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8-③

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「客?」

基本、迎え入れない。

「竜人か。」
交流の一環として誘っているらしいが。何せ慣れない土地で寒さに弱いとも言われる種族。

以前は炎の竜人が来た記録を見た。討伐には参加せず、ひたすら城に籠っていたらしい。寒さには弱かったと話が伝わっている。
その年は燃料がかなり浮いたのだとか。ありがたいが、討伐もして欲しいところか。

大物が出てくると討伐隊を組む。単独で大物を狩れる冒険者の男。

“氷の竜人”
「寒さは問題なさそうだな?」

それだけではなかった。

「その対抗に人を寄越す?」
「それはまた」

ねじ込んだな?多分、王都の貴族どもが鬱陶しくなったんだろう。

「なにか面倒な事があってという理由な気がする。」

手回しが良いな。まあ、あの子の性格を思い出すと行動力もこの機会を逃さないだろう。

(相変わらずそうだ、たまには愚痴の相手でもしよう。)



「この日に、甘味を頼む。」
ここに暮らす者が作ってくれるパイ。材料費と手間賃で甘い物が食べられる。素朴で美味い。

それと紅茶、酒も用意して迎え入れるか。

さて、竜人の方は上手くやっていけるかな?本人の性格次第だが、こんな雪深いところまで来るんだ。何か用なのだろうか?目的になるような物があると思えないが。

「目的も見えないが、彼の種族が参謀を巡らせるイメージがない。」
「アイツらは、ただ狩りに来たと言われたら方が納得だ。」

そう結論があった。来るというものを拒む事もない。食糧の追加も見込めるし歓迎しよう。そんな新規の訪いの報せがあっても、私の仕事が変わない。

イレギュラーにも対応できる。

それが思った以上に大事になったとしても、私がうってでる事態まではいかなかった。

(どうせなら出て行ってさっさと終わらせたい性格なのだが。)
そこは若い者に譲るということで

私は城の中で酒を開け、書類仕事に明け暮れた。

若い者たちに駆け回ってもらおう。
こう書くと私はとんでもなく性格が悪く、年寄りになったと思うのだった。


「余裕だな。」

この文を書いた頃は、変化が起こる事を楽しみにしていたのだろう。気軽に外に行けない暮らしは性に合わないらしい。エルフの郷でも思っていたな?

「この後は、書類に次ぐ書類で日記を書く余力もなかったか。」

すっぽりとページが飛んでいる。久々に書くかという気分になった時には、既にこの極北の城を立つ日になっていた。思ったよりは進まなかったな?

内容の濃い生活だった、その後はのんびりもできたし楽しかった。少し惜しいと思うくらいなら、もう少し関係を続けてみるか。

竜人とその番<ツガイ>の子供への関わりを。
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