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6歳

23-別棟

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屋敷に帰ってきた。危なげなく、緊張する若い冒険者と相乗りしながら買い出し用馬車で帰る。
慣れた時間になった。
「あの子、誰?」
「教会で預けられてたっぽいけど。」

「屋敷の使用人の子じゃね?ちっせえし。」

(まるぎこえなんだよなあ。わざとなのかな?)

「お兄ちゃん達、冒険者?」
「おう!強そうだろ!」

愛想笑いで返しておいた。体格は恵まれているし、頑張って稼いでくれ。その流れで徴収するから。

新人の域を出ない4人と接待な会話をして、屋敷に到着した。オジサマに挨拶してすぐ別棟の手伝いに、水瓶を満たして庭に水を撒く。

「あ、チーすっ!」

滞在している冒険者の挨拶らしきものに、ぺこりと頭を下げる。多分、庭師の親戚の子とか思われていそう。
この後、馬の世話をして台所に顔を出そう。野菜の皮剥きくらいできるようになっている。

教会で教わった事にしている、前の記憶だった。訓練方法もそのままだ。
標的に水球を当てて、制御と魔力の扱いを身体に覚えさせるのが日課。

「あれって、給水魔法だろ?」
「冒険者には不利だな」

「水なら、外れだろ。組みたくないよな。」

“かわいそうに”と魔力属性が水の場合の評価だ。攻撃魔法が重視される中での話。
水魔法をとやかく言うのは、初心者である。

「あのなあっ!」
教官役の男性が説教に入った。

「魔法は便利くらいに考えとけっ!貴族様くらい魔力があれば戦力だが、それ以外は生活魔法だ。」

長い期間の野宿は、水が大事だ。まだ遠出しない初心者にはありがたみが分からない。ダンジョンでも水の確保は難しくなる。川が見つけられるここら辺では、ね。

弱いと文句を言われ、便利の使われて不遇。これで回復魔法でもできれば、大事にしてもらえるんだろうな。
ぺこりっと教官の冒険者に頭を下げられたので、返礼しておいた。

(バレてるな。)

オジサマに一連の事が報告されそうだけど、まあいっか。

買った練習用の弓矢を出す。水の魔石に魔力を込める内職で稼いだ。防具もナイフもなしだけど、練習しないと。
そしてまた、若手に入る人達が通り過ぎる。

「お、冒険者志望か?」
「なかなか当たってるじゃーん。」

「見てやろうか?」
(暇なの?)
断っておく。嫌がらせではないのは分かるんだけど。ごめん、邪魔。

「お前らーっ邪魔すんなよ!」

「ほいほーい。」
「たくっ挨拶くらいするだろ。」

屋敷に住んでいるよしみで、子供に気遣っているなら立派かも。
腕を上げて欲しいものだ。

身体強化を弓矢まで包むイメージで…(放つ)
標的が吹っ飛んだ。

今の体力では一回が限度。

「何やって…」
「どうしたの?」

メイドのステラが固まっていた。音に驚いたのかもしれないけど用件を言う。
「手伝って」

鍛錬中なんだけど。仕事が多いのかな?けどなあ私の仕事じゃないのは、確かなんだよね。
「どうしようかな。」
「暇でしょ!手伝いなさいよっ」

(この態度で、他の貴族家へに紹介は無理だよなあ。)

「ステラか。」

弟子庭師のダズが現れた!
「大変なら俺が手伝うって言ってあっただろ?」

私に気遣いながらも、ステラの手伝いを名乗り出ていた様子。仕事量が増えているか。今の人数だと負担が大きいよなあ。

「はやめにメイド募集した方が良い?」
「クビにする気!?」

「人が増えて大変そう。」

別棟に住んでいる冒険者は、基本的に自分達の事はするけど屋敷に人がいれば仕事も増える。
食堂は手伝いに入って、上手くやっているけど掃除場所や補充が細々あって大変だ。


「それより、楽になるよう魔道具が欲しいわよ!」
「あ~それは検討しても良いかも。」

久しぶりに屋敷の人と長い会話をして、庭から執務室へセリは向かった。


「まったく。あの子、生意気に遊んでばかりじゃない!」
「あの弓矢の腕でか?兎くらい獲ってこれそうだ。」

「狩人にでもなるの?あんな子供が」
「口悪いぞ。貴族の子供だ。あの態度はダメだ。」

「子供に?」

「貴族の、だ。ここは緩いが、無礼打ちっつーのがあるんだぞ?」

「えっ」


仲良くなってるなあと聞こえた会話を後に立ち去った。
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