えないだろう。出会ってしまえば。

だから、結末まで知りたいと思えた。
こいつらはどんな旅をするにだろう。


まあ、番に会うかなんてわかんねーや。
ロードを茶化して遊んでよっと。
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