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<竜の翼 編>

貴人

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ガイサスが焦っているが、依頼料が払えないのは知っている。『竜の翼』は有名らしいし、専属の依頼は特に割高だ。見つかるかわからない当主に、それだけ出せるか?私の答えは出せない、だ。

以前、カツカツだったのはその分もある。交渉は、私の価値次第だろう。

「ロードの番って点で、迎えたいとは思うケド。」

(年齢的に引き離すのが憚れているんだろうか?)
「冒険者の活動はしてる。弓矢で辺境の森には慣れてる。得意なのは水魔法だけど、魔石に込められる。」

魔石への付与は、魔力精度が高いと言う証拠だ。攻撃魔法には向かない属性だけどね!
戦力アピールには、イマイチだ。珍しいさを足す。

「精霊の愛子ってのらしい?」
「アラ、妖精ではなくて?」
話に乗ってくれた?

「エルフの証言付き」

「そりゃまた、珍しい。」

信じているかは分からないが、カナンが感心する。ついでに言い添えた。
「鑑定させてもらう?」
「マァ、許可が得られれば。」

ガイサスの方を見たのは、保護者の認識があるからだろう。
しゃべりすぎたかとは思うが、展開が面白そうだと思ってしまう。


そして再び、誰かの訪れが知らされて…

(煌びやか。)
この部屋のグレードが追いついていない感じの、貴人がやって来た!

緊張する。ガイサスもそうみたいで密かに驚いた。
“高位貴族”
どなたか心当たりが、あるのだろうか?上の方の人と、判断した。動作も美しい。
「美人。」
「そうありがとう?」

男性、まだ背が伸びそうだが成人は過ぎているだろう年齢で、肌艶ツヤ。

手土産にとマーベルという店のケーキが提供された!

紅茶をグラウルが給仕する。ステラじゃなくてよかったのを内心、安堵してしまった。
粗相した時に庇えきれない気が、凄~くする!

食べたいが、視線を受け緊張が走った。

「精霊の愛子ね?」

「ダウジングで精霊石探しを手伝った事がある。」

師匠が持っていったため、証拠は出せない。

「言われたのはエルフ、アクレイオス?」
「アラ、あの街のギルド長だったカシラ。」

顔見知りらしいし冒険者だしそういう事もあるんだろう。

「記憶があるって?」

「そう。魔物の氾濫と関係した記憶がある。」


ガイサスにも話していない。バリスも固唾を飲んで聞いている様子だ。戸惑っている感じがする。


「いつ頃までわかるの?」
「後3年後くらい。その間、王都に被害を出す氾濫が起こる。」

中規模のを抑えたけど、この氾濫が広範囲で他家の協力が不可欠だ。まだ接点がない。
十分対抗できたものの、作戦と油断で瓦解した。あの教訓を生かせるのは、各家への説得次第だろうか。

「へえ?」

キースは信じているのか嘘だと思うのか、わからない表情をした。
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