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報告書

18-①

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「子供たちの関係も複雑だな」

平和であってもウチ内の問題とは、表面化するまで解決へ行くのが難しい。今回の子供の悩みを解決したのは、大人達では無い。

「子供の成長への期待は、親や親族から来るものだが。」

成長するにつれ親の考えち自身の考えの乖離を持つゆえに、悩んでしまうか。
その点、あの子に相談して解消したのも少し複雑な気もする。

「ツガイの子供の血縁者は不明。運命神の教会で育った。」

実際に教会で聴いた結果、これ以上の事は分からない。

「まさか、行方不明の獣人の子と会っていたとは。」

生死不明、消えてしまったその子を思って嘆いていた母親。療養に来ていた、騎士団長の妻君だった。

「思いもよらない話だが、合点がいく部分でもある。」

警戒も行動力もあった。貴族の手から逃れて、元から望んでいた冒険者になるという道も辿れたのではないか?

そう思っていた。理由があったらしい。

「その子を逃すために。目くらまし役で着いていったんだな。」

その子が人族の国の貴族に捕まっていたら、酷い目に遭わされていたかもしれない。人族至上主義が横行している中で、獣人の子が無事でいられないと察したのだろう。

「勇気のある行動だ」

自身も貴族に連れられて行く状況で、冷静な判断を実行した。

(感謝してもしきれないなあ。)

“送り出したから、冒険者になったと思う“

「生きているなら、また会える。」

その希望に、母親も前を向いた。もう療養は大丈夫だろう。

「しかしなあ。王族も候補も影響が大きいな」
「周りが騒ぐからでしょ?」

その影響を受けそうな男は、いつも通りに熱い紅茶を飲んでいる。

襲撃を受けた場所は、獣人の国。それが、こんな外れで発見されたのは妖精の悪戯が起こったんだろう。

「危険な子供や、冒険者に物がいつの間にかあったり移動していた話は残っている。」

「専門家の言う通り?」

そうでなければ、馬車に乗って出掛けていた貴族の子がここに居る理由がつかない。

獣人国と呼ばれるほど、獣人が多い。それは魔の森が広がる縁に防衛のための城があり、守りを固めた国であるから。力を尊ぶ、獣人。その気質通り、情に厚い。

(守りも、次に進む強さも直情的に表現された。)

今の王が揺らぐ事はない。力を見せ、次代の王が決まればすぐ退くと言う。
その王座は誰のものになるのか?が、子供達へと移る王位のいく末を決める貴族達。

その渦中に立たされる、王位継承の候補者。その家族か。

「竜人のツガイも巻き込まれると思うか?」

力を持つ者、その力を見せた者は認められ王位に就く。誰が王となるか、どう決まるのか知られていない。
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