33 / 67
報告書
11-②
しおりを挟む
[報告]
<監視部隊>より
魔物避けの薬をポイントに撒き、周辺状況の把握。
雪の降り積もり具合、荒れた場所は無く魔物の目撃はなし。違和感あり。
拠点を作り、監視。
もし対象の魔物の襲撃があれば、魔導具で退避の命令。
そのまま帰還になった。
「痕跡は見つけられませんでしたが無事、帰還しました。」
「収穫無しか」
嫌味があったが、焦る時期ではない。戻って来ないと分かれば安心なのだが。
「魔物の目撃例が無いのは、大型の魔物から逃げたと想定する。監視の範囲を広げる、川を遡上するか。」
地図上の長い川が横たわるところ、西には痕跡がない。
(北、北東に行ったと思うのは、願望に過ぎないか?)
「迎え撃ってやります!部隊を派遣しましょうっ」
「このまま追い返す事もできます」
勢いがあるのは良いが、この地形で追いかけるのは不利だ。どこまで追うか、反撃にどう対処するか。とれる対応策は少ない。
「隊に負傷者が出たとしても、すぐに支援・後退もできないだろう。」
「拠点を計画的に作れば、可能かと」
可能であっても、脆弱な物しかできない。慣れない魔導具を、展開するのもひと苦労だろうに。ドワーフの技術者の参加を願って何とかなるかどうか。
ここに集まった兵士達の練度は、団体の防衛を基礎としている。この『極北の城』を出ての討伐経験がない者ばかりだ。
雪が隠してしまう道、寒さ。どれもこの城に居れば解消できる。
(大型の魔物相手は、準備を万端にしたとしても思いがけない事がある。そんな冒険者の頃の話も一蹴されそうだ。)
他にも、問題は起こっているか。
「城の住民に、不安が伝わったようです」
閉鎖されている分、兵士の緊張が直接伝わるのだろう。
「不安が増幅してしまう前に、方をつけたいな」
城壁に設置している魔導具の演習を見せ、安心を伝える実演をする事に決まった。この演習に際しては、よくある兵士と住民との交流会だ。
定期的に行うイベントを利用する、それほど慌てる事はない。
(どのタイミングで動くか。風が穏やかになってくれると良いが。)
その時を待ち、討伐隊が出ると決まった。
監視に出た事のある者から、選別もスムーズに行われた。竜人も同道するのを会議で認めさせた。
『大型の魔物の討伐依頼、救出を優先。』
討伐隊は案内と地理的情報を提供し、見届けるために出す。
「兵士達を引き連れてもらう。」
「邪魔なら置いて行く」
(迷わないと良いが。)
城には、極大魔法を使える魔法使いが2人残るという安心を伝えて。<極北の城>は静かに、良い報告を待った。
<監視部隊>より
魔物避けの薬をポイントに撒き、周辺状況の把握。
雪の降り積もり具合、荒れた場所は無く魔物の目撃はなし。違和感あり。
拠点を作り、監視。
もし対象の魔物の襲撃があれば、魔導具で退避の命令。
そのまま帰還になった。
「痕跡は見つけられませんでしたが無事、帰還しました。」
「収穫無しか」
嫌味があったが、焦る時期ではない。戻って来ないと分かれば安心なのだが。
「魔物の目撃例が無いのは、大型の魔物から逃げたと想定する。監視の範囲を広げる、川を遡上するか。」
地図上の長い川が横たわるところ、西には痕跡がない。
(北、北東に行ったと思うのは、願望に過ぎないか?)
