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報告書
12-③
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城内は活気づいている。
「祭りのような騒ぎだな」
「正しくそうだろうよ!」
騎士と兵士の成果を讃える会。その挨拶が終わり、今は自由な食事会になっている。獣人国の気質もあって形式張らないとはいえ、城のトップとしての挨拶は省けない。同じように並んでいた男は、一緒に出されたホットワインをさっさと呑んで、次に行くらしい。
(私はこれを呑んだら、部屋に戻ろう。)
鬱陶しさを吹き飛ばす催しは、住民達に酒が振る舞われた。人出があるが混乱もなく、皆楽しんでいる。
部屋から出ることができない子供達の処、治療塔でも料理が振舞われているだろう。食べやすくスープの中に入っているかもしれないが。
私の貰った肉は、薬草で味つけられて香ばしい肉の塊。他にも料理自慢が作った食事が並んでいる。自由にとっていい食べる形式だが、なかなか手が出ない。
上の者からと決められているのだろう。
でなければ、争いにでもなりそうな勢いになりそうだ。
獣人はよく食べる。戦闘訓練をする者はもっとだ。トップの言葉など短い方が喜ばれる。その仕事を終え歓談の形になり、楽器の演奏曲が緩やかに流れている。
窓の外を見ると住民は、外の屋台にも足を運んでいる。こっそり降りて行って見るか。
「騎士と兵士も、居るな?」
「交代制で、許可を出しています」
護衛役の騎士が教えてくれた。上というのは騎士を引き連れないとならないらしい。必要か?というのは野暮なのだろう。
順番にやって来るのか。どれが人気か?の予想で盛り上がっている。
「ああ、酒が景品なのか。それは盛り上がるな。」
「あちらの会場で肉祭りと題され、商人が魔物の肉を競りにかけています。参加は予約した者と飛び込みができる物とあります。」
珍しげに見ていて、観客と化している。
「料理人も指名できるのか。工夫だな」
ひと通り回ると目について、つい買ってしまった果物と肉の組み合わせを味わった。
「職務中ですので」
「では、職務として味見と感想を頼む。」
そう言って人数分買って食べた。
感想は。上手いだそうだ。
(真面目な事だ。)
真面目で職務に忠実な若者を揶揄うのは楽しいが、ほどほどにしなければ。
討伐隊を中心にした感謝の声と共に、乾杯がそこここで起こる。その雰囲気を部屋に持ち帰り、書類を広げた。
要望書を受け付けている。その中にだ。
『竜人への対応の強化を!』
同じように特別待遇を求める?久しぶりに聴いたな。貴族にはよくあるんだが、自分だけ優遇しろ!とかな。褒賞としての特例であるなのに。
この時は対処も強く出られない。
決して油断はしていない。だが、そういう時に限って問題はついて出て来るのだ。
「祭りのような騒ぎだな」
「正しくそうだろうよ!」
騎士と兵士の成果を讃える会。その挨拶が終わり、今は自由な食事会になっている。獣人国の気質もあって形式張らないとはいえ、城のトップとしての挨拶は省けない。同じように並んでいた男は、一緒に出されたホットワインをさっさと呑んで、次に行くらしい。
(私はこれを呑んだら、部屋に戻ろう。)
鬱陶しさを吹き飛ばす催しは、住民達に酒が振る舞われた。人出があるが混乱もなく、皆楽しんでいる。
部屋から出ることができない子供達の処、治療塔でも料理が振舞われているだろう。食べやすくスープの中に入っているかもしれないが。
私の貰った肉は、薬草で味つけられて香ばしい肉の塊。他にも料理自慢が作った食事が並んでいる。自由にとっていい食べる形式だが、なかなか手が出ない。
上の者からと決められているのだろう。
でなければ、争いにでもなりそうな勢いになりそうだ。
獣人はよく食べる。戦闘訓練をする者はもっとだ。トップの言葉など短い方が喜ばれる。その仕事を終え歓談の形になり、楽器の演奏曲が緩やかに流れている。
窓の外を見ると住民は、外の屋台にも足を運んでいる。こっそり降りて行って見るか。
「騎士と兵士も、居るな?」
「交代制で、許可を出しています」
護衛役の騎士が教えてくれた。上というのは騎士を引き連れないとならないらしい。必要か?というのは野暮なのだろう。
順番にやって来るのか。どれが人気か?の予想で盛り上がっている。
「ああ、酒が景品なのか。それは盛り上がるな。」
「あちらの会場で肉祭りと題され、商人が魔物の肉を競りにかけています。参加は予約した者と飛び込みができる物とあります。」
珍しげに見ていて、観客と化している。
「料理人も指名できるのか。工夫だな」
ひと通り回ると目について、つい買ってしまった果物と肉の組み合わせを味わった。
「職務中ですので」
「では、職務として味見と感想を頼む。」
そう言って人数分買って食べた。
感想は。上手いだそうだ。
(真面目な事だ。)
真面目で職務に忠実な若者を揶揄うのは楽しいが、ほどほどにしなければ。
討伐隊を中心にした感謝の声と共に、乾杯がそこここで起こる。その雰囲気を部屋に持ち帰り、書類を広げた。
要望書を受け付けている。その中にだ。
『竜人への対応の強化を!』
同じように特別待遇を求める?久しぶりに聴いたな。貴族にはよくあるんだが、自分だけ優遇しろ!とかな。褒賞としての特例であるなのに。
この時は対処も強く出られない。
決して油断はしていない。だが、そういう時に限って問題はついて出て来るのだ。
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