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<王都拠点 編>
本の森
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湯浴みに、スキンケアだと色々やられた。王都の女の子達はこんなにやる事があるのか。
それでも、寝床を整えてもまだ寝るには早かった。
「正直、色々気になる物があって寝たい気分じゃない。」
グラウルは休んでもらったものの、まだ寝ないのだろう。それに関しては、特に言わない事にした。
休んで欲しいけど、知らない冒険者の拠点は落ち着かないかも。
着いて来たのは、仕える家の子の心配という建前よりセリのためだったが伝わっていない。
「屋敷の探検と洒落込もう?」ロードが誘ってくれる。
逃げるのも、襲撃を受けた際であっても、『建物内のことがわかった方が利がある。』
純粋に興味もあった。
リビング、キッチンに、その近くのシュルトの部屋。
「そこもワタシの縄張りみたいなものヨ。」
食事や買い物のリストを作るのはシュルトが多いらしい。
ロードとキースは、料理できないと覚えた。
カナンは玄関に近い部屋。限界を挟むようにグスタフという研究者に人の部屋が一階にあって
2階にキースの部屋。
ロードの部屋って位置的には、主賓室?パーティを開く目的だったかもと広さと暖炉があったので判断した。
「部屋の主がいないが、入っていいぞ。」
それは良いのかと思ったけど、共有スペースがあってその奥が私室のスペースらしい。
扉を開けて入ると…
「わあ」
本の森だった。王都の書店より高い本棚。壁にもあるが、奥まで続いている様子。
そんな分野の本があるんだろう?
出入り口で止まったセリは、ロードに手を引かれて奥へ入った。
蓋が載った鍋に、紙の束。とても大きいが作業机らしい。高さもあるから、この部屋の人は背が高いんだろう。
「数冊部屋に持って行こう」
喜んで、選ぶ。
図鑑が多い。集中して読んで夜更かしする訳にはいかないので、絵が多い本にした。
身体を冷やさないうちにテントに入り込む。
部屋割りは頭に入った。夜は魔導具を稼働させるので安心して寝ていいと言われている。
魔物ような気がするけど。
ランプが明るく、図鑑を見るのにも十分だ。ロードの座る膝の中に入り、絵を眺める。
『想像上の鉱物』に、“精霊石”があったのはそっと見なかった事にした。
読み終わると、ロードはセリの髪にあてていた布をどける。髪を乾かしてもらい、ちょっと照れ臭くなった。
本に夢中で気づかなかったのもある。少し眠気を感じて追手が来るか話を振ってみた。
「誰かくるかな?」
「来ても帰ってもらうさ」
“追い返せる”という意味にとれるが、ちょっと申し訳なく思う。巻き込んだ側だからだ。
王都に来た邪魔な子供を消す機会を、相手が逃すわけはないから。
それでも、寝床を整えてもまだ寝るには早かった。
「正直、色々気になる物があって寝たい気分じゃない。」
グラウルは休んでもらったものの、まだ寝ないのだろう。それに関しては、特に言わない事にした。
休んで欲しいけど、知らない冒険者の拠点は落ち着かないかも。
着いて来たのは、仕える家の子の心配という建前よりセリのためだったが伝わっていない。
「屋敷の探検と洒落込もう?」ロードが誘ってくれる。
逃げるのも、襲撃を受けた際であっても、『建物内のことがわかった方が利がある。』
純粋に興味もあった。
リビング、キッチンに、その近くのシュルトの部屋。
「そこもワタシの縄張りみたいなものヨ。」
食事や買い物のリストを作るのはシュルトが多いらしい。
ロードとキースは、料理できないと覚えた。
カナンは玄関に近い部屋。限界を挟むようにグスタフという研究者に人の部屋が一階にあって
2階にキースの部屋。
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「部屋の主がいないが、入っていいぞ。」
それは良いのかと思ったけど、共有スペースがあってその奥が私室のスペースらしい。
扉を開けて入ると…
「わあ」
本の森だった。王都の書店より高い本棚。壁にもあるが、奥まで続いている様子。
そんな分野の本があるんだろう?
出入り口で止まったセリは、ロードに手を引かれて奥へ入った。
蓋が載った鍋に、紙の束。とても大きいが作業机らしい。高さもあるから、この部屋の人は背が高いんだろう。
「数冊部屋に持って行こう」
喜んで、選ぶ。
図鑑が多い。集中して読んで夜更かしする訳にはいかないので、絵が多い本にした。
身体を冷やさないうちにテントに入り込む。
部屋割りは頭に入った。夜は魔導具を稼働させるので安心して寝ていいと言われている。
魔物ような気がするけど。
ランプが明るく、図鑑を見るのにも十分だ。ロードの座る膝の中に入り、絵を眺める。
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読み終わると、ロードはセリの髪にあてていた布をどける。髪を乾かしてもらい、ちょっと照れ臭くなった。
本に夢中で気づかなかったのもある。少し眠気を感じて追手が来るか話を振ってみた。
「誰かくるかな?」
「来ても帰ってもらうさ」
“追い返せる”という意味にとれるが、ちょっと申し訳なく思う。巻き込んだ側だからだ。
王都に来た邪魔な子供を消す機会を、相手が逃すわけはないから。
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