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<王都拠点 編>

◆ある襲撃者視点 

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依頼は子供の誘拐。殺しも請け負う“裏”に依頼しておいて、それだけか?

「こういう時も、貴族は面倒だな。言外にヤレって事だろう?」

そうだシンプルが良い。

「今回の客は金離れも悪いらしい。」
(だからか雑な奴らと組まされた。)

まあ、囮にしてさっさと仕事を済ませよう。

貴族も色々だな、商人のが金持ちなくらいな辺境伯ってヤツか?しらねーけど。
屋敷に居る人数も少ない。

「標的の子供は何処だ?」

先に考えなしに突撃しに行った奴らを視界に入れながら観察する。

(バカが。あれじゃ見つかる)
「あーあ、なんか強ぇえのいんじゃん。」
「騎士かありゃ?」

陽動がわりにはなったが標的が見つからない。さっさと屋敷から退散した。バカに構う気はない。
「ちっガキなんていねーじゃねーか!ガセか?」
「どうなってやがる!」

「移動したのか?」

情報収集してみれば、移ったのは…

「金持ちの別荘があるとこじゃねーか!」
「あそこは門に警備もいる。」

(厄介だな)

「依頼料の割に合わねえ。」
「増額に応じなきゃ、搾り取りにいこうぜ。」

「金目のものがないか、漁るか。」

そう話ながら、周囲を調べた。

「金持ちの別荘で合ってる。」
「すっげえ森に近いから手頃とかか?」

いくらになるんだろうな、他の建物からは離れて森には近い。

「隠れるのにはイイな」

魔導具に気をつければ侵入は、なんてことはない。構造もシンプルで、兵士もいない。

『当たり前に、王城より劣る』
侵入は玄関から1人と、森から入る2人だ。

魔物にも見つからない隠業で、さっさとガキを始末しに行く。
今回は標的が移動していた、面倒な貧乏くじだったが。こっちが入りやすいように、わざわざテントで寝てんのか?

「ヤルのは簡単だ。」
見えず、眠ったまま終わりを迎える…


「ホントにそうかぁ?オマエら捕まりに来たんだろ。」

突如、男の言葉と共に視界がひっくり返った。一緒に来た奴の方向に向く。そいつも倒れていた。

「こーいうのも、執事の仕事のうちってか?」
「左様です。家を守るのが私の仕事でございます。」

「へ~そー。」

森からの気配に気づき、危なげなく1人を無効化した。戦う執事は危なげなく客を処理した。
人の良さを装うように会話を交わすも、油断なく侵入者を引き渡す。どうなるかは知らないが手配していた様子だ。
テントの中から反応はないのに、安堵した。


セリ様がいるからこそ、ヴェーネン家があるのだが。忠誠は家ではなく、後継者に。その執事の決心を聞く機会はない。


夜の招かれざる客の未来は潰えたのだった。
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