「迎え撃ってやります!部隊を派遣しましょうっ」
「このまま追い返す事もできます」
勢いがあるのは良いが、この地形で追いかけるのは不利だ。どこまで追うか、反撃にどう対処するか。とれる対応策は少ない。
「隊に負傷者が出たとしても、すぐに支援・後退もできないだろう。」
「拠点を計画的に作れば、可能かと」
可能であっても、脆弱な物しかできない。慣れない魔導具を、展開するのもひと苦労だろうに。ドワーフの技術者の参加を願って何とかなるかどうか。
ここに集まった兵士達の練度は、団体の防衛を基礎としている。この『極北の城』を出ての討伐経験がない者ばかりだ。
雪が隠してしまう道、寒さ。どれもこの城に居れば解消できる。
(大型の魔物相手は、準備を万端にしたとしても思いがけない事がある。そんな冒険者の頃の話も一蹴されそうだ。)
他にも、問題は起こっているか。
「城の住民に、不安が伝わったようです」
閉鎖されている分、兵士の緊張が直接伝わるのだろう。
「不安が増幅してしまう前に、方をつけたいな」
城壁に設置している魔導具の演習を見せ、安心を伝える実演をする事に決まった。この演習に際しては、よくある兵士と住民との交流会だ。
定期的に行うイベントを利用する、それほど慌てる事はない。
(どのタイミングで動くか。風が穏やかになってくれると良いが。)
その時を待ち、討伐隊が出ると決まった。
監視に出た事のある者から、選別もスムーズに行われた。竜人も同道するのを会議で認めさせた。
『大型の魔物の討伐依頼、救出を優先。』
討伐隊は案内と地理的情報を提供し、見届けるために出す。
「兵士達を引き連れてもらう。」
「邪魔なら置いて行く」
(迷わないと良いが。)
城には、極大魔法を使える魔法使いが2人残るという安心を伝えて。<極北の城>は静かに、良い報告を待った。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
求:回復術師 〜絶対見捨てない為に、僕が今できる事〜
まめつぶいちご
ファンタジー
2-3日に1話更新!
【nola縦読み漫画原作大賞にて、優秀賞獲得】
【アルファポリスにてランキング5位獲得】
【DADAN Web小説コンテスト一次選考通過】
未曾有の大災害、医者である主人公は患者を助けるべく奔走するも、命の選択を『見殺し』だと言われ殺されてしまう。
二度と誰も見捨てるもんかと思いながら、回復術師として転生した世界は、回復術師の激減した世界だった。
バレないように回復術師として生きる主人公の冒険をお楽しみください。
かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる
竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。
ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする.
モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする.
その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.
異世界へ全てを持っていく少年- 快適なモンスターハントのはずが、いつの間にか勇者に取り込まれそうな感じです。この先どうなるの?
初老の妄想
ファンタジー
17歳で死んだ俺は、神と名乗るものから「なんでも願いを一つかなえてやる」そして「望む世界に行かせてやる」と言われた。
俺の願いはシンプルだった『現世の全てを入れたストレージをくれ』、タダそれだけだ。
神は喜んで(?)俺の願いをかなえてくれた。
希望した世界は魔法があるモンスターだらけの異世界だ。
そう、俺の夢は銃でモンスターを狩ることだったから。
俺の旅は始まったところだが、この異世界には希望通り魔法とモンスターが溢れていた。
予定通り、バンバン撃ちまくっている・・・
だが、俺の希望とは違って勇者もいるらしい、それに魔竜というやつも・・・
いつの間にか、おれは魔竜退治と言うものに取り込まれているようだ。
神にそんな事を頼んだ覚えは無いが、勇者は要らないと言っていなかった俺のミスだろう。
それでも、一緒に居るちっこい美少女や、美人エルフとの旅は楽しくなって来ていた。
この先も何が起こるかはわからないのだが、楽しくやれそうな気もしている。
なんと言っても、おれはこの世の全てを持って来たのだからな。
きっと、楽しくなるだろう。
※異世界で物語が展開します。現世の常識は適用されません。
※残酷なシーンが普通に出てきます。
※魔法はありますが、主人公以外にスキル(?)は出てきません。
※ステータス画面とLvも出てきません。
※現代兵器なども妄想で書いていますのでスペックは想像です。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
いじめられて死のうとしていた俺が大魔導士の力を継承し、異世界と日本を行き来する
タジリユウ
ファンタジー
学校でのいじめを苦に自殺を図ろうとする高校生の立原正義。だが、偶然に助かり部屋の天井に異世界への扉が開いた。どうせ死んだ命だからと得体の知れない扉へ飛び込むと、そこは異世界で大魔導士が生前使っていた家だった。
大魔導士からの手紙を読むと勝手に継承魔法が発動し、多大な苦痛と引き換えに大魔導士の魔法、スキル、レベルを全て継承した。元の世界と異世界を自由に行き来できるようになり、大魔導士の力を継承した正義は異世界と日本をどちらもその圧倒的な力で無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる