29 / 200
II-a 王都に向う旅
商業ギルド 依頼受領
しおりを挟む
「番金な。番を伴う依頼の場合、依頼者が支払い額を下げられる
仕組みなんだ」とカナンからの説明が入った。
依頼者側が払い渋るのかな?自分のせいで不利益が…。
「番といるとな、番にまっしぐらで依頼を破棄しちまったり
護衛対象より優先するってことがあり得てなー。」
それが起こった場合のペナルティ(罰金)としてできた。
抑制になるのでは?という人側の思惑は外れる。
自分のせいで依頼をダメにする、値段を下げられるかもしれないなんて。
冒険者として食べていくのには評価も大事だ。
その妨げになるなら・・
いない方が良いのでは?
くしゃりと髪を撫でられる。
自然と俯いていた顔を上げると
「番がいるとな
どんな危険でも守ろうと、馬鹿力が出るんだ。
セリがいれば、ロードがキビキビ働いて楽な依頼になるだろうよ!」
カナンがグシグシと髪をボサボサにする。
慰めてくれたらしい
意識して笑ってみた。少しは表情で感謝を伝えられただろうか。
気にかけてもらえるうちに感謝を伝えとかないと。
足手まといにならないよう行動したい。
気合を入れ直した!
ーら、グイッと方向転換させられる。
少し屈んで、髪を撫でつける男。
「よし。美人だ。」と髪を撫でて笑いかけるロードが、
まぶしい。
ドギマギしてぽそりと「ありがとう」と言った。
美人という言葉はスルーされている。
貴族的な習慣で、褒め言葉を入れる会話が通常だからだった。
おかげで、恋愛的なものに発展しないのが常だった。
我慢しきれなかったロードがセリをかまっている。
リーダーとして格好良いところを見せたかったのだろう。
偉そうにリーダー然としていたようだが、…目立たなかったな。
迷子の子供みたいだなと(表情に出ていなかったが)セリを見た。
独占欲を出して、
(やらないぞ!)と視線を投げてくるのはロードだ。
盗らねえから、こっち見んな!
ったく。
番が“呪いのようだ”とか“破滅のはじまりだった“なんて言う人族、獣人もいる。
会ってしまえば、別れるという選択肢はない。
“番”は“喜び”だ。
会いたいと願い、探し求めて、離さない。
例えどんな結末でも
番がいることが喜び
だとさ。
周りにやれることは、
悲しい最期にならないように、だな。
番が喪えば“狂う”
会うのが怖いという奴も渇望する。
オレはどうだろうか。
狼の番への独占欲は知っている。
ロードのように、一緒に旅に出たいと思えないだろう。
誰の目にも晒さず
傷つけず
自分だけを目に映す
そんな人生を望んでいるわけではないが
抗えないだろう。出会ってしまえば。
だから、結末まで知りたいと思えた。
こいつらはどんな旅をするにだろう。
まあ、番に会うかなんてわかんねーや。
ロードを茶化して遊んでよっと。
仕組みなんだ」とカナンからの説明が入った。
依頼者側が払い渋るのかな?自分のせいで不利益が…。
「番といるとな、番にまっしぐらで依頼を破棄しちまったり
護衛対象より優先するってことがあり得てなー。」
それが起こった場合のペナルティ(罰金)としてできた。
抑制になるのでは?という人側の思惑は外れる。
自分のせいで依頼をダメにする、値段を下げられるかもしれないなんて。
冒険者として食べていくのには評価も大事だ。
その妨げになるなら・・
いない方が良いのでは?
くしゃりと髪を撫でられる。
自然と俯いていた顔を上げると
「番がいるとな
どんな危険でも守ろうと、馬鹿力が出るんだ。
セリがいれば、ロードがキビキビ働いて楽な依頼になるだろうよ!」
カナンがグシグシと髪をボサボサにする。
慰めてくれたらしい
意識して笑ってみた。少しは表情で感謝を伝えられただろうか。
気にかけてもらえるうちに感謝を伝えとかないと。
足手まといにならないよう行動したい。
気合を入れ直した!
ーら、グイッと方向転換させられる。
少し屈んで、髪を撫でつける男。
「よし。美人だ。」と髪を撫でて笑いかけるロードが、
まぶしい。
ドギマギしてぽそりと「ありがとう」と言った。
美人という言葉はスルーされている。
貴族的な習慣で、褒め言葉を入れる会話が通常だからだった。
おかげで、恋愛的なものに発展しないのが常だった。
我慢しきれなかったロードがセリをかまっている。
リーダーとして格好良いところを見せたかったのだろう。
偉そうにリーダー然としていたようだが、…目立たなかったな。
迷子の子供みたいだなと(表情に出ていなかったが)セリを見た。
独占欲を出して、
(やらないぞ!)と視線を投げてくるのはロードだ。
盗らねえから、こっち見んな!
ったく。
番が“呪いのようだ”とか“破滅のはじまりだった“なんて言う人族、獣人もいる。
会ってしまえば、別れるという選択肢はない。
“番”は“喜び”だ。
会いたいと願い、探し求めて、離さない。
例えどんな結末でも
番がいることが喜び
だとさ。
周りにやれることは、
悲しい最期にならないように、だな。
番が喪えば“狂う”
会うのが怖いという奴も渇望する。
オレはどうだろうか。
狼の番への独占欲は知っている。
ロードのように、一緒に旅に出たいと思えないだろう。
誰の目にも晒さず
傷つけず
自分だけを目に映す
そんな人生を望んでいるわけではないが
抗えないだろう。出会ってしまえば。
だから、結末まで知りたいと思えた。
こいつらはどんな旅をするにだろう。
まあ、番に会うかなんてわかんねーや。
ロードを茶化して遊んでよっと。
11
お気に入りに追加
640
あなたにおすすめの小説
【完結】ちびっこ錬金術師は愛される
あろえ
ファンタジー
「もう大丈夫だから。もう、大丈夫だから……」
生死を彷徨い続けた子供のジルは、献身的に看病してくれた姉エリスと、エリクサーを譲ってくれた錬金術師アーニャのおかげで、苦しめられた呪いから解放される。
三年にわたって寝込み続けたジルは、その間に蘇った前世の記憶を夢だと勘違いした。朧げな記憶には、不器用な父親と料理を作った思い出しかないものの、料理と錬金術の作業が似ていることから、恩を返すために錬金術師を目指す。
しかし、錬金術ギルドで試験を受けていると、エリクサーにまつわる不思議な疑問が浮かび上がってきて……。
これは、『ありがとう』を形にしようと思うジルが、錬金術師アーニャにリードされ、無邪気な心でアイテムを作り始めるハートフルストーリー!
その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜
みおな
ファンタジー
かつて、稀代の魔術師と呼ばれた魔女がいた。
魔王をも単独で滅ぼせるほどの力を持った彼女は、周囲に畏怖され、罠にかけて殺されてしまう。
目覚めたら、三歳の幼子に生まれ変わっていた?
国のため、民のために魔法を使っていた彼女は、今度の生は自分のために生きることを決意する。
俺の伴侶はどこにいる〜ゼロから始める領地改革 家臣なしとか意味分からん〜
琴音
BL
俺はなんでも適当にこなせる器用貧乏なために、逆に何にも打ち込めず二十歳になった。成人後五年、その間に番も見つけられずとうとう父上静かにぶちギレ。ならばと城にいても楽しくないし?番はほっとくと適当にの未来しかない。そんな時に勝手に見合いをぶち込まれ、逃げた。が、間抜けな俺は騎獣から落ちたようで自分から城に帰還状態。
ならば兄弟は優秀、俺次男!未開の地と化した領地を復活させてみようじゃないか!やる気になったはいいが………
ゆるゆる〜の未来の大陸南の猫族の小国のお話です。全く別の話でエリオスが領地開発に奮闘します。世界も先に進み状況の変化も。番も探しつつ……
世界はドナシアン王国建国より百年以上過ぎ、大陸はイアサント王国がまったりと支配する世界になっている。どの国もこの大陸の気質に合った獣人らしい生き方が出来る優しい世界で北から南の行き来も楽に出来る。農民すら才覚さえあれば商人にもなれるのだ。
気候は温暖で最南以外は砂漠もなく、過ごしやすく農家には適している。そして、この百年で獣人でも魅力を持つようになる。エリオス世代は魔力があるのが当たり前に過ごしている。
そんな世界に住むエリオスはどうやって領地を自分好みに開拓出来るのか。
※この物語だけで楽しめるようになっています。よろしくお願いします。
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!
ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
異世界転生をするものの、物語の様に分かりやすい活躍もなく、のんびりとスローライフを楽しんでいた主人公・マレーゼ。しかしある日、転移魔法を失敗してしまい、見知らぬ土地へと飛ばされてしまう。
全く知らない土地に慌てる彼女だったが、そこはかつて転生後に生きていた時代から1000年も後の世界であり、さらには自身が生きていた頃の文明は既に滅んでいるということを知る。
そして、実は転移魔法だけではなく、1000年後の世界で『嫁』として召喚された事実が判明し、召喚した相手たちと婚姻関係を結ぶこととなる。
人懐っこく明るい蛇獣人に、かつての文明に入れ込む兎獣人、なかなか心を開いてくれない狐獣人、そして本物の狼のような狼獣人。この時代では『モテない』と言われているらしい四人組は、マレーゼからしたらとてつもない美形たちだった。
1000年前に戻れないことを諦めつつも、1000年後のこの時代で新たに生きることを決めるマレーゼ。
異世界転生&転移に巻き込まれたマレーゼが、1000年後の世界でスローライフを送ります!
【この作品は逆ハーレムものとなっております。最終的に一人に絞られるのではなく、四人同時に結ばれますのでご注意ください】
【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』『Pixiv』にも掲載しています】
僕らの掌に詰まっているのは銅貨
みみみ
ファンタジー
目覚めると見知らぬ森にいた____。
年齢も、自分の名前さえ思い出せない状況下で僕らはある街にたどり着く。
そこは見たこともない文化で溢れる辺境の街だった。
その街で僕らは、“モンスター”を狩ることを決意する。
生きていくために、
自分のことを知るために、
僕らは前へ進まなければならない。
ユッタの意味、ときおり見える記憶のカケラ。
そして本当の真実を知ったとき、掌に掴むのは希望か、それとも絶望か。
銅貨を握りしめ、僕らは今日も生きて行かねばならない。
たとえ、どんな逆境に打ちひしがれようとも_____。
【完結】殿下、私ではなく妹を選ぶなんて……しかしながら、悲しいことにバットエンドを迎えたようです。
みかみかん
恋愛
アウス殿下に婚約破棄を宣言された。アルマーニ・カレン。
そして、殿下が婚約者として選んだのは妹のアルマーニ・ハルカだった。
婚約破棄をされて、ショックを受けるカレンだったが、それ以上にショックな事実が発覚してしまう。
アウス殿下とハルカが国の掟に背いてしまったのだ。
追記:メインストーリー、只今、完結しました。その後のアフターストーリーも、もしかしたら投稿するかもしれません。その際は、またお会いできましたら光栄です(^^)
【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜
白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」
即位したばかりの国王が、宣言した。
真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。
だが、そこには大きな秘密があった。
王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。
この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。
そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。
第一部 貴族学園編
私の名前はレティシア。
政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。
だから、いとこの双子の姉ってことになってる。
この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。
私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。
第二部 魔法学校編
失ってしまったかけがえのない人。
復讐のために精霊王と契約する。
魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。
毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。
修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。
前半は、ほのぼのゆっくり進みます。
後半は、どろどろさくさくです。
小説家になろう様にも投稿してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる