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「この本だったな」
お目当ての魔導書だと確認し、机に置く。
知識を伝える手段は口伝だけではない。本は知識の伝達、過去との対話を可能にしてくれる。
魔法が使われ、保存や仕掛けの類いも多い上に散歩に行ってしまって捕まえる必要がある。
今回は、本棚の移動で済んでいるのでマシな方だろう。
「そんなにこの場所が気に入らなかったか?」
本の並びを考え直さねばならないかもしれない。いや、しばらく貸し出すから後で良いか。飛んでいるのを読むのも楽しいので、動くなとも言えないからな。
この限定的な範囲、動きを自由と言えるのか?
この本を貸し出す相手を思い出す。権力に近いと、面倒くさい事になる。
(便利ではあるんだがなあ)
その点。彼は、自身の力を正しく認め。利用されないために振る舞っている。
「回復魔法か」
担い手が少なく、そのため教会の囲い込みが激しい。<奇跡の技>と崇め祭られやすい。過去の歴史においても、その技を持つ若者が儚くなっている。
権力、人の悪意に溺れてしまった結果が記録に残っていた。
【回復魔法】の要素として【緑魔法】、【光魔法】の合わせ技に近いと思うのだが上手くいかない。まだ何かが足りないのだろう、未知の部分が多い魔法だ。
魔術だった事のが、各地に散らばり人を癒して居たと語られている。その記録や詳細な方法が口伝で失われているのが惜しいな。
今や回復や治療には、薬草や<ポーション>しかない。
病には【祈祷】もあるが、万能では無い。
<万能薬>というのはダンジョンで得られると記録されているが、誰に、何に使われたのかは不明となっている。
稀少性か、危険があるのか。伏せられる理由があるのだろうな。
『死者蘇生の秘薬は存在する』と言うが、[死の神]の下に裁かれるまで狙われるのだとか。
それもまた天上人の存在の痕跡だ。
「天上人に足跡があるか分からんな?」
精霊にだって足はあるが、その存在に歩く事は必要だろうか?ただ人の形をしていた方が交流がしやすいと言う理由で姿を決めている。
獣の姿でもあるが、属性の持つ特徴が出ているのが共通している。私が目通りできた精霊様も5人ほどだ。
この数に意味があるかは分からないが、貴重な経験と言えるだろう。
上座の存在が支配なのか統治かは、解釈次第だろう。
短い一生での伝達は、齟齬が増えていく。
長(おさ)となれば神話上の存在と伝えている例もあるようで、伝えやすいよう個ではなく役割を説く。
そうして[世界]が成り立っていると知っても、重なり合っている。高く深い知識の塔へ上がるのか下がるのか?
「分からない事だらけだ」
それを分かるだけでも、物知りになるのだから。長生きもしてみるものだなあと思う。穏やかな日だった。
お目当ての魔導書だと確認し、机に置く。
知識を伝える手段は口伝だけではない。本は知識の伝達、過去との対話を可能にしてくれる。
魔法が使われ、保存や仕掛けの類いも多い上に散歩に行ってしまって捕まえる必要がある。
今回は、本棚の移動で済んでいるのでマシな方だろう。
「そんなにこの場所が気に入らなかったか?」
本の並びを考え直さねばならないかもしれない。いや、しばらく貸し出すから後で良いか。飛んでいるのを読むのも楽しいので、動くなとも言えないからな。
この限定的な範囲、動きを自由と言えるのか?
この本を貸し出す相手を思い出す。権力に近いと、面倒くさい事になる。
(便利ではあるんだがなあ)
その点。彼は、自身の力を正しく認め。利用されないために振る舞っている。
「回復魔法か」
担い手が少なく、そのため教会の囲い込みが激しい。<奇跡の技>と崇め祭られやすい。過去の歴史においても、その技を持つ若者が儚くなっている。
権力、人の悪意に溺れてしまった結果が記録に残っていた。
【回復魔法】の要素として【緑魔法】、【光魔法】の合わせ技に近いと思うのだが上手くいかない。まだ何かが足りないのだろう、未知の部分が多い魔法だ。
魔術だった事のが、各地に散らばり人を癒して居たと語られている。その記録や詳細な方法が口伝で失われているのが惜しいな。
今や回復や治療には、薬草や<ポーション>しかない。
病には【祈祷】もあるが、万能では無い。
<万能薬>というのはダンジョンで得られると記録されているが、誰に、何に使われたのかは不明となっている。
稀少性か、危険があるのか。伏せられる理由があるのだろうな。
『死者蘇生の秘薬は存在する』と言うが、[死の神]の下に裁かれるまで狙われるのだとか。
それもまた天上人の存在の痕跡だ。
「天上人に足跡があるか分からんな?」
精霊にだって足はあるが、その存在に歩く事は必要だろうか?ただ人の形をしていた方が交流がしやすいと言う理由で姿を決めている。
獣の姿でもあるが、属性の持つ特徴が出ているのが共通している。私が目通りできた精霊様も5人ほどだ。
この数に意味があるかは分からないが、貴重な経験と言えるだろう。
上座の存在が支配なのか統治かは、解釈次第だろう。
短い一生での伝達は、齟齬が増えていく。
長(おさ)となれば神話上の存在と伝えている例もあるようで、伝えやすいよう個ではなく役割を説く。
そうして[世界]が成り立っていると知っても、重なり合っている。高く深い知識の塔へ上がるのか下がるのか?
「分からない事だらけだ」
それを分かるだけでも、物知りになるのだから。長生きもしてみるものだなあと思う。穏やかな日だった。
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